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051.和食探求その3!

 

「では、何がお主の言う和食なのでござるか?」


 そう言われると、困っちゃいますねー。


 唐揚げにお好み焼き、すき焼き、牛丼。どれが僕の思う最高の和食でしょうか?


 まぁ、やっぱりあれでしょ。


「そうですね。肉じゃがです」

「この本には斯様な料理は無かったような気がするのでござるが?」


 米大夫が肉はいらないなんて言ってましたもんね!


 それなら、当然、肉じゃがなんてレシピに載ってませんよね!


 しかし、僕は肉じゃがが食べたいのです。猛烈に食べたいのです。


「そんなの作ってみたら、分かりますよ! あの米大夫っていうバカ勇者がどうしてこの美味しさを隠したのか!」

「それは気になるでござる!」

「さっきからずっと気になっていたのですが、あなたはどうしてそのニクジャガを知っているのでしょうか?」


 ビアンカさんが首を傾げました。


 そうですよね。和食を森生まれ森育ちのオークが知っていたら、不思議に思いますよね。


 そういえば、彼女たちには伝えていませんでしたね。


 レミオラさんにはまったく信じられなかったのですが、心優しい彼女たちならきっと分かってくれるでしょう。


「それは僕が異世界から転生したからですよ」

「「ありえない」」

「そこは信じてくださいよ!」


 僕はこのとき、二度と誰にも異世界転生したなんて言わないと誓いました。


 そもそも、そんなことを言うオークなんてただの恥ずかしいやつですね。


 ******


 あれから一週間経ちました。


 僕が覚えている限りの情報を教えると、彼女は何かに気づいたのか、僕をそのままにして厨房へ駆け込みました。


 僕は早く縛られた状態から解放されたかったのですがね!


 ちなみに、僕はビアンカさんに上目遣いをして二日経ってから渋々解放されましたよ。


 もっと、早く解いて欲しかったですよ。跡が残っているじゃないですか。


 それに、あのピンク頭の意地悪メイドがいじってくるんですよ。


「君、ひょっとして、ビアンカと“パリン”なことしたでしょ?」なんて言われるんですよ。


 しかも、どうせ何もやってないんでしょ、って明らかに思ってるんですよ!


 笑うのを必死に堪えようとするあの顔。どこからどう見ても腹が立ちます。まぁ、事実だから文句言えないんですけどね!


 実のところ、やって欲しいのですが、ビアンカさんが恥ずかしがり屋だからなのか知りませんが、やってくれないんですよ!


 さて、今日はあのロリ料理長から呼び出されました。


 どうやら、彼女が納得する肉じゃがが出来たそうです。


 楽しみだなぁ。楽しみすぎて廊下をスキップしていますよ。


「さぁ、料理長! 僕に肉じゃがを食べさせて頂戴!」


 僕が厨房の扉を開くと、ロリ料理長が待ちわびたような顔をしていました。


「やっと来たでござるか。しっかり煮込んで作り上げたでござるよ。最高の肉じゃがを」

「なんと芳しき匂い! これは期待できます!」

「肉はお主の要望通りグレートブルを使ったでござる。あとはじゃがいも、ニンジン、インゲン、玉ねぎを拙者が考えた黄金比で作り上げたでござる」

「その黄金比はなんですか?」

「拙者にしか出来ないことでござる」

「な、なんだって」


 そんなこと言われると気になってしまうのですが、いったい何をしたんですか!


「まぁ、そんな難しいことは気にせず、さっさといただきましょうぞ」

「えぇ」


 そうですね。とにかく食べないと美味しさが分かりませんね。


 食べた瞬間。二人は握手しました。


 まるで旧友と再会したかのように固く手を握り合うのでした。


「こんなものが無かったのがおかしいでござるよ」

「ですよね。これは本当に美味しいですよ!」

「明日の夕食はこれにしようと思っているのでござるが、お主はどう思われるか?」

「アリでしょ!」


 想いが一致した二人はメイド長が来るまで両手を合わせてしばらく踊っているのでありました。


 あのときのメイド長の「どうぞ。ごゆっくり」ほど悲しくなってしまうものはありませんでした。


 ******


 あれから無事に体調が回復した僕は女騎士様から隠れるために厨房に入り浸るようになりました。


 そんなある日のことです。


「そういえば、カツドンなるものがあるらしいのでござるが、オーク殿、腿を分けてくれないだろうか?」

「そんなのダメに決まっているじゃないですか。それに、僕、豚は食べたくないんですよ」

「自分を食べているような気分になるからでござるか?」

「ご明察ですね、友よ」

「そんなオーク殿のために魔物用のポーションを用意したでござる。試しに数十センチほど欲しいでござる」


 上目遣いをされたので、一瞬、どぎまぎしてしまいましたが、冷静に。


「それ、脚をかなりバッサリと斬っちゃってませんか? 絶対に斬っちゃってますよ!」

「ほら、ただの果物ナイフでござるよ。痛くないでござるよ」


 よく考えたら、僕の皮膚はキーラさんの愛刀を粉々にしましたよね。


 だから、果物ナイフなんて大丈夫。大丈夫。


 それたら、少しくらい彼女の遊びに付き合ってあげましょう。


「ならいいでしょ……」


 あれ? 左の頬から血が垂れてる。ピギャ!


「拙者は武士でござる。武士たるもの刃物の取り扱いは得意なのでござる。特に繊維を傷めずに斬るのは拙者の十八番でござるよ」

「ピ、ピギャーーーー!」


ちなみに、あの昆虫和食のフルコースは料理長が食べました。オークは一人でその様子を縛られたまま見ていました。


次回、052.ちょっぴり魅力的なお嬢様がオークのベッドの中に?

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