098.オークが生きるための条件
なんとか今日中に仕上がりましたが、いい加減なところもあると思われます。
そこはご了承ください。
「ちょっと待ってください。どうして、僕が魔王様を退治しなくちゃいけないんですか? 普通、魔物に魔王を倒すよう依頼しますか?!」
すると、王様は嫌そうな顔をして答えました。
「余も本当はしたくないのじゃが、詳しくは余の側に立っている騎士に聞け」
「肝心なところは丸投げですか! それでもあなたは王様ですか? って、あなたはいつぞやの殺人未遂犯じゃないですか!」
「あれは地下牢で汚れたあなたを清潔な体にするために必要だったのです。それに生きているから問題ないでしょ」
「──なんだと!」
そのためだけに人を殺そうとしていたんですか! 許せない! 絶対に許せませんよ!
「お久しぶりです。オークさん。僕は近衛騎士団長エドワード・アンドルセンと申します」
「丁寧に自己紹介されてもあなたが僕にした仕打ちを忘れはしませんよ! あれ? アンドルセンってまさか……」
嫌な予感がするのですが、これは気のせいでしょうか?
「一応、私はアンドルセン家九人兄弟の次男です。本来、近衛騎士団長の地位に就くはずだった兄は父と共にそこのバカ妹が広げてしまった領地の管理に忙しいので、僕が代わりに近衛騎士団長をしています」
色々とおかしな情報が混じっていましたが、なるほど。
だから、お父様が一度も出てこなかったのですね。それに、いかれた九人兄弟の長男、次男も出てこないのはおかしいと思っていたんですよ。
そこの一番おかしな末っ子のせいだったとは……。
「本当にご苦労様です。ところで、あなたは他のアンドルセン家の人に比べると、かなり正常な方ですね」
すると、エドワードさんは苦笑しました。
「オークに正常とは言われたくありませんが、バカな妹をこよなく愛する頭のおかしい母や弟たちとは違いますよ」
「お兄様! バカとはなんだ! バカとは! わたしはバカじゃないぞ!」
「──じゃあ、なぜ敵国とはいえ、国を八つも滅ぼしたんだよ?」
「うぐっ! そ、それはその……」
「僕は元々、田舎の子爵家の長閑な領地で妻と共にゆっくりと過ごすはずだったんだ! なのに、お前のせいでこうして近衛騎士団長をする羽目になったんだ!」
どうやら、相当、恨みがあるようですね。
もし、僕もエドワードさんと同じ目にあったら、たとえ、殺される結果に終わるのだとしても、そこの妹さんを殺そうとしていたかもしれません。
「コホン。エドワード様。いい加減、話を前に進めてください。この方の行動原理を熟知しておられるなら、大体のことはご存知でしょう」
「まぁね。どうせ、オークがらみだと思ったよ」
「なぜ、そう決めつけるんだ! エドお兄様! いくらなんでもひどいじゃないか!」
「さて、久しぶりのバカ妹との会話を楽しみすぎたようだ。これより君がなぜ魔王討伐に参加しなければならないのか教えてあげよう」
「どうせ、そこの変態さんのせいでしょ」
「変態とはなんだ! 変態とは」
「ちょっと、僕は怪我人ですよ! 虐めないでください!」
「さすが、うちのバカ妹が認めるだけのことはある」
「なんですか! あなたも妹がオークと結婚すれば良いとか訳の分からないことを考えているのでしょうか?!」
「別にバカ妹がオークと結婚しようが、そこのツインテールと結婚しようが僕の知ったことじゃない。ただ、かわいい妹だからね。せめて、いい人と結婚してほしいと思うよ」
あっ! ツインテールが反応した。お兄さん。今、地雷を強く踏みつけましたよ。
「なら、お兄様。私にレイラをくれ!」
「ダメ! 今はオークくんと話している最中だから」
「後でいいんだな。後で」
「イヤだ! エドお兄様、認めないでくれ! そこの化け物に殺される!」
「安心して。レイラ。お前を殺せるものは神様しかいないから」
もう達観しちゃっている! 神様にしか殺せないなんてセリフ聞いたことないよ!
「さて、二人のバカを摘み出してもらおう。これじゃ、前に進まない」
すると、ツインテールがおかしなことを言いました。
「じゃあ、花街に行っていいんだな?」
「そもそも、どうして女である君が花街に入れるのか分からないのだけれど、まぁ、いいよ」
「おい! エドワード、止めろ! 我が婚約者の不貞を見逃すわけにはいかぬ!」
「おい。ゴミ、私はお前の婚約者じゃないぞ。女に生まれ変わってから出直してこい!」
「エドワード! 我が婚約者が虐めてくる!」
まずい! まずいですよ! ただでさえ、疲労困憊のエドワードさんにこれ以上の負荷をかけたら暴発しますよ!
「王子。あなたにふさわしい女性はいくらでもいます。たとえ、女神のように外見だけは麗しくても、あのような心をもつものはおすすめできません」
暴発しなかった。ふー。助かった。そこの変態のお兄様だからてっきり導火線が3ミリほどの爆弾ではないか、と思っていたら、案外、我慢できる人みたいですね。
「こら! 離せ! ビアンカ! わたしはオーク殿のことが心配なんだ」
「あとはエドワード様に任せて私たちは帰りましょう」
「イヤだ! オーク殿と離れたくない!」
「では、私は花街に行ってくりゅーー!」
「待て! ププ「あぁ、今なんて言った?」私も行くから待ってくれ!」
「イヤだ。お前みたいな野郎なんて何万回死んでもゴメンだわ」
「そ、そんな……」
王子様。この世には女性は男と同じくらいの数いますよ。だから、一人の女性に執着することなく、いい女性を見つけた方がいいと思いますよ。
「さて、話を続けましょう」
二人の変態がいなくなったことを確認したエドワードさんが話を急に戻しました。
「えっ! こんなに場が荒れているのに続けるの?」
「勇者教会から君を早急に別邸の方に帰すように言われているんだ「どうしてですか! まさか、僕をまた地獄に追いやるつもりですか!」
「地獄とは大袈裟な。普通の男なら喜びのあまり泣いてしまうんじゃないのかな?」
「別の意味で泣きますよ!」
あなたも一度、豚小屋生活してみるといいですよ! 人生観が変わりますよ!
「さて、そんなことよりも話を前に進めなくちゃ。王様がすごい睨みつけてくるからね」
「余は睨みつけてはおらぬ。ただ、話が長いと思っただけじゃ」
それ、睨みつけているのと変わりませんよ。
王様、ここはせめて堪えましょう。あなたの部下は暴発寸前ですよ。
「さて、魔王討伐に君が参加する理由はうちのバカ妹にあるんだ」
「分かってますよ。それくらい」
「そのバカ妹は『魔界にはオークがたくさんいるからせめて、保護してから魔王を討ちたい』だなんて言ってね。だから、なかなか、魔王討伐が前に進まなかったんだよ」
「まさか、僕の命を担保にあの変態さんを動かすつもりですか!」
「そうだよ。君の命を担保にしたらきっとうちのバカ妹は動く。それに、君は悪いことをしていたからね。たしかに勇者教会もテロリストとは繋がっていたけれど、そこまで深い関係では無かったから責めることもできなかった。だから、こうして魔王討伐に利用しようと思ったのさ」
「僕、魔界のことなんてまったく知りませんよ」
「大隊長三人が君に会いにくるんだ。たぶん、魔王も君の秘めた何かを求めているのだろう」
「それはなんですか! 僕はなにも隠していませんよ!」
「じゃあ、君の名前はなんだ? オークはただの種族名じゃないか。オークにも名前があることは誰だって知っている。君にも名前はあるはずだ」
「死んでも教えたくありません」
ほら、誰にだって黒歴史はあるでしょ。それをあなたは誰かに漏らされたいですか? 僕は極力、漏らされないよう努めます。
「今は深く追及するのはやめておこう。さぁ、魔王討伐に参加してくれるかな?」
「魔王様がもし超絶美人だったら、保護してもいいですか?」
「一応、数千年も彼女の存在に人類は悩まされてきたからね。一オークの私情は突っ込まないで頂きたい」
「そ、そんな……」
「あと、うちのバカ妹は君の浮気を認めないよ」
「僕は彼女と結婚してませんよ!」
急に掌返ししないでくださいよ! こっちが迷惑なんですよ!
「同じ屋敷に一月も住んでいたら、怪しいよ」
「あれはペットとして飼われているようなものですよ!」
「じゃあ、後でそれとなくバカ妹に伝えておこう。さて、改めて聞こう。君は魔王「参加します! 僕も参加しますから! 彼女には何も言わないでくださーーい!」
次回は明後日更新予定です。




