021.突撃! 恐怖のバカップル
どうもオークです。
起きたら、朝でした。
隣にサキュバスさんがいたら、朝チュンなるものをはじめて経験できたのですが、生憎残念です。
──はっ! 僕としたことが、サキュバスさんの美しい顔を思い出して、少し妄想に耽ってしまいました。
取り乱して申し訳ありません。
そんなことよりもあの夢は何ですか!
あんな汚らわしいことなんて僕がするわけがありませんし、配役が間違っています。
何でサキュバスさんじゃなくてあの人なんですか!
出来れば僕は彼女とあんなことやこんなことをしている夢が見たかったです。
で、誰とどんなことをしている夢を見たか、ですって?
そ、そ、それは言えませんね…………。
黙秘権を行使します。
サキュバスさんにセクハラするお前なんかに人権はおろか豚権すらない?
そんなのやめてください!
今朝になって『なんであんなことしていたんだ!』ってあのときのことを思い出すたびに自分が埋まる穴を掘ってしまうのですから。
──別に墓穴を掘っているわけではないので悪しからず。
ちなみにぼくが昨日捕まえたはずのゴールデンうさぎちゃんは姿を消していました。
しっかり血抜きもしていたので、たぶん彼女が持って帰ったのでしょう。
これをセクハラの賠償として和解できないでしょうかね?
──無理ですかね。今度会ったら、スライディング土下座決めてから抱き着きましょう。
うん、そうしよう!
そうそう、そんなことよりも久しぶりに恐ろしい人たちと会いました。
今日の話題はこの人たちのことです。
「よう、オーーーーク! 会いたかったぜ! これまでどこにいたんだよ!」
あまりにも恥ずかしいリーゼント頭に恥ずかしい改造学ラン。
この世にこれほど時代遅れかつ世界観がまったく違う人なんているのでしょうか? 僕は知りません。
──あっ、僕の知り合いって意外とそういう系が多かったですね。
訂正しておきます。
結構いました。精神的にも、外見的にも。
「すみません。オーク違いでは?」
「何、そこで立ち去ろうとしているんだよ!」
「チッ」
「そこで舌打ちするんじゃねーーーーよ!」
「さっきからなんですか? そのポーズ。正直、引きます」
「エアギターだよ! 最近、そうすると、“ミリア”の奴が喜ぶんだよ!」
「ミリア? 誰ですか? まったく知りません」
こんな森でエアギターやっていてもひくだけですよ。
それと超絶美少女聖女のアリシア様のことなら知っていますが、ミリアなんていう縦ロールのロリっ子なんて僕は知りませんよー。
──お前、本当は知っているんじゃないのか?
ノン、ノン、ノン。
だって、目の前でチンピラ(仮)の後ろにおびえながら立っていますから。
だから、詳しく説明できるんです。
「──カッカッカ。ま、まさか、こ、このあちしのことをわ、忘れるとは……。やはり下賤な豚じゃのう」
「だから誰ですか? こんな中二病縦ロールのくせに一人称はあちしでのじゃロリなんていう属性の闇鍋さんなんてぼくは知りませんよ」
本当に固有名詞が長い台詞でした。
言うだけで疲れました。
それに、あちしってどこの田舎者なんですか?
──失礼しました。今どき、こんな一人称を使う人なんてそうはいませんでしたね。僕も“わい”までは聞いたことあるのですが、“あちし”は漫画の世界でしか知りません。
「誰が属性の闇鍋じゃ! 申してみてみよ!」
「そこにいるロリ」
「ロリとはそんな侮辱的な言葉で我を辱めるとは。──シクシク…………。やはり、下賤な豚には人を辱めることしか能がないのだな」
「失敬な! 僕がそんなロリを辱めて何の意味があるんですか!? 近所のお巡りさんに捕まってしまいますよ!」
「何がお巡りさんじゃ! それにさっきからあちしにロリロリ言って、本当は辱めたいのじゃろ!」
「いえ、ロリは結構です」
…………。
「キーッ! “ナキジーン”! 下賤な豚があちしをいじめてくる~!」
「ミリアたーん! そんなこと言わないでよー! 本当は僕だって怖いんだから!」
いやいや、どうして僕の拒絶がいじめになるんでしょうか?
意味が分かりません。
それに、ヤンキーの方ですが、なんかキャラがわずか数十秒ほどの間にキャラが崩壊しているんですけどいったい何ですか?
まったく意味が分かりません。
さっきからロリっ子を熱く抱擁するヤンキーの画を見せられている僕の身にもなってください。
これほど甘い吐き気がする気がするはずなのに、まったく憧れない画を僕は未だかつて見たことがありませんでした。
「あのぅ、さっきからイチャイチャするのをやめてくれませんかね……。無性に腹が立つのですが……」
「ねぇねぇ、さっきからあの下賤な豚が我らに嫉妬しているんですけどー。超ウケるですけどー」
「そうだねー。本当にウケるね~。――なら、ぼくたちはこの豚に愛っていうものを見せつけなくちゃ!」
「ヤダ、ナキジンったら。そんなことしないでよ!」
そこで乳繰り合っても無駄です。
あなたたちの仮面バカップルぶりなんて僕はとっくの昔に知っています。
やっぱり覚えていたじゃねぇか、とお思いのみなさーん。
僕は彼らのことが初めて会った頃から無性に嫌いだったんです。だから、存在自体忘れたかったのですよ。
本当はストーカーリストにでも入れたかったのですが、あまりにもむかつく存在だったので、抹殺リストに入れているんですよ。──別に彼らをすっかり忘れてしまってストーカーリストに入れなかったわけではありません。本当に抹殺リストに入っているのです。
──やけに物騒?
僕に向かってあんなことをするのですから抹殺リストに入れるに決まっているでしょ!
あいつらはあの哀れな名前を付けられたドラゴンの同胞と同じくらい僕をむかつかせたことんですよ!
──気になりますか?
それは次の機会まで楽しみに待っていてください。
次回、022.絶望! 恐怖の(仮面)バカップル




