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Track 2 今夜もキメルよトライアド

 分厚く重い扉を開けると、くぐもった響きが一気に解放され飛び出してきた。ライブハウスの中は観客でぎゅうぎゅう詰めだが皆しらーっと棒立ち。ステージ上ではひとりの男がラップを熱演しているが誰も反応していない。そんなライブハウスに駆け込んできたのは美少女三人組トリコロールパイの面々、いや、今ここでは人気ガールズバンド “トライアド” のメンバーだ。

「ごめーん、遅くなった」

「ああ、皆さん。お待ちしてましたよ」

 ステージの袖で心配そうに三人を迎えたのはローディーの小林くん。

「敵がしぶとくってさあ。あのカメレオン野郎」

「おまけに逃げられちゃったし。にゃはは」

「だけど、いっぱつグーパンを決めてやりましたわ」

「そうですか、とにかくご無事でなによりです。お怪我はありませんか」

「だいじょーぶ。それより会場の雰囲気やばそうね」

「そうなんですよ。吉田さん、いやスタイリッシュマスターYSDが場をつなごうと頑張ってくれてますが、さすがにもう限界みたいで」

「ありゃん悪いことしちゃったな。すぐにステージ始めないと」

「にゃは。そうだね」

「楽器の準備はできています。ささ、いそいで」

「さっすがー、小林くん」

「ミナミ、なにうっとりしてますの。さあいくわよ」

 突然、会場の照明が消えると同時にラップのビートも止まり、観客たちは期待にどよめき始める。つづいてバスドラムの4つ打ちが響き、その規則的なリズムに合わせ観客のコールが会場に鳴り響く。

「トライ アド」「トライ アド」「トライ アド」

 会場の興奮が絶頂に達しようかというその時。ジャジャーン♪ ギターのAコードが大音量で観客を包み、それと同時に照明が一斉に点灯した。

「みんなー、おまたせっ。今夜も翔びまくるよー。ちゃんと付いてきてよー」

「うおぉーっ」観客が呼びかけに応える。「みなみー」「じゅんさまー」「ちょーさーん」

 さあさトリコロールパイ、もといトライアドの熱いライブがいまここに始まるところだが、残念ながら今宵はここまで。


つづく

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