047.友達がいないはずのオークに二人目の客人が来ました
どうも。オークです。
今日もメイドさんに呼び出されて、お風呂場に向かっています。
そういえば、あれからあの聖水風呂の中に入っていませんね。
なんか「お金の無駄! 無駄! 無駄!」とかマダムが喚き散らしたため、聖水風呂はしばらく使用不可になったらしいのですよ。
それなら、せめて、サキュバスさんにデッキブ、——ゲフン! ——サキュバスさんに垢擦りされたかったです。
さて、僕は今、久しぶりに聖水が並々と入った風呂場の前に来ました。
安心してください。腰布はつけていますよ。
ところで、どうしてそんなネタをいきなりぶっこんできたかって?
だって、ここはまだ脱衣所じゃないもの。
しかし、いつ来てもどこか殺虫スプレーのような匂いがして気持ち悪くなりそうですね。
それなのに、メイドさんたちはむしろ元気になってしまうらしいのです。まったくおかしいですね。意味不明ですよ。
「おう。やっと来たか。豚野郎」
「いきなり豚野郎呼ばわりするのはやめてくれませんかね?」
「とにかく早く中に入れ!」
「ひょっとして久しぶりに入らなくちゃいけないんですか? イヤですよー」
「バカヤロー! テメェにそんなことしたらヴィルなんたらのババアにぐちぐち文句言われなくちゃいけねぇじゃねぇかよ!」
「それに、アンタを風呂に入れるならその壊滅的なデザインした腰布を剥ぐよ」心を読む系ロリメイドは唾を吐き捨てます。——あなたって、そんなキャラでしたっけ?!
「いやーん!」
「きしょ〜!」
酷いですね。そんなに僕が悲鳴を上げたら気持ち悪いんですか?
さすがに、僕のガラスの心臓が粉々に粉砕されますよ。
「じゃあ、今日はどうして呼ばれたんですか?」
「見えねぇのか? ここにいる骨に」
「骨? そんなものがあるはずが……。——ピギャーーーーーーーー!!!」
そこには、水死体がありました。
そう。白骨化した水死体です。
そうでなければ、僕が今、見ているものの説明がつきません。
しかし、不思議なことがあります。
その骨がカタカタ顎を動かしているのです。ここはお化け屋敷でしたっけ?
「…………」
ただし、声はまったく聞こえません。カタカタ不気味な音が聞こえるだけです。
僕は咄嗟に一番近くにいたメイド長さんを盾にしました。
「彼は何を言っているんですか?」
「ねぇ? どうして私を盾にするのかしら?」
「いえ、メイド長さん。これはあなたのためにそうしているのですよ。あなたに聖水のミストを浴びせようと思いまして。ほら、こじ「何か言いたいことがあるのかしら?」——何でもありません」
「まったくひどいわ。まさか、か弱い私を盾にするなんて。さて、あの骨は一応、あなたのお友達でしょう?」
「あれは僕に纏わりつく気持ち悪い生き物です」
「三杯かけてこの状態なのに、よくアンタのストーカーができたね」
こら! そこの無神経心を読む系ロリ!
白骨化死体に追い打ちをかけるようにデッキブラシをかけるんじゃない!
これ以上僕にあの骨の断末魔を聞かせないでください!
——あれ? なんかさっき聞き捨てならないことを聞いたような気がします。
「三杯?」
「そう、三杯」
「はぁぁぁ? 何考えてんだよ? たった三杯でへこたれる? 僕は毎日、五十杯もかけられていたんですよ! あなたもそうしてくださいよ!」
どうして三杯だけでこんなことになってやがるんだ?
あぁ? もっと、デッキブラシでゴシゴシされてみるか?
まだまだ僕が受けた苦しみに比べればたりねぇぞ? おらぁ! この“ピー”骨野郎が!
「骨の断末魔を聞くのがそんなに気持ちいいのか?」
「あなたにだけは言われたくありませんよ!」
僕を散々痛めつけたあなたがそんな台詞を言わないでくださいよ!
「それにしてもひどいだろ? ——あれ? そういえば、こいつてめぇのストーカーなんだろ? それにしちゃなんか弱すぎないか?」
「それは、彼のそばにいるうらやまけしからんくらいの超絶美女がいたからで……。——あれ? レミオラさんはどこですか?」
「あぁ、彼女なら帰省中だって。ほら、最近、二週間働いていたじゃない。少しは休まないと」
へー。休みですか。めんどくさい奴を僕に押し付けておいて、一人バカンス? なんかひどいですね。——まぁ、ハグしてくれたら許しますけど!
「あなたの方が休ん「何か文句でも?」ナニモアリマセン」
ほんと、この人ってどうしてこんなにキビキビ動けるのでしょうか? これも生命の神秘の一つになっていくのでしょうか?
「そろそろ、この骨を上げましょうか。さすがに、ここで話すのも辛いでしょうし」と、心優しいビアンカさんが提案しました。
「じゃあ、さっさとそうしてくださいよ!」
いい加減、この殺虫剤まみれの空間にいるのも辛いんですよ!
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僕たちは聖水風呂に入っていた彼を連れて応接間に来ました。
彼は歯をガチガチさせながら、温かい紅茶を飲んでいました。寒くないのに、どうして歯を鳴らすんですか? まったくめんどくさいやつですね。
「ひ、ひ、久しぶりだな。オークよ。げ、げ、元気にしていたか?」
「帰れ!」
「なぜなんだ!」
よくよく考えてみたら、彼は見た目は不健康だけど、案外元気そうなんですよ。
それに、この人、臆病者だから替え玉ゴーレムを使っているかもしれませんからね。信用できません。
「さて、あなたはどうしてここに?」
「決まっているだろう? お前を連れ戻しに来たんだよ!」
「は?」
僕をいったいどこに連れ戻すんですか?
次回、048.あの手この手のスカウト大攻勢
そういえば、もうすぐエイプリルフールですが、エイプリルフール企画はありません。
一度、“色々含めてほぼ50部分書いたよ(笑)記念”とエイプリルフールが近いことも考慮しててこのシリーズの逆パターンの話を用意してもいいかなって一瞬思いましたが、それはそれでワンパターンの気持ち悪い作品になってしまうのでやめておきます。
だって、おっさんが雌オークを追いかける話と、オークがシンプルに女騎士を追いかける話って面白くないでしょ?




