第八章・ベッドの上で…
(初めてした決闘で負けたのか…)
そもそも決闘自体が、俺にとって初めてだった。その決闘に一矢報いることすら出来ずに俺は負けたのだ。
身体的にも、精神的にも、ダメージは大きい。
(俺って、弱いのかな……)
そう思いながら、ベッドの上で、体を右に向ける。
俺が今いるのは、『トライアングル』にある自分の部屋のベッドの上だ。
ボスによると、飛鳥に決闘で負けた俺は気絶して、飛鳥によって、お姫様だっこで自分の部屋に運ばれたらしい。
”普通は逆だろう”と思うが、今はそんなことはどうでもいい。
コンコン、と扉をノックする音が聞こえる。
「はい、どうぞ」
俺がぶっきらぼうに答えると、扉をノックしたヌシが入ってくる。
「大丈夫ですか、悠さん」
「大丈夫じゃない」
俺は速攻で返した。
「大丈夫そうですね」
「人の話聞いてた!?」
飛鳥には驚かされてばかりである。
「まさか気絶するとは思いませんでしたよ」
「そりゃどうも」
俺が数秒で負けた戦いなど、思い出したくもない。俺のプライドに関わる。このプライド自体はどこかへ捨てたいが。
「けど、あの『孤独の破壊者』がこんなに簡単にやられるとは、私もボスさんも思いませんでしたよ」
「『孤独の破壊者』?」
飛鳥は一瞬ポカンとしたが、思い出したように頷いた。
「そう言えば、途中でしたね。まずはその話からしましょうか」
そう言って、飛鳥は話し出そうとするが、俺は一刻も早く元の世界に返りたかった。