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042.不肖オーク、誠に勝手ながらメイドさんたちをお手伝い致します!

 

 今の僕には癒しが必要です。


 欠かせません。


 いや、癒しが無ければ死んでしまいます。


 うさぎちゃんには逃げられて、レレミナちゃんにも会えないし、聖女様にも会えないのですからね。


 それに、僕を三途の川まで追いつめた片言メイドさんやドSなメイドさん、さらには、あの女騎士様がすぐそばにいますからね。


 本当に恐怖しかありませんよ。


 さて、そんな僕にも癒しはいますよ。


 眼鏡さんです!


 わかりにくい人に言いますが、委員長会キャラをしたメイドさんが過去に何度か出ているはずです。


 その人です。あえて言うなら、たしかお兄様に刺激的な紅茶を差し入れた方です。


 もし、思い出せない人がいたとしても、僕は気にしません。


 とにかく、僕は彼女を手伝うことによって怖いキーラさんからも怖い女騎士さんからも逃げられるのでーす!


 あれ? なんか言っていることが違う気がしますね。


 僕は善意で彼女を手伝っているのです。決して、あの人たちから逃げたいわけで言い訳を作っているわけではないのです。


 ただ、最近、困ったことがあります。


 どうも女騎士さんが彼女に弟子入りしているらしいのですよ。


 色々聞いたのですが、彼女は僕を懐柔する術を知っているからなんだの言って彼女のお手伝いを無理やりしているのですよ。


 彼女は優しいですから悪意を持って行動しているお嬢様を無碍にはしませんし、たまに彼女にテク(笑)を教えて僕にお嬢様を差し向けたこともあります。


 まぁ、いくら外面を取り繕ったとしても内心だだ漏れですから関係ないんですけどねー。


 さて、今日は暇だし、彼女を手伝うことにしましょう。


「メガネのお姉さーん!」

「ひーっ!」

「もうそんなに怯えちゃって。らしくないですよ」

「らしくないって、むしろ、その顔を見て平常心でいられる方がおかしいじゃないですか! ちょっとそこにある鏡を見て確認してくださいよ!」


 あれ? そんなに顔がおかしくなっていたのでしょうか? まったく、そんな気がしないのですが……。


「——どっからどう見てもおかしいですよ。さっきから私の顔より2,30センチほど下を見ているような気がするのですが……」

「気のせいです」

「鼻の下が伸びていますが?」

「——違いますよ。これは僕の顔の特徴ですよ。個性ですよ。だから、問題ないのです。別にあなたの豊満なボディを見て鼻の下を伸ばしているわけではありませんから」

「——怪しい」


 その眼鏡の下の黒く輝く瞳が発する魅惑的な光線を僕に向けてもどうにもなりませんよ。ちょっと見惚れてしまうだけです。


 別に唇が顎の下まで垂れさがっているわけではないのです。気のせいです。


「僕の顔をとやかく言うのではなく、僕がどうしてあなたの下に馳せ参じたのか聞いてはくれないのですか?」

「私を“ドゴーン”しに来たんでしょ?」

「人をあの変態女騎士を神様のように崇める変態終末期お兄さんと同じ扱いするのはやめていただけませんかね?」

「あなたがそんな目を向けるのが悪いのでしょ?」

「——それは気のせいです。それより早く答えてくださいよ」

「答えって何ですか? どうせ私をその下卑た目で見つめるだけでしょ?」

「手伝いですよ! 僕、暇なんですよ! 最近、なぜか体が恐ろしい速さで動くんですよ」


 ほら、この反復横跳び見てください。今までで一番早く動けている気がしますよ。目を逸らさないで、ちゃんと見てくださいよー!


「速く動くからって何ですか? まさか、その俊敏な速さで「僕がそんなことをする変態だって言うんですか!」——どうして最後まで聞かないんですか?」

「なんとなくですよ! それに、その魅力的で魅惑的な薄い桃色に染まった唇からそのような言葉を聞きたくなかったのですよ」


 ——ふむ。これで、彼女のしかめっ面も少しはゆる……


「ちょっとそんな変な顔をしないでくださいよ!」

「気のせいでしょ?」

「気のせいってそのきれいな顔に似合わないしかめっ面はしちゃダメですよ!」

「邪魔です。消えてください」

「僕はあなたのために働きたいんですよ。そう、僕はあなたの愛の奴隷になりたいんです」

「気持ち悪いです。消えてください」

「——あぁ、うれしい」

「貴方って本当に調教されていたんですね」

「——さっきのことは忘れてください。あと、あれは地獄です。ただの拷問です。エドュケーションとか言う人がいたら、往復ビンタしたいくらいです」

「普通なら、悪口を快感に思いませんよ」

「そうだった!」


 パリーン!


 あれ? どこからか誰かが花瓶を割ったような音が聞こえてきました。いったい誰でしょうか?


 僕はいい人なので、ちゃんと見に行きますよ。決して、どこかの勇者(笑)や聖女(笑)のような人を見捨てる下劣漢ではありません! 


「うえーん!」


 あれ? 彼女は僕からうさぎちゃんを奪い取った悪い女の子じゃないですか? どうして花瓶を割っちゃったんですか?


「あの? その顔、気持ち悪いですよ」

「べ、別に頬は緩んでいませんよ!」


 僕は人の失敗を茶化すような人ではありませんからね。そんなことくらい僕の話を聞いてくれる心優しいみなさんなら、分かってくれますよね?


 すると、目の前の眼鏡さんは何やら思いついたような顔をしました。


 その新しい意地悪を思いついた子供のようなどこか不気味な笑み。かわいいので、アリです!


「わたしよりもむしろ、彼女の方が心配なので、そちらの方を手伝えばいいんじゃないですか?」

「そしたら、僕に愛の言葉をささやいてくれるんですよね?」


 だから、そのしかめっ面を止めて!


次回、043.続いてドジっ子メイドさんをお手伝いします!

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