第七十三章・悠とは違う控え室で…
悠がテリーと楽しんでいる(本人は否定するだろうが)間、俺は待ちぼうけをくらっていた。
悠もいなくて、ここにいるのは俺より年長者の人ばかり。
俺が『氷剣レクイエム』を手入れしていると、そこに――十代半ばくらいの――魔女っ娘が現れる。
「あなた好きな人がいるでしょう、それも同性の」
俺は自分の内心を読まれて、ドキッとした。
「何だよ、藪から棒に」
俺は動揺を悟られないようにするためにそんなことを言ってみる。だが、
「隠しても無駄ですよ、私魔女なので。それよりもあなたはその恋に悩んでいるでしょう。どうですか?一瓶百円であなたの恋が成就するかもしれないですよ」
確かにこの子は魔女だ。危うく騙されそうになり、俺は差し出した手を引っ込める。
そんな俺を見てその子は、
「あーあ、つまんない。せっかくいいカモを見つけたと思ったのに。全く引っかからないなんて」
と言い出した。
俺からすれば激怒ものである。
「人の恋心を利用しようとして、何がいいカモだ(怒)」
「私からすれば同性愛なんて意味分からないんですから、仕方ないじゃないですか(笑)」
全く反省する気が無い!
「へぇー。人の恋路を馬鹿にするなら覚悟は出来てるんだろうな(怒)」
「はい、もちろんです(笑)」
「そう。なら君の名前は?俺は滝沢涙」
「タキザワ、ルイ?聞いたことないですが、私は魔女のマリエス。お互いに当たった時はいい戦いをしましょうね」
「ああ、そうだな」
俺たちは(強く)握手をした。




