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052.少し魅力的なお姉さまとベッドイン?

 

 お久しぶりです。オークです。


 最近、たくさんの包丁をジャグリングのように振り回す見た目は少女の料理長に追いかけられています。


 友達だと思っていたのに、こんな仕打ちはひどいです! あんまりです!


 僕は日課の薪割りも、メイドさんたちの手伝いもできずにひたすら追い回されているのです。


 それが影響しているのか知りませんが、料理長がとある事情で職場放棄をしているため、ここの食事が急激に悪化しています。


 最初はこれが普通なんだって草むらの中から覗いて思ったのですが、少しずつ明らかに食事が雑なものになり、しまいには携帯食がそっと置かれるようになっていました。


 僕が食事をとりに屋敷に入ろうとすると、あのバケモノの罠にかかってしまうので、草むらから覗いています。


 一度、罠にかかったところをキング君に助けてもらったのですよ。——ほんと、キング君がいて良かったです。


 あの後、心を読む少女に事情を聞いたところ、どうもここのメイドさんは食事にあまり気を遣っていなかったらしく、料理長以外まともに料理が出来る人がいないそうです。


 さらに、ここのお嬢様であるレイラさんはこのことに対してまったく文句を言わないのです。


 お腹が減ると、携帯食が嫌いだからなのか知りませんが、あの人は森の中に駆け込んで行きます。夕方には、なぜか血みどろになって満足そうな顔で帰ってくるのです。


 そして、食事は要らないと言うので、料理を作る必要性が無くなってしまうのです。怪しいですね。


 とにかく、そういうわけで屋敷の食卓はまずい携帯食だけになってしまうんですよね。


 ちなみに、この状況を一人だけ喜んでいる人がいました。


 それは、マダムです。名前は忘れました。


 彼女は携帯食になったことで、急激に食費が減ったことに大喜びしているそうです。


 お金が大事とはいえ、大喜びしないで欲しいんですけどね!


 当のご本人は携帯食を食わず、優雅に自分で作ったあったかい食事を食べています。あぁ、忌々しい。


 僕は最近、雑草で生きていますよ!


 危険生物(りょうりちょう)に追い回されているので、雑草しか食べられないんですよ!


 よく考えたら、この状況で困っているのは僕だけでした。


 おじいさんは最近、見かけないし、メイドさんたちは携帯食をパクパク食べていますし、お嬢様は森で血塗れになって満足していますし、会計係のマダムは一人カーニバル気分。


 ほんと、なんで誰も困っていないんですか!


 それに気づいてしまった僕はとぼとぼと最近作ったねぐらに戻るのでした。


 はぁ、最近、まともにお肉が食べれません。そもそも、ドングリすら食べれませんよ!


 ねぇ、キング君。どうして僕がこんな目に合わなくちゃいけないんでしょうかね。


 ——あぁ、早くお肉が食べたい!


 ******


 あれ? これはいったいどういうことなのでしょうか?


 目が覚めたら、僕のお腹の上にはネグリジェ姿のお姉さんが寝そべっているのですが、これさどういうことなのでしょうか?


 顔を確認しましたが、知らない人でした。


 レイラさんでも、アリシアさんでも、レミオラさんでも、ビアンカさんでも、ましてやレレミナちゃんでもありません。


 まったく知らない桃色の髪をしたグラマラスな美人でした。


 桃色の髪といえば、あの悪戯っ子メイドが頭に思い浮かぶのですが、胸が違います。少なくとも、あと10センチほどへこんでいたような……。


 すみません。勝手に人の悪いところに目がいってしまい、まことにすみませんでした。


 ところで、これは事後でしょうか?


 ほら、最近、いろんな意味で飢えているじゃないですか。それで、つい手が出てしまったとかなんとか。


 ただ、そんな記憶はありません。


 しかし、僕のお腹の上に乗るなんてあの女騎士さんにしかできない芸当ですよ!


 なんか怪しいです!


「ふわぁぁ」

「ピギャ!」


 えっ! もう起きちゃうんですか! なんか怖いんですけど!


「おはよう。オーク君」

「ピ、ピ、ピギャ!」

「そんなに怯えなくてもいいよ。ほら、凶器は一つもないよ」

「その胸にあるものは凶器はなんですか!」


 よく見たら、何ですか! その谷間にある取手は! 


 あれでしょ! 絶対切れ味のいいナイフでしょ! 僕はあなたが危険人物であることはわかっていますよ!


「イヤだなぁ。そんなに見ないでよ。えっちぃ」


 何でしょう。この人は。


 まさか、ここ最近、メイドさんたちに尽くつれない反応をされる僕を救済してあげようと神様が遣わしてくれた天使様なのでしょうか?


 それとも、あの悪戯っ子メイドが僕を騙そうとしているんですか?


 ほら、あの谷間にあるナイフ。天使様がそんなものを持っているわけないじゃないですか! 


 寝ぼけ眼ではっきりとは見えていませんでしたが、なんとなくあの人の面影があります。うん。20パーセントくらいあります。


「あなたはどうして僕の上で寝ていたんですか?」

「どうしてだと思う?」

「ピギャーーーー!」


 その顔! なんですか! 人の思考能力を低下させようとする魅惑的なその笑みはなんですか!


 レイラさんのぎこちない笑みを見てきた僕からしたら、もうなんかやばいんですけど!


 いろいろ、飢えているので、かなり危ないのですが、彼女に手を出したなんて誰かにバレたらとんでもない目にあいますよ! 


 ほら、僕のお隣さんもどんどん壁を叩いているじゃないですか!


 あれ? ここは洞窟では無かったのですか?


 壁をドンドン叩くなんて何処ぞの壁が薄いアパートでもありませんし。うん。ゴツゴツした岩ですね。


 なぜでしょう?


「ねぇ、お姉さんは君の話が聞きたいなぁ。ほら、君って珍しいオークじゃない。お腹に紋様も無いし、私の姿を見たらなんか目がキョロキョロしているし。私、君みたいな子が好きなのね」

「そ、そ、そんなこと言われても僕はほだされないゾ!」

「それって何? うちの妹が部下の女の子に手を出せなかったときによくやってた言動に似ているじゃない」

「それは不思議な妹さんですね」


 なんかこの人の妹と同じにされるのってイヤですね。


 部下にセクハラするなんてダメじゃないですか。ましてや、女性に手を出すなんてもっとダメでしょ!


 もし、僕が女の子に生まれ変わっていたとしても、女の人に“ピー”するつもりはありませんよ!


 ホントダヨ!


「そう。何度も襲われそうになったの」

「それ、全然、大丈夫じゃないですよ! むしろ、危険じゃないですか!」

「あの子はあの子でいい子なの。だから、気にしないで」

「気にしますよ。そんな変態ってレイラさんしかいませんよ!」

「あれ? レイラちゃんって、オークが大好きじゃなかったっけ?」


 待てよ。レイラちゃんってなんであの人のことを親しげに呼ぶの?


 そもそも、オークが好きな人ってこれまで4人しかいませんでしたよ。


 普通の女性なら、僕を見たら、しかめっ面になりますよ!


 それに、僕のお腹の紋様が無いってどうして知っているんですか!


 これはオークの間でしか通じない情報ですよ!


「あなたはいったい何者なんで「イヤーーーーーーーーッ!」


 いったい誰ですか? 僕は今、重大な話をしているので、「ピギャーー!」


 なんでここにレイラ様がいるんですか!


次回、053.豚女の集い

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