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069.謎のツインテール女騎士に捕まったんですけど!

 

 どうもオークです。今、首に剣の刃を立てられています。


 別にレイラさんが嫉妬心に駆られて僕に斬りかかったわけでもなく、キーラさんが今度こそ僕に傷を合わせようとしたわけでもなく、八郎ちゃんが僕の首の肉を削ぎ落とそうとしたわけでもありません。


 また、新キャラ登場ですよ。


 桃色の髪にツインテールのスレンダーな美人ですが、人の上にのしかかって刃を立てるんですからね。


 こんな寝起きドッキリあったらいけませんよ! 


「なぁ、お前が最近、レイラがご執心のオークなのか?」

「僕は知らない人とは話さないことにしているんです」

「今、話しているけど?」

「ほんとだ!」

「とにかくお前を王都に連行しろと言われているので、大人しくついてきてもらおう」


 えっ? 王都? なんか話が急だなぁ。


「ちょっと待ってください。いきなり、人の首に剣を突き立てて、王都に連行する? 何を言っているんですか? っていうか、あなたはいったいどこのどなたなんですか?!」

「わたしは赤薔薇の騎士団団長だ。東の大穴の管理をしていた。今は王都で休暇を満喫していた」


 いきなり変な言葉の羅列が出てきました。


 あれ? この人自己紹介において肝心なこと忘れてないか?


「名前は?」

「言いたくない」


 あまりにも苦々しくそう言うものですから、僕はそっとしました。だって、僕は空気を読める紳士ですからね!


「ところで、赤薔薇の騎士団ってなんですか? あと、東の大穴もなんですか?」

「そうか。豚にはそんなことも分からないのだな。良いだろう。説明してやる」


 彼女は嬉しそうな顔をして、説明し始めました。


「赤薔薇の騎士団は男子禁制の女騎士の女騎士による女騎士のためだけの騎士団なのだ!」

「そして、東の大穴は魔王軍の領地と繋がっている大きな穴のことだ」

「それってなんか物騒なところじゃないですか!」


 それに女騎士の女騎士による云々って何ですか! 男子禁制で事足りるのに、なんで付け足したんだ!


「まぁ、勇者をそこに突き落とすだけの仕事だからそんなにしんどくはないぞ」

「勇者を突き落として良いんですか?」


 僕は吹き飛ばしただけで嫌な思いにあっていますよ。あなたはどうなんですか!?


「じゃあ、どうしたら大穴に自ら飛び込めるんだ?」

「いや、それ以外に魔王軍の領地に入らないんですか?」 


 だって、あなたみたいな化け物の前を白昼堂々とあの男が歩けるわけがありませんもの。


 もし、あいつがこの人の目の前に出たら、とっくの昔に僕はストーカーを一人失っていましたよ! 証明終了!


「無理だ」

「本当にそうなんですか?」


 そんなに強く言い切っちゃって……。嘘ついたら、針千本ですよ!


「おっとこんなことを話している場合ではなかったな。お前には勇者クズノキを吹き飛ばした罪、ミリア王女殿下を泣かした罪、アリシア様を誑かした罪、などなど。とにかく、16の罪の容疑がかかっている」

「なんですか! そのどう考えてもバカげた名前をした罪は!」


 最初の一つはしょうがないと思っていますが、それ以外は何ですか! こじつけですか!?


「そう言った方がわかりやすいだろ? 勇者保護法第八条第七項なんて言っても豚の知性には理解できないだろうからな!」

「事あるごとに人を豚とか言ってバカにしないでください」

「どっからどう見ても豚だろ?」

「そうだった!」

「とにかくついてきてもらおう」

「いつの間に手錠が!」


 彼女は手錠についていた鎖を引っ張り上げ、僕を引きずりながら、僕の小屋から出ました。


「なーに、心配することはない。王都に行ったら、それはそれは素晴らしい王女様に熱い愛の鞭を打たれ、ゴミのありがたくもない話を聞いて、天使の歌声と共にこの世から旅立つのだからな」

「なんですか! そのおかしなことのバーゲンセールは!」


 王女様ってあのバカですか? 僕、絶対に殺されたくないから嫌なんですけど!


「おまえ、まさか」


 彼女は突然、目を丸くしました。あれ? 僕、なんか変なことでもしたのかな?


「転生者か?」

「へっ?」


 なんでわかったんですか? まさか、あのいらないくだりって……。


「そうか。それはお気の毒だったな。どこかで聞いたようなフレーズだと思ったら、そりゃ転生者だからそんなことも言うだろうな。まぁ、同じ転生者のよしみだ。引導だけは渡してやる」

「そんなものいりませんよ! っていうか、めっちやくちや羨ましいな! 貴族の令嬢に転生ですか! 良いご身分じゃないですか!」

「そうだな。初めは私も女に生まれ変わったのが嫌だった。いつか男と無理矢理結婚させられるんじゃないかって思ったんだ」

「あなたって前世は男だったんですか! いや、それでも、オークになるのに比べたら、マシでしょうが!」

「たしかにそうだな。この世界は鍛錬を重ねれば、騎士になり、女を手籠にすることができるのだ!」

「なんかそれって色々、おかしいと思うんですけど」

「まぁ、私は天国にいるから畜生道を歩むおまえのことなんてさっぱり理解してやることもできんが、とにかく引導だけは渡してやる」

「だから、それがいらないんですよ!」

「あれ? オーク殿、また、女を連れて歩いているのか?」


 ピギ!


 また、レイラさんが目だけ笑っていない顔をしている。怖い。怖すぎる!


「ご、誤解ですよ! 第一、この人は侵入者で僕はこの人に拉致されるところだったんですよ」


 それに、見てくださいよ! この手錠を! あなたはこれがデートしているように見えるんですか?


「侵入者? 誰のことだ?」

「久しぶりだな。レイラ。おまえがまったく王都に来ないからオークを捕まえるついでに迎えに来たぞ」


 あれ? レイラさんが急にふるえ出した。これはどういうことなんだ? まさか、あの同部屋の変態女騎士って……。


「いーやーーーー!」


 レイラさんは叫びながら、彼女から逃げました。


「待てよ。私の愛しいレイラ! あぁ、レイラ。今すぐ私と結婚しよう!」

「お前とは絶対に結婚なんてしないからな!」


 やめてください! 中指を立てたら、この人が余計喜んじゃうじゃないですか! ほら、涎がどばどば滴り落ちていますよ!


 あと、ツインテールのお姉さん。


 せめて僕の手錠から手を離してから追いかけてくれないかな? 正直、迷惑なんですけど!


次回、070.悪いオークは王都へ連行だ!

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