飛鳥ストーリー「マザーの情報を追え!」
悠さんが涙さんに告白されている時、私は『マザーパレス』の中にいました。
既にモードチェンジで『シャイニングモード』になっているので、戦闘準備は万端です。
私は『シャイニングモード』の翼で――翼でここまで飛んできた――着地をしながら、中の様子を伺います。
私は中を伺いながら、一週間前のことを思い出します。
*
私が夏期講習で受けたゼミの科目の復習をしていると、そこにボスさんが現れました。
「やあ。勉強していて偉いね。悠くんとは大違いだよ」
私は小声で、
「私の両親はあなたのその姿を知らないんです。ばれたらヤバイですよ!(焦り)」
と言いました。
「分かったよ」
ボスさんはモードチェンジで『大人モード』へと変わります。その姿は二十代半ばの(エリート会社員の)青年にしか見えません。
「相変わらずすごいですね」
「僕にとっては普通なんだけど…」
子どもの姿の時と口調が変わらないので、不思議な気分です。
「どうしたの、飛鳥?」
そこに私のお母さん――柊 三鈴さんが入ってきます。
ボスさんは顔なじみなので、一瞬だけ嬉しそうな顔をしましたが、すぐに胡乱な目つきで(ボスさんを)見ます。
「なぜあなたが娘の部屋に?」
私は焦りますが、ボスさんは生きた年月が違うせいか、全く焦らずに普通に返します。
「私はお子さんが元気にやっているか見に来たのですが、チャイムを押しても反応がなく、勝手に上がらせていただいた所存でございます。それにお子さんが好きなタイプは知っていると思いますが、年上の私は好みじゃないでしょう」
私の部屋にいる理由にはなっていませんが、最後の言葉が効いたらしい。三鈴さんは満足な顔をしています。
「そうね、飛鳥ちゃんは同年代の(男の)子がタイプらしいし」
「み、三鈴さん!」
三鈴さんのカミングアウトに私は驚愕します。
「いいじゃない減るもんじゃないし」
「わ、私にとっては困るんです!三鈴さんにとって困らなくても!」
「……」
「な、何ですか!?」
「その三鈴さんって止めない?他人行儀に聞こえるんだけど…」
そ、そんなに他人行儀でしょうか?
涙さんが悠さんのことを好きなのは分かるけど、自分のことになると分からない。
これが「ジョハリの窓」でいう”気づかない窓”でしょうか?
その話を聞いていたボスさんが話を遮る。
「では、私たちは行くところがあるので」
「娘に手を出したら、どうなるか分かってますよね」
「はい。決してそんなことはありませんので、お気になさらず」
私とボスさんが(私の部屋を)出ると、私の父――柊 敏郎さんがリビングルームで本を読んでいました。
私が階段を下りると、(私の部屋は二階にあります)
「おお、飛鳥。どこかいく……」
ボスさんが上の階にいるのを見て、フリーズしました。
ボスさんは悠々と下りてきます。
三鈴さんも(上の階で)苦笑いしています。
敏郎さんはボスさんが下りてくると我に返り、
「な、なんであんたがここにいるんだ!人の娘の部屋で何をしていたんだ!」
それをボスさんは飄々と返します。
「私は何もしていません。そんなに怒ると(ストレスで)また髪が抜けますよ?」
「う、うぐぐ」
敏郎さんは何も言えず、黙ってしまいました。
今日もボスさんは全戦全勝。舌戦で勝てる人はいるのでしょうか?
* * *
2へ続く




