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043.続いてドジっ子メイドさんをお手伝い!

 

 眼鏡をかけたメイドさんに唆された僕はドジをしたメイドさんを手伝いに向かいました。


「お嬢さん。手伝ってあげましょう!」

「ギャー!」


 なんか僕、変なことしました?


 僕はただ、眼鏡をかけたメイドさんに言われて、花瓶を割ってしまった彼女に駆け寄ったのですが、どこかダメなところがあったのでしょうか? 


「さすが、“ピー”ピッグ。オークのくせにクラブ歩きしながら、近寄るとは……。やはり、ユーは恐ろしい変態ですね」


 また、あなたですか。相変わらず、片言ですね。いい加減そのキャラを止めてほしいです。


 ほら、意味が分からないんですよ。意味が。そもそも、クラブ歩きって何? 


「変な歩き方をしているつもりはなかったのですが、——それにしても、変態は聖言語にしないんですね」

「生憎、そこまでのノーレッジは無いのですよ。そもそも、ユーは聖言語セイクリッド・ワードを何だと思っているんですか?」

「カタカナ言葉を言ってカッコつけている気分になれる言語でしょう?」

「さすが、“ピー”ピッグ。聖言語の意味を未だにアンダースタンド出来ていないようで」

「そんなに変なことをたくさん言われると、理解できないんですよ!」


 それに、そのどや顔! なんか腹立ちます!


「奇遇ですね。ユーの言っていることも90パーセント理解できていません」

「さすがに、僕の話していることが理解できていないのはおかしいでしょうが!」

「ちなみに、彼女についてですが「何でいきなり話が始まるかな?」——聞きたくなかったのですか?」

「いや、聞きたいですよ? まさか、僕と同じようにうさぎちゃんをこよなく愛する友人が現れるとは思いませんでした」

「——フレンドにしては、少しおかしなリアクションをしていたような気がするのですが?」

「ゴールデンうさぎちゃんのすばらしさを百文字以上語れる人はみんな友なのですよ」

「ハンドレッドとはヒューですね。せめて、一万文字くらい「そうですか。なら、語ってくださいよ!」——気持ち悪い」


 そうですか。彼らの可愛さを語れないのですね。なら、あなたは同類ではありません。敵でしかありませんね。


 そもそも、体中に武器を仕込んだ女性が友人であることがおかしかったですね。


 そうなると、キング君からエキスを絞り落した彼女も十分敵なのですが、それは気にしない。気にしない。


「では、彼女はいったい何者なのですか?」

「魔物が好きな少女ですよ。ところで、そこで何をしているのですか? 毛も生えていないのに、頭を触って……。ひょっとして、今まで自分にはヘアがあると思っていたのですか?」

「それはさすがに、ひどいですよ! これは癖なんです!」

「へぇ。つるつるの頭を触るのが趣味とは「つるつるではありませんよ! 触ってみてくださいよ!」」

「なるほど。見た目と違ってブラッシーなのですね」

「なんかひどいことを言われた気がします。そもそも、猪なんて毛むくじゃらじゃないですか。オークもそんなものじゃないですか?」

「ユーは全身ピンクなのでてっきり毛が無いものだと思っていました」

「これまで何度も何度も近くで僕のことを見てたよね!? それを毛が無いっていうのはおかしいんじゃないかな!?」

「ところで、どうして頭を触っていたのですか?」

「さっき、言ったよね! 癖だって!」


 どうして二回も言わせるんですか! 二回も!


「では、彼女の話に戻りましょうか? 彼女は魔物が好きな女の子です。アンドルセン家の侍従メイドの家の者ですが、腕っぷしにはコンフィデンスがありません。ほぼ愛玩動物ペットみたいな扱いを受けています」

「まぁ、見た目からしてそうですよね。——ところで、彼女はオークに興味はあるのですか?」

「興味があったらイスケープますか?」

「ですよねー」

「まぁ、彼女はデンジャラスなので、心配なんですよ。だから手伝ってもいいですよ」

「デンジャラスって何ですか!」

「彼女はドジが多いのです」


 ドジが多いのがデンジャラスという表現なのはおかしいのですがね。


 ——待てよ? ドジが多いってことは……。


「ってことは一般人?」

「一般ピープルとは?」

「諜報活動と縁のゆかりもない普通の女性のことです」

「メイビーそうですが?」

「素晴らしい! マーベラス!」


 うわーい! やったー! やったー! やったー!


 ここのメイドさんってほとんど危険人物なのですが、彼女は諜報活動に無縁?


 キング君のエキスを搾り取る悪ーいメイドさんであることはたしかですが、僕のエキスを搾り取れるほど体力はないでしょ? なら、一般人と変わりありません!


 ところで、さっきから「エキスを搾り取る」という表現が少し卑猥だと思ったそこのあなた。そんなあなたの方が変態ですよ。


「そんなこと言っていないで、さっさと手伝いに行ってくださいよ!」

「ラジャー!」


 言われなくても行きますよーだ! 二度とあんな凶器を振り回さないでほしいですね!


「そこのお嬢さん! 手伝いますよ?」

「ひーっ!」


 あれ? どうして、怖がるのかな? 意味が分かんないや。


「怯えなくてもいいのですよ。僕が手伝ってあげますから」

「いやーっ!」


 ******


 誤解が解けた僕は彼女に言われて、書斎の整理をしていました。


「すみませーん! 案外優しいんですねー」

「わかってくれたんですね!」

「まぁ、うさぎちゃんたちにしたことはまだ許していませんけどね! あっ、その本は右の本棚です」


 さっきの悪い子に注意するあのポーズ。なかなかいいと思ってしまったのですが、ダメでしょうか?


 まぁ、そんなことを思っているとバレてしまったら僕の生命が危ないので、ポーカーフェイス。ポーカーフェイス。


「そういえば、こんなに本があるんですね。この書斎はいったい誰が使っているのですか?」

「そんなに使っている人はいませんよ。レイラ様のお母様が毎日送りつけてくるんですよ。レイラには教養をつけないとって」

「それは凄いですね」

「その本は読まないでください」


 いつの間にか梯子の上に乗っていた彼女は僕に注意しました。


「えっ? なんで?」

「この本には読むものを選ぶ魔法がかけられているんですよ。だから」

「ピピビギャーッ‼︎」


 な、な、な、何ですか!


 痺れて痛いのですが、これは何ですか!


 本型のスタンガン?


 悪戯のおもちゃにしては趣味が悪いですよ!


「もう大丈夫ですか、あれ?」


 僕を心配した彼女がうっかり梯子から落ちてしまったのです。


 ここのメイドさんなら、そのままうまく着地してすました顔してそのまま業務を続けるのでしょうが、彼女は一般人! そう一般人なのです!


 僕はそんな彼女を助けないといけないのです。助ける義務があるのです!


 僕はそう思って、全速力で彼女が落ちそうなところに待ち構えました。


 何と驚き僕は気づいたら仰向けの状態になっていて、彼女が僕の上に乗っていたのです。


 さすがに、例のあの女騎士様にやられたら、身の毛もよだつ怪奇現象にしか感じられませんが、このときばかりはどうしようもありません。


 緊張してしまいます。心臓バクバクしています。


「なんか恥ずかしいですね」


 彼女は赤面しながら、僕に微笑みかけてきました。


「そうですか。それはありがとうございます」

「ありがとう?」


「僕の上に乗っていただき誠にありがとうございます」って言いたいところですが、そんなこと言ってしまったら、ひかれること間違いありませんので、ここは誤解を生まないように答えておきましょう。


「あなたのきれいな顔に傷がつかなくてありがとうってことですよ」

「それって、あなたの台詞なんでしょうか?」

「とうぜ「お取込み中失礼致します。オーク。あなたはやっぱりこんなことにうつつを抜かす節操なしだったのですね」


 突如、僕の心臓をえぐるような冷たい声が聞こえてきました。


 振り向くと、ここにはいないはずの()()()がいたのです。


「あ、あ、あ、あなたは!」


次回、044.いつの間にかメイドになっていた例のあの人


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