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異世界もコネ次第!~王立貴族学園魔法学科へようこそ  作者: 武蔵野純平
第三章 ようこそ! パルシア戦役へ!

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第四十二話 パルシア将軍ハカムの災厄

450pt達成ありがとうございます(^^

ブクマ、評価ポイント大変感謝です。

 カルソンヌ城の上空に着いたぜ。

 何時間かかったかな?

 三時間?

 四時間?


 今は夜明け前だ。

 水平線の辺りが薄っすらと青み始めて、ひんやりとした夜気がかすかに動き始めている。


 パルシア帝国軍の陣地は少し動きがあるな。

 炊事番が目を覚まして、火を起こし始めている。


「アオ! あの大きな天幕で俺を降ろせ!」


「キュウ!」


 パルシア帝国陣地中央に一際大きな天幕が見える。

 あの辺りが司令部だろう。


 アオに指示して司令部近くの広いスペースを低空で飛ばす。

 気の早い炊事番が、もう朝食を作っている。

 小麦が焼ける良い匂いがする。


「ここで降りる! よっ!」


 20メートルの高さから飛び降りる。

 足下に風魔法を発生させ降下速度を調整し、さらに俺は魔法で身体強化している。

 20メートルの高さなど、どうと言う事は無い。


 パルシア帝国軍の早起き炊事番の前に着地すると、炊事番は腰を抜かして驚いていた。


「よっ! 朝早くからご苦労さん! これ……食べて良いかな?」


「×××××!」


「そうか! ありがとな! じゃあ、いただきます!」


「××××××××!」


 何か大声でわめきたてる炊事番を無視して、料理に手を伸ばす。

 小麦を薄焼きにしたナンのようなパンに、肉と野菜をサンドしたパルシア風サンドイッチだ。


「薄焼きのナンがパリッとして旨い! 肉汁がじゅわっと染みて来るな! 香辛料も贅沢に使って! いやあ、栄養満点の朝メシだな!」


「××××××××! ××××××××!」


 何か更にエキサイトしてんな。


「何? 俺の食レポは、ダメか? パルプフィクションの大塚明夫風にやったんだけどな。じゃあ……。ウォーターボール!」


 水魔法ウォーターボールを発動させ、炊事番の鳩尾(みぞおち)に軽く当てる。


「×××!」


 炊事番は悶絶、気絶した。


「こいつの作るパルシア風サンドイッチ旨いよな。よしっ! こいつは殺すのを止めよう! 学校へ連れて行ってパルシア風サンドイッチを作らせよう」


 右手にパルシア風サンドイッチ、

 左手で炊事番をつかみ、引きずりながらパルシア帝国軍の陣地内を歩く。

 ボチボチと起きて来たパルシア帝国兵が奇異の目で俺を見る。


「これかな?」


 一番大きな天幕に到着した。

 大天幕の入り口に門番よろしく、パルシア帝国兵が左右に立っている。


「ご苦労さん。君たちの朝メシは、なかなか旨いよ!」


 俺は堂々と門番の横を通り抜け、大天幕の前に進む。

 俺があまりにも堂々としていたからだろう、門番も俺を止めなかった。


 大天幕の中には、仕立ての良い服を来た男が二人いる。

 当直のパルシアの仕官だろう。


「よう! おはよう! 将軍いる?」


 二人は顔を見合わせている。

 まあ、訳が分からないよね。

 夜明け前に敵国の少年が一人で司令部を訪ねて来たんだ。


「なあ、大陸北部語を話せるヤツはいないか? 俺はパルシア語がダメだ」


 俺たちラブラドル王国で話している言葉は、大陸北部語とか、北部語と言われている。

 ラブラフドル王国近辺で広く使われている言葉だ。


 一人が大天幕を飛び出していき、もう一人の士官は俺に椅子を勧めた。

 遠慮なく椅子に座り、パルシア風サンドイッチを悠々と食べる。


 しばらくして、十人程の男たちが大天幕に入って来た。

 一人が大陸北部語で話しかけて来た。

 こいつが通訳だな。


「あなたはラブラドル王国の人間ですか?」


「そうだ。俺はアルト・セーバーだ! パウル王子にお仕えしている」


「××××××」


 通訳は仁王立ちしている体格の良い男に俺の言葉をパルシア語で伝えている。

 体格の良い男は立派な黒々とした髭の中年で、一番立派な服を着ている。

 こいつが将軍かな?


「あー! 先に言っておくが、俺は魔法使いだ。身の安全を考えるなら、そちらも魔法使いを同席させた方が良いぞ」


「××××××。××××××××××××。××××。××××××××××」


「×××!」


 パルシア側で会話が交わされている。

 また、一人大天幕を飛び出して行った。


 強力な魔法使いに対抗できるのは、強力な魔法使いだけだ。

 あの魔法使いを連れて来いよ。


 ――待つ事十分。


 来た!

 金の刺繍の入った高そうな白い服に身を包み、白い布を頭からかぶっている。

 顔は白いレースのベールで見えないが、服装はあの女魔法使いに間違いない。


 俺の正面に髭のおっさんが座り、女魔法使いは少し離れた位置に座った。

 髭のおっさんが話し通訳が翻訳する。


「私は将軍のハカムだ。使者殿はご苦労である。話を聞こう」


「あー、勘違いしているようだが、俺は使者じゃない」


「何!?」


「俺はオマエらパルシア帝国軍に二つの事を伝えに来た。まず、一つ目。援軍は来ないぞ!」


 大天幕の中がざわめく。

 将軍ハカムが渋い顔をして、俺に問う。


「いい加減な事を言うな。少年! そのようなすぐバレるウソは――」


「俺が殺して来た! 全員殺した! パルシア帝国の援軍は、三つの軍に分かれて行動していたろう? 三軍とも俺が魔法で全滅させたよ」


「……」


「二つの軍は巨大な炎で焼き殺した。もう一つの軍は地面に埋めた」


「少年! そのようなホラを誰が信じると思うのかね?」


 将軍ハカムは腕を組みニヤニヤと笑っている。

 俺の話を全く信じていないな。


 だが、白い服を着た女魔法使いはピクリと動いた。

 こいつは俺と魔法で手合わせをしている。

 俺の魔力の一端を体感しているからな。


「信じるも信じないも、あんたの自由だ」」


「そうか、そうか。それで降伏勧告でもしに来たのかね? ワハハハ!」


 将軍ハカムは豪快に笑い、周りの士官もつられて笑った。

 俺は気にせずに話を続ける。


「いや、違う。俺は裁判をしに来た」


「裁判?」


 将軍ハカムは通訳と顔を見合わせる。

 いきなり裁判と言われても、意味がわからないのだろうな。


「罪状を教えてやる。オマエらパルシア帝国軍は、我が国を攻撃した。俺たちは迷惑をしている」


「少年は苦情を言いに来たのかね? 我らパルシア帝国軍は、地上最強の軍である! パルシアは全ての国を征服し、皇帝陛下の名の下にパルシアの――」


「迷惑だな!」


「少年! 君らの国がどう思おうとが知った事ではない。降伏するなら今のうちだぞ。降伏すれば奴隷として生かしてやろう。降伏しなければ皆殺しだ」


 楽しそうにゲラゲラ笑っていやがる。

 最初から分かっていたが、話し合いの余地などない。

 こいつらは侵略者だ。


「もう良いか? お前らの言い分は聞いたぞ。じゃあ、判決を言い渡すぞ」


「何?」


「被告! パルシア軍! 判決! 死刑! 以上だ!」


 話しは終わりだ。

 将軍ハカムとその取り巻きは、ポカンとしている。

 ぼんくらめ!


 だが、女魔法使いは俺を警戒していたのだろう。

 魔法を発動しようとしているのが、口元で分かる。

 呪文を詠唱している!


「魔法障壁! 物理障壁!」


 すぐに魔法障壁と物理障壁を発動させ、女魔法使いをドーム状に囲う。

 内側が魔法障壁、外側が物理障壁で囲われ女魔法使いは、これで逃げられない。

 マックスウェル先輩に頼まれた生け捕りに成功した。


「なっ!?」


「そちらの魔法使いは閉じ込めたぞ」


 慌てて女魔法使いが火魔法を発動して、自分を囲う魔法障壁にぶつけだした。


 無駄だよ。

 俺は魔法障壁に魔力を注ぎ続けている。


 魔法障壁を火魔法で削っても、削った先から俺が魔力を追加する。

 その魔法障壁は俺以上の魔力をぶつけない限り崩れない。


「なるほど……。子供と思って油断したが、一人前の魔法使いと言う訳だ……。さすが魔法先進国……。だが、その細腕でワシの剣を止められるかな?」


「……」


 将軍ハカムが立ち上がり腰の剣を抜いた。

 俺は無言でにらみ返す。


「死ねい!」


 将軍ハカムは俺に向かって真っすぐに剣を振り下ろした。

 俺は椅子に座ったまま右手をヒョイと頭上に伸ばす。


 身体強化にプラスして、物理障壁を掌の上に分厚く張った。

 将軍ハカムの振り下ろした剣は俺の右手の上で止まった。


「無駄だよ……。良いか? 俺はオマエらを殺しに来た。将軍ハカム、オマエは殺される側であって、殺す側じゃない。立場をわきまえろ。エアカッター!」


 俺の発動した不可視の空気の刃エアカッターが、将軍ハカムの膝から下を切り落とす。

 将軍ハカムは、バランスを崩してすっ転んだ。

 急に体重を支える足を切り落とされたからな。


「ああああああ!」


 将軍ハカムの悲鳴が大天幕に響く。

 今まで笑っていたパルシアの仕官たちも驚いている。


「良いか? 信じていないみたいだから、もう一度言うぞ。パルシア帝国の援軍は全滅した。俺が殺した。こうして魔法で焼いて、埋めた。オマエらも殺す。通訳! 訳せ!」


「××××××。××××××××××××!」


 通訳が真っ青な顔で俺の言葉を訳す。

 パルシア士官たちの顔色は、みるみる悪くなって来た。

 真っ青だ。


「××××!」


 両足を切り落とされて、転げ回る将軍ハカムが何か怒鳴った。

 パルシア士官が剣を抜いて俺に襲い掛かる。


「無駄だよ。物理障壁!」


 俺は物理障壁を発動させ自分をドーム状に囲う。

 パルシア士官が必死で物理障壁を斬りつける。

 斬撃は物理障壁にぶつかっては弾かれ、俺を傷つける事は出来ない。


「無駄だって……。オマエらの神に祈りは捧げたか? あの世に旅立つ準備はOK? アースランス!」


 土魔法アースランスを発動する。

 パルシア士官の足下から無数の石の槍が伸び、パルシア士官の体を貫く。

 悲鳴と血の臭いが大天幕に充満する。

 即死した者もいれば、虫の息の者もいる。


 ふふ……怖いか?


 感じるがいい。

 恐怖を!


 おまえの恐怖は俺の喜び。

 おまえの悲鳴は俺の愉悦。

 豚のように無様な悲鳴をあげろ。


 落ちている一本の剣を拾い上げ、将軍ハカムの首に突き付ける。


「お前が最後に目にするのは、アルト・セーバー。パルシアの災厄だ。地獄で友軍に教えてやれ」


 将軍ハカムの目に涙が見えた。

 俺は将軍ハカムの首に剣を突き入れた。

追記20190816 22:58

エンディングテーマは……

MetallicaのEnter Sandman

https://www.youtube.com/watch?v=pZTJBViOoik

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