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022.絶望! 恐怖の(仮面)バカップル

 

 あれは二年ほど前のことです。


 例のクズノキ少年が仮面バカップルの二人を連れてきて、いつものように僕に戦いを挑んできました。


 ナキジンという男はその頃は学ランを着たちょっとやんちゃなボーイみたいな感じで、今のどこかの終末期に出て来そうな誰かさんと風貌はまったく違いました。


 しかし、彼は今も昔も変わらず、彼は卑怯者でした。 


 クズノキ君との一対一の稽古(あくまでクズノキ君視点ですが)という名の一方的な攻撃を受け流している最中に突然、僕に斬りかかったのです。それも背後から首を狙ってきたのです。


 あぁ、怖い。怖い。


 幸いなことに別に傷なんて一つもつきやしなかったのですが、クズノキ君が怒りましてね。


「師匠と私の稽古を邪魔にするなー!」

「や、やめてくれ! 俺は人間だ~!」

「問答無用!」


 クズノキ君は僕そっちのけでナキジンを聖剣(14本目)でめった刺しにしていました。


 徐々に彼の声は「やめてください」と敬語になり、しまいには言葉も出なくなりました。

 まぁ、めった刺しにされたらそうなりますかね。


 ──あれ? よく考えたら今のところ僕って彼に対してまったくひどいことしていないんですけど。


 ちょっとどういうことですかね?!


 ちなみに、例のロリは昔からオークのことが嫌いらしくて、木陰でじっと僕たちの戦いを見ていました。


 それがどうしたわけか僕がナキジンをミンチ肉みたいな凄惨な姿になるまでギタンギタンにしたと勘違いしているらしくて、ことあるごとにナキジンに変な古い骨とう品を持たせて戦いを挑むようになったのです。


 ──いやいや、どう考えても、クズノキ君がナキジンをいじめていたよね?

 ──どうして、そう曲解しちゃうのかな?


 僕にはまったく分かりませんよ!


 まぁ、とにかく初めてのスプラッタ場面を見たオーク嫌いの王女様とクズノキ君にやられたはずなのにオークに殺されかけたと勘違いしている彼はなぜか意気投合し、僕をいじめに来るわけです。


 多分、その過程で男女の関係になったのでは? と下世話な推察をしているのですが、どうも彼らの関係が怪しいのですよ。


 それは僕と彼らの10回目の出会いのときのことです。

 かなり飛びましたが、そこは気にしないでください。


 その日も骨とう品を身につけた終末期系イキリ野郎とオーク嫌い王女様が僕をいじめに来たわけです。


 そのとき、ゴールデンうさぎちゃん成分が足りなかった僕は荒れ狂っていて、いつものように木をなぎ倒していました。


 そんなときに突如、矢が僕のおでこに突き刺さったのです。


 矢が飛んできた方を見てみると、そこには大きな弓を持ちながら、エアギターとはちょっと違っていましたが、謎のポージングをする例のイキリとその背中に隠れているロリがいたわけです。


 幸いなことにおでこに矢の刺さった跡がついているだけで傷と呼べるものではありませんでしたが、そのとき、かなり荒れ狂っていた僕は彼らにムカッときちゃいまして。彼らについ報復しに行ったというわけですよ。


 僕はその結果、彼らが持ち込んできた骨とう品すべてをことごとく大破。


 イキリが失神して動けなくなったのち、ロリはイキリを見捨てて逃げようとしました。


 あのときの素早さは恐ろしいものでした。


 いや、イキリ君を置いていって何考えているのかね? 僕が君を見逃すわけなんかないじゃないか。


 すぐに追いついた僕はロリの腕を掴んで持ち上げました。


「こ、こんなことしたって無駄だからね。あちしの八千人の従順な部下があなたを地獄の果てまで追いつめるわ」


 八千人って何ですか?


 そんなに多い数字とは思えませんがね。

 まぁ、異世界ではそれなりに大軍勢なんでしょうね。きっと。


 そうそう。ちなみに、クインブル氏に行ったあの台詞はここからきています。別に某有名少年漫画からではありません。今ここで説明しておきます。


 ただし、彼女がその言葉を輸入した際に提供者がどう思っていたのかは僕は知りません。そんなことどうでもいいでしょ。


 そのとき、僕は彼女に対して、気になったことをぶつけてみました。


「イキリ君はどうするんですか?」

「イキリ? ──あぁ、ナキジンね。あいつはあちしの道具だから。──ほら、あちしってかわいいし、勇者教会の幹部じゃない? 一応、聖女をしているのよ。あちしはその聖女序列7位よ。7位。どう? すごいでしょ」

「聖女ってそんなにいていいんですか?」

「勇者教会所属の勇者って多いからいいのよ、それくらい。そんなことよりあちしの手からその不浄な手を放せ。この下賤な豚め」


 僕は我慢できずについこう言ってしまいました。


「消えろ、ブース」


 ──ひどい?


 ひどくありませんよ。

 ただ、あの頃の僕は荒み切っていていつものジェントルな僕じゃなかったのですよ。


 ──お前はジェントルではない?


 そんなこと言う悪い子は僕と2泊3日のキャンプに参加してもらわないといけませんね。


 場所はここ。──名前は何だっけ? 忘れました。もういいです。キャンプは残念ながら中止です。異論反論は受け付けませんよ。


 まぁ、とにかくこの言葉を聞いた瞬間、彼女は失神したわけですが、それからというもののますます僕をいじめてくるようになったのです。


 そして、ナキジンが骨とう品ごと大破されるたびにロリは逃げ出すんですよ。そのたび、僕が彼女に一言二言言うんですよ。けれど、たったそれだけで気絶されるのも困りますね。そんなにオークって嫌われているんですか?


 ******


 そういえば、こんなこともありました。


 最近、──と言っても、半年ほど前ですが、ロリが終末期系ヤンキーにこれでもかとたくさんの骨とう品を身につけさせ、僕に挑んできました。


 案の定、彼らは負けました。しかし、このとき彼らの関係は破綻しました。


「何してくれてんのよ!! 借金がまた増えるじゃないのよ!」

「そんなこと言ったって、このオークを倒すなんて無理ゲーだよ! 伝説の武器を持ち出してもこのざまなんだ。どうやったら倒せるんだよ」


 あれ? あの骨とう品って伝説の武器だったんですか? 


 それにしては脆すぎましたがね。


 ──まぁ、いいでしょう。そんなことより彼らを追い出しましょう。口論している今がチャンスですからね。


 僕は彼らに向かって棍棒を振りかぶって……。


 ******


 まぁ、とにかくこんなことがありましたから、僕は彼らを仮面バカップルと呼んでいるのです。


 ──ところで、さっきからどう考えても、お前がいじめているような気がするのだが?


 そんなことはありません。


 彼らは僕を殺しに来るのですが、僕はあくまでおど、──ゴフンゴフン。役に立たない骨とう品を壊してから、ちょっと忠告するだけですよ。


 だから、何の悪いこともしていませんよ。


 おやおや少し長くなってしまいましたね。

 そろそろ、本題に入るのですが、それは次回に譲ることにしましょう。


次回、023.バカップルの秘密兵器


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