024.お空を飛ぶのが先か? オークが捕まるのが先か?
「──なんだ……。あなたか」
僕が残念そうな顔をすると、女騎士様が兜を取って反論しました。
「残念そうにしていることについてはあとではっきり説明してもらおうじゃないか!」
いい加減、僕があなたのことが嫌いだってわかってくれてもいいでしょうに。
どうして理解してくれないんですか!
「そんなことよりアンドルセン! さっさとこいつを駆除するのじゃ! そして、あちしにこの下賤なオークの魔石を譲るのじゃ!」
今、こいつなんて言った?
魔石? そんなのダメじゃないですか!
このロリは僕を女騎士さんに殺させる気満々だ!
──あれ? それにしては彼女は何やらやる気がなさそうですね。
どうしてでしょうか?
「お、おい、さっさとやるのじゃ! お、王族であるあちしの言うことも聞けぬのか!」
「わたしはこれまで王の命令により、この森を託されておりました」
えっ? そこから始めんの? あぁ、これは長引きそうだわ。
「しかし、それはオークと出会うため! わたしは半年ほど前にこの方に会ってからすべてが変わりました」
いやいや、それにしてもまるっきり変わっていないような気がしますがねぇ。
ほら、今まで何度もオークたちを爆発させているじゃないですか。それで変わったというのは無理がありますよねー。
あっ、話はこれだけだったのですか。てっきり、いかにしてオーク殿に運命的な出会いをしたのかについてこれから一時間ほど語るのかと思っていましたが、安心しました。さすがに一時間も聞きたくもない話を聞きたくありませんからね。
「そんなことは関係ないであろう! こやつは女子おなごに“カキーン”で“ズッドーン”なことをしているに決まっている。同じ女としてそうは思わぬのか?」
「そんなことしたことあるのか?」
「ありませんが」
「なぜオークに直接聞くのじゃ! そいつはうそをつくぞ! 絶対、女子に“ズッキューン”や“バチコーン”をしているに決まっておろうに!」
「それはいけませんねー」
さすがに、心が月のように広い僕でも我慢なりませんね。ここは一つ、勘違いをしているロリに天罰を与えましょう。
「な、何のことじゃ? おい! アンドルセン! さっさとこいつを我の腕から離せ! 頼む!」
「オーク殿、ごめん。許してくれ」
ふふふっ。そんなことを言っても無駄です。
貴女が僕を捕まえるより先にぼくがこのロリを弾き飛ばすほうが早いですよ。
カキ――――ン!
いつもいい音がしますね。何か石でも体に詰まっているのでしょうか?
さて、今度はホッキョクグマと仲良く暮らしてくださいね! そして、二度とこっちに来ないでくださいねー!
あれ? 一人、吹き飛ばし忘れてましたね。
「今のうちに!」
目が合った瞬間に駆け出すなんておかしいじゃないですか。
もっと、気長に待ってくださいよ。
夢の南国ですからね。
そんな絶望に打ちひしがれた顔をしないで、──ほら、スマイル。スマイル。
「あなたも逃げてはいけませんよ。安心してください! 南の方にしっかり飛ばしますから」
「お前の場合、絶対に南極まで飛ばすだろ! 絶対にお前は本気で飛ばすに決まっている!」
「それは着いてからのお楽しみでしょ?」
「おい、アンドルセンの女! そこで突っ立ってないで勇者を助けやがれ! 勇者を守ることは騎士の義務のはずだっ……」
カッキーン!
いい感じに飛びましたね。
彼らを飛ばしていつも思うのですが、いい音を出して飛ぶんですよね。彼らの体は石か鋼鉄でできているんでしょうか? 不思議ですね。
まぁ、何がともあれ、これで夢の南極に行けますね。
読み方が違う?
これはジェントルなオークジョークですよ。
それに、僕のジョークにいちいち口出ししないでくださいよ。あんまりジョークの解説を求められると、さすがの僕も少し腹が立ちますよ。
「オーク殿」
──あっ。 そういえば、こいつがいた。
どうしましょう。
さて、こんなときはうさぎちゃんのことを思い浮かべて、うさぎちゃんレーダを展開してうさぎちゃんの臭いを感じ取って……。
「あの二人を遠ざけてわたしと二人きりになるとは……。──ひょっとして、わたしとじっくり話したかったのか?」
彼女がにこやかな笑みを浮かべてそう言うので、僕もにこやかな笑みを浮かべてこう返しました。
「違います」
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あの後、僕は必死に逃げてなんとか女騎士さんを振り切ることに成功しました。やっぱり、うさぎちゃんのことを考えないと僕って本気出さないんですね。
とにかく、今回は色々、学ぶことができました。
すべては彼らのおかげです。
さて、うさぎちゃんも捕まえましたし、キング君と一緒にうさぎちゃんの丸焼きを食べてから寝ることにしましょう。
今日だけは北と南には足を向けて寝れませんね。だって、彼らには感謝していますから。
次回、025.クインブル氏と楽しいランチ




