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058.女になりたい父とそんな父を男にしたい娘が屋敷に来た理由

 

「どうして来たんだ! マリー! お前はこんなところに来てはいけないと言っただろ? 痛っ!」

「お父さんがいつも通り変な格好で領主様の館に来たからでしょ!」

「一応、わたしはここの代官をしている身なのだが……」

「同じですよ! 本当に父がお見苦しいところを見せてしまい申し訳ありません。今すぐ着替えさせます!」


 部屋から連れ出そうとするマリーさんにオークイーターはジタバタ抵抗しました。


「マリー。これはお父さんの戦闘服なんだ! だから、これを脱がそうとするな! これを着なければ、あたしは男になってしまう!」

「最初からお父さんは男でしょうが!」

「ヘブシ!」


 これは精神的にも肉体的にもきつい一撃ですね。あれ? なんかお父さんを引きずってません? まさか、オークイーターよりもあなたの方が危険だったりするんですか!


「さて、私はしばらく父を着替えさせるので少しお待ちください」

「わたしは別にそのままでいいのだが……」

「私が許しません!」


 彼女はそう言って部屋から出て行きました。


「なんか凄い娘さんでしたね。まさか、あのオークイーターをあっさりと捕まえてしまうのですから」

「あの人は女性には暴行しないことにしているんだ。別に娘さんが強いわけでは無いと思うぞ!」


 そう言うレイラさんを肯定するように心を読む少女が口を開きました。


「あの娘さんは弱いよ。たぶん、オーク一匹も倒せないと思う」

「言っておきますが、それは普通ですよ!」

「ここにいる女性はオーク一匹くらい余裕で殺せるくらいの力がありますよ」と、ビアンカさんは青筋を立てながら答えました。


 いやいや、もし、異世界の女性全員がオークを倒せるほど強かったら、とっくの昔に魔王様は勇者を呼ばずに討伐できていますよ!


 いや、たしかこの屋敷に一人一般人がいたはずだよね! あの人は一般人じゃなかったの?!


「それが普通じゃないんですよ! たしか、レイラさんはオークイーターと戦ったんじゃないんですか?」

「え? いつのことだ?」


 もうそんなことも忘れてしまったのですか……。あなたの記憶力が心配になって来ましたよ。あぁ、そうでしたね。たまに僕と別のオークを間違えて抱きついていましたものね。


「あなたが巨大化したオークイーターと戦っていたじゃないですか! もう忘れちゃったんですか?」

「ほんとだ! あの野郎! 次会ったら、問い詰めてやる!」


 ******


 今、僕は夢でも見ているのでしょうか?


 目の前にはスキンヘッドに髭の生えたダンディなおじさんがスーツを着てソファに座っていたのです。


 あれ? ついさっきまで化け物がそこにいたような気がしたのですが、僕は夢でも見ていたのでしょうか?


「改めまして、私の名前はゲオ「ゲオウです。で、私の名前はマリーです。父は一応、ハントクラブのマスターをしております。私はそこの受付を担当しております」

「で、今日は何の用で来られたのか?」


 レイラさんがそう言うと、マリーさんは言おうか言うまいか迷った末、こう答えました。


「失礼ですが、その体に巻きついているのは何ですか?」

「あぁ、これはうちのメイドたちが無理矢理したものだ。まったく、わたしをなんだと思っているのだろう?」


 本当にあのときの暴れようは酷かったですよ。どうして、たかがオークイーターと戦ったことだけで心を乱すのでしょうか? 


「じゃあ、本題に入りますね。ところで、勅命の手紙は見ましたか?」

「見てないぞ? そもそも、そんな手紙すら知らないぞ」

「それに関しましてはミーたちの方でトラッシュにしました」

「なぜそんなことをしたんだ!」

「レディが『オークを根絶やしにせよ!』という勅命を聞いたら、とんでも「なんてことを言うんだ! わたしのかわいいオークたちを根絶やしにするだと? 今すぐそんな馬鹿げたことを言ったやつを呼んで来い!」


 あれ? 今、かなり危険なことを聞いたような気がするんですが……。僕ってやっぱり夢でも見ているのでしょうか?


「ですから、王様ですよ。お嬢様。お気を確かに」

「うぎゃーー!」

「これは重要なことなの。分かってくれるわよね?」

「お父さん」

「ひーっ!」

「なんでそんな女々しい言葉遣いをするのかな?」

「こ、これはいつオークが現れてもいいように女性らしくなるための訓練なんだ!」

「そんなハゲ頭と髭面でよく女になれると言ったよね!」

「ヘゲブ!」


 また、きつい一発でしたね。マリーさん、あなたってやっぱり強いんでしょ? 絶対に強いですよね?


「さて、父は少し発作を起こしたらしいので、代わりに私の方で話を進めたいと思います。ところで、お嬢様はさっきからなぜそのような表情をしているのですか?」

「決まってるだろ! オークを殺すなんて神に唾を吐くことと同じだ!」

「いや、何を言っているんですか? オークは女性の敵なんですよ」

「そんなのわたしの知ったことではない! わたしは協力しないぞ!」

「なら、そこにいるオークを異端審問にかけましょうか?」


 あれ? 急に僕にまで危険が及んできたんですけど! やっぱりあなたたち親子ですよね! やばいことを平気な顔で出来ますものね!


「な、何を言う。そもそも、ハントクラブの一支部の看板娘風情が異端審問を開けるはずがないぞ!」

「いえ、ちゃんと、この手紙読みましたか?」

「オークを討伐をリードしたモーメント、バーンしました」

「しょうがないですね。最後の方を読み上げますよ。『もし、クロフグの森に生息するオークを根絶やしにしなければ、お前のそばにいるオークは異端審問にかけた後、処刑することにしよう』」

「「いやーーーー!」」


 なんでこんなことになるんですか!  


 って、あなたも叫ばないでくださいよ! 僕は殺されるかもしれませんが、あなたには関係のないことじゃないですか!


「まぁ、そんなことされたくなかったら、協力しますよね」

「絶対にするもんか!」


 レイラさんは頬を膨らませてそっぽ向きました。


「レディ」

「なんだミカエラ。お前もわたしをあの愚王と同じように裏切るのか?」

「いえ、もし、キングの言うことにビトレイしたら、マザーにテルしますよ」

「いやー! それだけはやめてくれー! 絶対に協力するからそれだけはー!」


 なんでお母さんだと言うこと聞くの?! やっぱり、あなたのお母さんはかなり危険な人なんでしょ! 絶対にそうでしょ!


「と言うわけで、これから話し合いをするので、そこのオークを追い出して下さい」

「ラジャー!」


 僕はマリーさんの指示に従ったメイドさんたちに担ぎ上げられて、応接間から庭へ放り出されるのでした。


 そして、ピシャリと閉め出されました。


 まぁ、そりゃ、そうだよね! オークにそんなこと聞かれたくないよね!


次回、059.お留守番中のオークについて


え? 討伐作戦についてやると思った?


オカマと女騎士とメイドによる蹂躙劇のどこが面白いんですか? 

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