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異世界もコネ次第!~王立貴族学園魔法学科へようこそ  作者: 武蔵野純平
第四章 ようこそ! 戦後のゴタゴタへ!

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第四十八話 アメリアとの婚約

◆日間ランキング入りありがとうございます!◆

ページ下部から評価ポイントをよろしくお願いいたします!

「ひっ! ひええ! アメリアのお父さん!?」


「娘と仲良くしてくれているそうだね。ありがとう。アルト君」


 気まずい!

 仲良くって『アメリアとキスした』事じゃないよね?

 アメリア言わないよね?

 言ってないよね?

 そうだよね。


 年頃の娘が父親にキスした事を報告する訳ないよな。

 バレていないよな。


 背中にダクダク汗が流れるのを感じながら、引きつり気味に言葉を返す。


「い……いえ……こちらこそ! お嬢様にはお世話になっています!」


 アメリアのお父さんは、俺をじっくりと値踏みするように見ている。

 うわ……凄い……嫌だ……。

 帰りたい……。


「娘はあの通り気が強くてね。なかなか異性の友人が出来なかったのだが、アルト君とは気があうようだね?」


「はあ。そ、そうですね」


「ふむ……。今度ウチの娘と食事に出かけると聞いたが?」


 食事じゃなくてお茶です!

 ケーキを食べに行くだけです!


 いや、そんな言い訳は無意味だ。

 何かもの凄い圧を感じるのは気のせいだろうか……。


 いや! 気のせいじゃない!

 魔力が膨らんでいる!


 ちょ!

 こんな場所で魔法を放つつもりかよ!


 アメリアのお父さんが後ろに飛びのき詠唱を始めた!

 ヤバイ! 来る!


「冬よ! 我が友よ! 我が兵士よ! 来りて我が敵を打ち崩せ! ブリザード・ランス!」


「魔力障壁!」


 詠唱が終わると同時に無数の氷の槍が、ブリザードと共に俺に襲い掛かって来た。

 俺はとっさに魔力障壁を分厚く前方に展開する。


 前方の氷の槍は防いだが、ブリザートが四方に回り込んでいた。

 このままではやられる!


「ファイヤーウォール!」


 自分の体スレスレに魔法で火の壁を出現させる。

 ブリザードは火の壁にぶつかり解けて消えた。


「ふう……」


 何とかギリギリで防いだ。

 なんつー危ない事を!

 こんなパーティーの場で、魔法を放つなよ!


「ほう! 良い反応だ! 私の魔力を感じ取っていたのか? ふむ……今回の戦功がフロックではないと言う事か……なるほど……」


「こ……侯爵閣下! 悪い冗談はやめて下さい! びっくりしましたよ! 周りの人もびっくりしているじゃないですか!」


 俺とアメリアのお父さんが魔法戦を一瞬繰り広げた事で、パーティー会場はざわついていた。


「はははっ! いやあ! すまん、すまん。皆さん! これは、ほんの座興です! アルト・セーバー君の魔法の腕は、ラファイエット=レビル家が保証いたします」


 そんな保証はいらないですよ!

 いや、アメリアのお父さんは、『娘にちょっかいを出したな!』と思って攻撃して来たんだよ!

 絶対にそうだ!


 まあ、ちょっかいを出したのは事実だけど。


 そこからは魔法談議になり助かった。

 魔法の話しなら普通に会話出来る。


「へえ、さっきの魔法は氷のエレメントですか!」


「うむ。我がラファイエット=レビル家の秘伝でね。水のエレメントと火のエレメントを混ぜ合わせ、氷のエレメントを誕生させるのだ」


「そんな方法があるのですね……。勉強になります!」


 異なるエレメントを混ぜ合わせて、新しいエレメントを誕生させるなんて、凄い技術だ。

 ラファイエット=レビル家が『魔法の名門』と言われているのは、伊達じゃないな。


「ところでアルト君のお父上はどちらに? 話をしたいのだが……」


「申し訳ありません。父は今日来ていません」


「むっ……今日は息子の晴れ舞台だと思うが……」


「あの……セーバー家は王国の西の端にある田舎騎士爵家です。飛行船もありませんので、参加は無理なのです」


 と言うか、俺が戦争に行った事すら知らないと思う。

 陸の孤島みたいな場所だからな。


「ふむ……そうか……。アルト君はお兄さんがいると聞いたが、セーバー家を継がないのかね?」


「ええ。セーバー家は兄が継ぎます」


「そうか。では、将来はセーバー家から独立して、新しく貴族家を立ち上げる事になるね」


 なんだろう?

 この会話何か意味があるような気がするのだけれど……。


「そうですね。爵位を得られればそのように……」


「ふむ。では、アルト・セーバー・ラファイエット=レビル家になるか……。ゴロは悪くないな」


 さらにわからない。

 何か意味がある会話なのは、雰囲気からして間違いないと思うのだけれど……。


「えーと……。そうですね……」


「では、そう言う事で。娘の事はよろしく頼むよ!」


 そう言う事と言われても何のことやらわからない。

 まあ、適当に返事しておこう。


「あ……はい……。こちらこそよろしくお願いします!」


 アメリアのお父さんは、やっと俺を開放してくれた。

 最後の会話は何だったんだ?


 サンディがコーヒーを淹れなおして持って来てくれた。

 そしてとんでもない事を言い始めた。


「アルト。婚約おめでとう」


「へっ!? 婚約!? 誰と誰が!?」


「誰とって……アルトとアメリアに決まっているだろ?」


「ええ!? どうして!?」


 どうしてそうなる!

 確かに俺はアメリアとキスをしたが、それで婚約なのか?


「覚えてないのか? さっきアメリアのお父さんと話しただろう?」


「……」


 俺がキョトンとするとサンディが呆れた顔をして解説を始めた。


「いいか? 『アルトのお父さんと話したい』から始まって、『アルト・セーバー・ラファイエット=レビル家』って話しになっただろ?」


「うん。それは覚えているよ」


「あれは! 『将来ラファイエット=レビル家一門になるつもりはあるか?』って聞かれたんだよ。わかってなかったのか?」


 あっ……そう言う事なの……。わかってなかった……。


「えーと、うん、わかっていたよ!」


「ウソつけ! アルト! オマエ目が泳いでいるぞ!」


「えー、あー」


「それでさ。アメリアのお父さんが『娘をよろしく頼む』。アルトが『よろしくお願いします』。これで婚約内定だよ。お・め・で・と・う!」


 さっきよりも激しく汗が出て来た。

 そんな意味はくみ取れていなかった。

 何か意味ありげな会話だなと思ってはいたが……。

 まさか婚約の話しだとは……。


「俺もアメリアもまだ十三才だぞ。婚約とか早くないか?」


「貴族なら普通だぞ? それに魔法使いのアルトが、魔法の名門ラファイエット=レビル家の一門になるんだ。悪い話じゃないだろ?」


 いや、そういう政治力学的なのは良く分からない。

 それにしてもラファイエット=レビル家の一門って……。


 侯爵閣下が身内になるのか……。

 お付き合いとか色々あるのかな……。

 親戚付き合いとか考えると憂鬱だ。


「えー、うーん。そうなの? でも、ウチは騎士爵家だよ。侯爵家のご令嬢じゃ釣り合いが取れないだろ?」


「まあ、そこはアルトが規格外の魔法使いだから良いんじゃないか? ラファイエット=レビル家としては、早いうちにアルトを囲い込んでおきたいのだろ」


 そうなのか……。

 それにしてもサンディはいつの間にこんな事を考えられるようになったんだ?


「サンディ……マックスウェル先輩に似て来た……」


「アルトの見てない所で、色々鍛えられているんだよ。それよりホラ!」


「えっ?」


 アメリアがこちらをチラリと見て、バルコニーの方へ向かった。


「これ持ってアメリアの所に行って来いよ」


 サンディが二つのカクテルグラスを俺に強引に持たせる。

 いや、いや、いや!

 婚約とかアメリアのお父さんと話したばっかりで気持ちの整理が出来てない。


「無理だよ! サンディ! まだ気持ちの整理が出来てないよ!」


「バカ! じゃあ、あれを放っとくのか? 後が怖いぞ!」


「う……」


 アメリアはバルコニーの方から俺を見ている。

 早く来なさいよ! ってオーラが全開だ。


 サンディは気軽に言う。


「まあ、でも、良かったじゃないか。アルトにはアメリアみたいに、気の強いタイプがあっていると思うぜ」


「一生尻に敷かれそうだけれど……」


「敷かれとけよ。その方がアルトも気楽だろ?」


 うっ……そうなのか……。

 まあ、確かに俺は主体性がないと言うか……。

 尻を叩かれないとやらないタイプと言うか……。


 おかしいな。

 前世日本人とアルト・セーバーの寿命を合わせれば、結構な年齢なのに。

 なぜ十三才のアメリアの尻に敷かれるのだろう?


「否定できない……」


「じゃあ、良いじゃないか! ほらっ! 行ってこい!」


 サンディに背中を押されてアメリアの待つバルコニーへ向かう。

 アメリアはドレス姿で、メイクをして大人っぽかった。

 無言でカクテルを差し出すとアメリアは澄ました顔で受け取った。


「お父さんと話をしたよ」


「そう。どうだった?」


「娘をよろしくって」


「そう。あなたはどうなの?」


 アメリアは真っ直ぐに俺を見ている。

 こういう時は……どう返事したら良いのだろう?

 婚約の後の会話……。

 何か気まずいような、気恥ずかしいような。


 でも、変に誤魔化し笑い話にするのはいけない気がする。

 ここは真面目に、真剣に話をしよう。


 カクテルグラスをバルコニーに置き、アメリアと向き合う。


「君を幸せにするよ」


「!」


 アメリアの目が見開かれた。

 俺は片膝をついて、アメリアの手を取って言葉を続けた。


「だから……アメリア・ラファイエット=レビル。僕と結婚して下さい」


 アメリアの顔が真っ赤になった。

 さすがに十三才で今の態度はキザだったか?

 でも、お父さんと話して婚約が内定した訳だし、改めて本人にプロポーズした方が良いと思ったのだけどな。


 アメリアがやっと口を開いた。


「な……、だ、誰がプロポーズしろって、言ったのよ!」


「いや、だって、お父さんと話して婚約が決まったから。アメリアにちゃんとした方が良いかと思って……」


「あなたねえ! まったく……突然びっくりするじゃない!」


「ごめんよ」


「まったく……答えはイエスよ。あなたと結婚するわ。大事にしなさいよ……」


 アメリアが顔を横に向けながら答えた。

 このツンケンしたり、照れたりする所がアメリアらしい。


「ほら!」


「えっ?」


「ほら!」


「えっ?」


 何だろう?

 アメリアは何を催促しているんだ?


「婚約したんだから、婚約者にキスをしなさい!」


「あっ……えーと……うん」


「本当に! もう! しっかりしなさいよ!」


「好きだよ。アメリア」


 俺は立ち上がりアメリアを引き寄せてキスをした。


 ちょうど王宮の庭から花火が打ち上がった。

 花火は王都の夜空に美しく舞い散り、俺とアメリアは寄り添って次々と夜空に咲く花をいつまでも見ていた。


キリが良い所になりましたので、今話で完結です。

ご愛読ありがとうございました。


私は高校二年生の時に、一時的に不登校になり親と一緒に学校に呼び出された事があります。

そんな事もあり、『学園モノ』は、小説もマンガも苦手です。読むのも書くのも苦手です。

(唯一の例外が、香月美夜先生の『本好きの下剋上』ですね)


で、本作では苦手克服! と思い学園ものにチャレンジしてみました。

(すぐに戦争の方向にシフトしてしまいましたが……)


アルト・セーバー、サンディ、アメリアは、ハリーポッターの三人組を参考に組んでみました。

割と気に入っています。

名付けが相変わらず適当で、アルト・セーバーなんて最初はアルト・バイエルンでしたから。

(ハインツ先輩はトマトケチャップのハイツですし……アー適当!)


続編は考えていますが、他の宙ぶらりんになっている作品も書き進めたいと思っています。


最後までお読みいただきありがとうございました。

それでは今後ともよろしくお願いいたします。

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