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004.オークでも食中毒を起こしますよ

 

 どうもオークです。

 何とかあの変態女騎士様からは逃げ出せました。


 どうやって逃げ切れたかって?


 ──ふっふっふっ! それは“必殺! 沼にダイブ!!”です。


 なんか待ってて損をした?


 そんなことないでしょう! これも立派な作戦ですよ!

 まず、こう見えて豚は泳げますし、たまに泥まみれになっている豚の写真とかよく見るじゃないですか。


 というわけでオークの僕も世の豚様方に見習って沼の中に隠れたっていうわけです。


 あの変態はどうも僕が人のようだと思い込んでいるのか、豚のような真似はするはずがないと勝手に思い込んで、僕がいた沼をちらりと見てから去っていったみたいですし。


 いやぁ、こう見えてなんか僕はオーラを常に発しているらしく、とある大隊長(笑)から「お前を探すのは剣山の中にある聖剣を探すことよりも簡単だ」なんて変なことを言われたくらいバレやすいので、本当は不安だったのですよ。


 変なオーラと言われて、ひょっとして加齢臭? それとも獣臭ならぬ豚臭? と思って不安になって慌てて消そうと努力していたのですが、3年経っても未だにできません。


 そうだ! 今度会ったら、あいつを脅して聞いてみよう。


 ──そうそう。僕はあんな人に会ったことはなかったんでした。

 僕としたことが……。


 ──以後、気をつけます。


 そういえば、彼女はぼくが入っていた沼をじっと見つめていました。

 あれはひょっとしてぼくがあの沼にいることにうっすら気づいていたのでしょうか?


 それとも『──むむっ。何か強い魔物が沼にいる。ひょっとして、沼の主? ──さて、そんなことよりもオーク殿はどこかな♪ キャハハでぐふふなことをしてもらわなくちゃいけないからな』なんて思って去ってくれるとありがたいのですが……。


 ──今、僕はいったい何を考えていたのでしょう?

 

 出会って1時間も経っていないはずなのにもう彼女のことが分かってしまったような気がします。


 ──いや、それは単に彼女がとっても分かりやすいからかもしれませんね。

 あんな脳みそ空っぽな生き物って“GOKS”しかいませんよ。


 分からない人のために解説すると、“GOKS”というのは「ゴブリン・オーク・コボルト・スライム」のことです。バカな魔物の代表格だそうです。


 以前、狩人(いきった少年少女)の方々がそうおっしゃっていたのを聞きました。

 


 “GOKS”って聞くとなんかあの妙にあほらしい聖言語(笑)が思い浮かぶのですが、気のせいですよね。ですよねー。


 ちなみにぼくからしたら、“H”も入れないといけないと思うんですよ。


 “H”って?


 決まっているじゃないですか。

 ぼっちオークである僕を仕留めきれないおバカな狩人さんたちですよ(笑)。


 あとは“K”を“C”に変えて、あの大隊長(笑)も加えることですね。

 少なくとも、コボルトより頭が悪いですって。あいつ。


 そういえば、ク──なんとかさんの綴りって何でしょうか?

 僕も知りません。


 ──すみません。存在もしない人のことを長々と喋ってしまいました。

 申し訳ありません。


 とはいえ、ドングリちゃんたちごと沼に入ってしまった以上少し川にでも行ってしっかり洗っておきましょう。

 オークでも食中毒になることなんてよくありますから。


 オークはそんな生き物じゃない?

 いや、現に食中毒で腹を下したオークがあなたたちの目の前にいるのですが。


 ──お前はオークじゃない?


 それは誉め言葉だね。ありがとう。


 けれど、ごめんね。

 どこからどう見てもオークなんだよ、僕は(泣)。


 さてと、日も沈んだし、さっさと川に行きましょう。


 そういえば、日が沈むといいことがあります。


 それは人間が森に入れなくなるのです。


 夜になると、瘴気というこれまた恐ろしい毒素が森の中を包み込むからです。


 魔物にはそれを浄化する器官が備わっているのですが、人間にはありません。

 だから、いくら凶暴なあの変態でもさすがに今頃は家に帰って悶々(もんもん)としていると思います。


 あぁ、魔物に生まれて、よかった!


 ちなみにその器官は魔物の個体が死ぬと石化して魔石になってすごいエネルギーを保有しているんですよね。


 だからみなさん(特にいきった少年少女)、オークたちを狩りまくっているのですよ。

 本当にひどいですね。


 「そんなに魔石が欲しいんだったら夜に来いよ! この野郎!」って言いたいくらいです。


 本当にそう思いますよ。


 さてと、こうしているうちに川に着きました。


 まずはそこら辺の岩場に巾着袋を隠しておかないといけませんね。

 間違って、ドングリの匂いに誘われて悪い豚さんが来るといけませんからね。


 その後、腰布を取ってすっぽんぽんになった僕は川にダイブしました。


 あぁ、気持ちいいですね。

 なんだか少しずつ川が汚くなっている気がするのですが、──まぁ、しょうがないですよね。健康的に生きるためならしょうがないでしょう。


 きっと水の神さまだって許してくれますよ。


 そうそう、忘れていましたよ。ドングリちゃんたちもしっかり洗わなくちゃいけませんね。


 何? お前の汚れた体ですでに汚くなった水でドングリを洗うのかですって?


 これはあくまで応急処置ですよ。

 それに安心してください。比較的綺麗好きな僕にはこういうときに役に立つ秘密道具があるのですよ。


 詳しくはそのうち語ると思いますので、──まぁ、気長に待っていてください。


 じゃぶじゃぶじゃぶ。


 うん。これくらいでいいでしょう。


 さて、あとは魔法道具で体を乾かすことにしましょう。

 実は僕をつけ狙う悪い狩人さんたちがいつもご親切に落としてくれるのですよ。


 それを今、僕が拾って有効・・活用しているわけです。


 生憎それは今、ねぐらの中にあるのですが、この魔法のペンを使えば、空気中に漂う魔素というものを使って魔法陣を発動してくれるのですよ。


 ところで、その魔法陣は誰に教えてもらってかですって?


 決まっているじゃないですか。親切な狩人(いきった少年少女)さんたちですよ。


 あの人たちってちょこっと僕が物騒なことを言うだけで親切になってくれるから本当にありがたいですよね。

 本当に素晴らしいです。


 どうか彼らに神さまのご加護を(棒)。


 僕は魔法陣で呼び出した魔法道具“魔法ドライヤー(自称)”を使って服とドングリちゃん、そしてぼくを乾かしました。


 さて、一通り乾いたようですし、ねぐらに帰るとしましょう。


 あぁ、いい気分だなぁ~。

 後、あの変態には二度と会いたくありませんね。


 今日は少しお祈りしてから寝るとしましょう。


 ひとまず「変態女騎士退散!」って言ってみますか。

 村娘さんたちはきっと効果があってそう言っているんですよね。


 もし効果がなかったら、次会ったときにはお尻ぺんぺんして差し上げましょう。


 理不尽?


 それはあの変態女騎士さんに言ってあげてください。


次回、005.ストーカー女騎士さんの生態


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