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064.理不尽を目の当たりにする王女様

 

 そういえば、シロクマの鳴き声ってどんな感じなんでしょう?


 ぐおーっ、とかそんな感じなのでしょうか?


 まぁ、僕の肩に噛みついてくるシロクマさんはどうも無口なようで何も喋らず、黙々と僕の体に噛みついています。傷一つつかなくてシロクマが少しおろおろしているんですけどね。


 言っておきますが、これは甘噛みじゃありませんからね。甘噛みっていうのはかわいい小動物に似合う言葉であってこんなに図体の大きな化け物とは違いますからね!


 さて、彼(?)に噛みつかれながら、僕はスキップして少しでもあのかわいそうな子から離れないといけませんからね。


 ほんと、無害な僕をなんであそこまで付け狙うんでしょうかね? 僕はビアンカさんとかレミオラさんみたいな人は大歓迎なのですが、生憎、あんなネタキャラは欲していないのですよ。だから、帰った! 帰った!


「見つけたぞ! オーク!」


 ここで「ピギャーッ」って喚くと思ったそこのあなた。


 僕をバカにしていますね。言っておきますが、強さの優劣くらいは分かっているつもりですよ。


 オークイーターとかレイラさんとか一部の例外を除けば、僕は泣き喚いて遁走などしておりません。それはきっとこの話はあくまで困っているときについての話であるからでしょう。だって、困っているときって僕にとって大体命の危機ですからね。


「あっ、あなたってこのクマの飼い主ですよね? この子、肩に噛みついているんですよ。躾がなっていませんね。一度、キーラさんにご相談されてみると良いと思いますね」

「はぁ? そんなものは必要ないじゃろ? オークは食べ物じゃ」

「そんなのあなたたち人間の固定観念でしょ! 一度、かわいいちょっと大きめな豚さんが歩いているって思えばいいんですよ!」

「どこからどう見ても化け物にしか見えないと思うのじゃがな。——って、まさか、お前?」


 あっ? これ、バレちゃいました? 


「お、お、お、お、お前! まさか、あの忌々しいオークか!」

「どのオークですか?」

「あちしを吹き飛ばしたオークに決まっておるじゃろ!」

「え? 僕がそんなことしましたっけ?」

「した!」

「してない!」

「した!」

「だから、してませんって!」


 何ですか! 僕に無理矢理吹き飛ばしたって認めさせたいんですか! 僕はネタキャラを棍棒で弾き飛ばしたのであって、吹き飛ばしたわけではないのですよ。


「いい加減、認めるのじゃ! うぬはこの世で最も邪悪なオークだと!」

「なんかますます人の呼び方は悪化してるじゃないですか!」

「オーク殿、いったいここで何をしているのかな?」

「ピギャ!」


 なんでここに完全武装状態のレイラさんがいるんですか!


 待てよ。今、僕は頭からシロクマにかぶりつかれていて、金髪ロリにしつこく絡まれています。しかも、体はオーク。


 最後はどうしようもないことですが、それ以外は怪しすぎる! やばい! 今度こそ殺されるかもしれない。


 これまで一部の例外を除いて元気ハツラツ変態さんだったのに、今はなんかハイライトのない目でじーっと僕を見つめています。あなた、本当にレイラさんなんですか!


自動殺戮機械オートキリングマシーン! こやつを野放しにするとは何事か! こやつはオークじゃぞ! 女の敵じゃぞ!」


 だから、この人にそんな台詞が通用していたら、とっくの向かいにオークはこの世界から姿を消していますって。


「あぁ、今はお前のことなんてどうでもいいんだ」

「え? 何を言っておるのじゃ? まさか、オークを放っておくのか? それも貴族の未婚の娘の屋敷に? いくらなんでもそれは風聞が悪いじゃろ!」

「だから、あなたのことなんて今は関係ないんだ」


 いや、あなたなんかキャラを間違えていますよ。あなた、そんな感じじゃなかったでしょ!


「オーク殿」

「ピ!」

「最近、サキュバスと仲良く話しているようだが、それはなぜだ?」

「そっち!」


 よりによってそっちですか! 家財道具一式持ってきて、「ここに住み込みます!」ってレレミナちゃんがメイドとして働くようになってから妙に不機嫌だと思っていたら、そんなことだったんですか!


 すると、メイド長が息を切らしながら、僕たちの下にやってきました。


「ようやく追いついたわ。あなたたちもっとゆっくり走れないのかしら?」

「おばば」

「だから、私はおばばじゃないの。で、何かしら? 久しぶりにそんな怖い顔をして。あの子と騎士学校で同部屋になった時以来じゃない」


 誰? いったい誰がこんな彼女を引き出したって言うんですか! しかも同部屋? それなら、女性じゃないですか! ほんと、この世界は男で強い人はいないんですか? あっ、おじいさんがいたわ。まぁ、それはどうでもいいか。


「そこのおかしな喋り方をするバカ女を丁重に帰せ」

「はぁ……。一応、この子、王女様なんだけど」

「そうじゃぞ! あちしは王女なのじゃ! 第七王女!」

「わたしは今はオーク殿との話で忙しいのだ! こやつなど関係ないわ!」

「じゃあ、お母さんに言うわよ」


 また、お母さんですか。最近、お母さんで手過ぎじゃないですかね? そんなに怖い人なんですか? この人のお母さん。


「そ、それだけはやめてくれないか?」

「じゃあ、この子の言い分を聞いて、その後、帰すってことで」

「なぜ帰ること前提なのじゃ! あちしは自動殺戮機械オートキリングマシーンの助力が得られるまで帰るつもりは無いぞ!」

「だって、ここはレイラ様の御屋敷なの。あなたごときがつべこべ言えることじゃないの」

「は、はい!」


 なんかみなさんいつもよりも怖くなっていませんか! 僕の上にのしかかっているシロクマちゃんがびくびくしているじゃないですか!

 

次回、065.王女様、はじめての○○

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