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074.玉座に呼ばれたオーク

 

 あれから危険生物は僕の前の檻には帰ってきませんでした。


 たぶん、僕よりも先に天使様にお空へ連れて行かれたのでしょう。合掌。


 しかし、地下牢に入れてもあの悪い癖が治らないなんてあの人の思考はいったいどうなっているのでしょうか?


 僕には到底理解できませんよ。


 さて、話は変わりますが、今、蜘蛛を食べています。


 前にも言ったかもしれませんが、まぁ、聞いてください。


 僕はどうしても食べ物が食べられないときは腹に蓄えていた脂肪を燃焼してなんとかやりくりしているのですが、最近、それをすると不気味な音がするんですよ。


 だから、しょうがなくそこら辺にいる蜘蛛に養分になってもらっているのです。背に腹は代えられないのですよ。


「2678番、王が呼んでいる」


 うわ! いきなり目の前に出てきてなんですか! まだ、人が食事している最中でしょうが! あと、その目は何? 奇妙なものを見たって顔をしないで!


「その蜘蛛は食べない方がいいぞ。毒がある」

「そうだったんですか。だから、舌がひりひりするのか」


 てっきり、辛いからひりひりするんだと思っていましたよ。


「お前、死なないのか?」

「これで死んでいたら、とっくの昔に、豚の丸焼きになっていますよ」


 ある人たちはそれを通り越して丸ごと豚カツにしようとしていましたが、それは気にしない。気にしない。


「まぁ、いい。とにかく出ろ。あと、その蜘蛛はさっさと捨てろ」

「美味しいのに。あなたも食べます?」

「いらん」

「つれないな。で、なんで僕が食べるのを待っているんですか?」

「その蜘蛛は触れただけで死ぬからだ」

「なんだって! じゃあ、なんでその蜘蛛を駆除しないんですか!」

「この地下牢は死刑囚を入れているんだ。だからだ」

「死刑囚って何ですか! まさか、僕も死ぬってことですか!」

「お前、勇者に手を出したんだろ?」

「ま、まぁ……」


 たしかに、それは事実です。ただ、僕は彼を殺してませんよ。ただ、遠くに飛ばしただけです。たぶん。


「勇者教会はそれを許さない」

「あっ! この国の人は勇者を崇めているんだった!」

「だから、さっさと懐に隠しているのも含めて全部食べろ。運べないだろ」

「ちぇっ!」


 持っていたのが、バレてたか。一応、キング君のお土産にくすねていたのに残念。残念。


「さぁ、出ろ」

「担がないんですね」

「念のためだ。まだ、お前が蜘蛛を隠し持っているかもしれないからな」

「ひでぇな! さすがに、そんな真似はしませんよ!」

「おい。看守」


 あっ、この香水のきつい匂いは!


「何でございましょうか? 姫」


 やっぱり、ヤバい王女様だった! 


 って、騎士様は一応、膝をつくんですね! あまりにも汚いので、ここではしないだろうと思っていましたが、するんですね!


「こやつは妾が連れて行ってやる。さすがに、お前が父上の下に行くのは風聞が悪い」

「左様ですか。なら、頼みます」


 ねぇ、僕には何も言う権利がないんですか? それは見た目が豚だからですか? 絶対にそうですよね?


「34番。背負え」

「ブヒヒヒヒ」


 えっ! このオークに乗るんですか! しかも、前のやつとは違うし! あと、どう考えても、担がれるのは怖いんですけど!


 うわぁぁぁぁぁぁぁ!


「ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと、はやいんですけどーー! だ、だ、だいじょーぶなぁんでええすか?!」

「安心しろ。こいつは久しぶりに男のオークに触れて喜んでいるだけだ」

「僕を運ばせるオークを間違えていますよ!」

「安心しろ。こやつはオスだ。それに“どかーん”は“ピロリロリン”してある。だから、けっして、お主に“ピッピッピー”はして来ぬわ!」

「そっちの方が怖いわ!」


 オスでもメスでもどっちにしろ怖いですよ!


 ******


 僕がオークに担がれた揺らされること数分。


 なんかやけに装飾されている扉の前に下ろされました。そして、王女様が扉を叩こうとすると、中からかっこいい騎士様が現れました。


 今まで中年の騎士しか見たこと無かったからなんか逆に不安になってきました。


 あれ? この人、本当に騎士様なの? もしくは男装の麗人?


「王女様。さすがに、ここにオークを連れてくるのはやめていただきたい。ましてやオークに担がせるなどとんでもない」

「オークを連れて来いと言ったのは父上の方ではないか。それとも、あれか? また、一人で自動殺戮機械オートキリングマシーンを屈服させる方法でも考えておるのか?」


 屈服? それは気になりますね。教えてほしいものです。


 もしかしたら、僕が参考に出来ることもあるかもしれませんからね。


「そういうことを言うのはやめていただきたい。彼女は一応、この国最強の騎士なんですよ」

「あやつを制御できなくて、何が王じゃ。父上は相変わらず小物じゃ」

「そんなことよりもさっさとそのオークをこちらに渡していただきたい」

「殺すなら、わらわにくれ」

「考えておきます」


 何? その間! この人にだけは僕をあげないで! 絶対にあげないで! もし、あの人の元に送られたら、僕が“くっ殺”してしまうじゃないですか!


「約束じゃぞ!」

「それは陛下の御心次第です」


 僕には自由というものはないのですか!


 あれ? イケメンがじーっと見つめています。


 なんか気持ち悪いですね。しっし!


「さぁ、中に入る前にこちらに来てもらおう。さすがに、その汚らわしい姿で王の前に出てきてもらうのも困る」


 えっ? なんで?


 ******


 彼に連れられてきたのは急ごしらえの小屋でした。


 中に入ると、蒸気でのぼせそうになりました。


「なんですか? これ」

「聖水のサウナだ。ちゃんと薬草の香りもする極上のサウナだ。そこで汗を流し、そこの氷聖水に浸かりなさい」

「人を殺す気なんですか!」


 まさか、あの変態王女様のもとに送られる前にこんな仕打ちに会うとは思わなかったよ!


「これは王の前に来たら、必ずやることだ」

「普通こんなことしないですよね! どこからどう見ても急ごしらえの小屋ですし。絶対そうだ!」

「では、ごゆっくり」

「その間はなんだ! その間は!」

「つべこべ言わずさっさと入れ!」

「ピギャーー!」


 イケメン騎士様は僕を地獄のサウナ部屋に押し込めるとすぐに扉を閉めました。


 僕は彼の気配がしなくなってから大声で叫びました。


「絶対に許さないからなーー!」


私は以前、レイラ様の屋敷に押しかけてきたお兄さまその1も一応、騎士だったと思うのですが、オークくんの記憶にはないそうですね。


なぜ覚えていないのかは私にも分かりません。


さて、次回も明後日更新です。

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