第七十二章・コロシアムの控え室で…
俺が紙を見せると受付の人はすんなり(俺たちを)通してくれる。
俺は紙を見せながらもこんなことを思っていた。
「紙はいいなぁ」と。
面接の時は別だが、――高校に入学する前に面接をした――紙パスならあまり話さなくて済むので、楽である。
全部ネットで出来ればいいんだけど、それはそれで…。
今の時代――インターネットの普及により情報社会になったのだが、その影響により昔のような人同士の交流も希薄化しつつある。
俺がどうにかできればいいのだが、思っててもやはり行動することは出来ない。
*
このコロシアムはAとBに分かれて対戦するらしい。
武器の使用は禁止されてないらしいので、拳に(全くの)自信がない俺でも大丈夫だ。
そのことに安堵する俺だが、俺はA,涙はBなので(俺たちは)別れることになる。永遠の別れというわけではないが、少し寂しい。
俺は――涙との別れを惜しみながらも――Aの控え室に向かう。(すぐ近くにあるので方向オンチの俺でも迷わずに着いた)
*
控え室の中に入るとそこには筋肉質の男たちとしなやかな筋肉をもった女性が一人いた。(俺が憧れるような筋肉だ)
筋肉質の男たちは三十代前半から六十代後半くらいまでで、十代や二十代がいないように思われる。
出場する若者が減少しているのは本当らしい。
俺がチラッとその人を見ていると、俺の前に二十代前半であろう――女性が自分で言うまで年を聞くのはいけないことだが、同性同士でもそれがあるのが面白い――その女性が近づいてくる。
二次元の少年愛者である俺が女性を好きになることはないが、(人に)近づかれると逃げたくなるのが俺の性だ。
俺が逃げているとその人――女性に壁に追い詰められる。
「なんで逃げるの。アタシはアンタを食ったりしないよ」
「食われても困ります。俺は同性にしか興味ないんで…」
「へぇ。あんたゲイなんだ」
蛇に睨まれた蛙とはまさにこのことである。だがそんなことを思ってる場合じゃない。ここは反論しなければ!
「違います。正確にはショタコンです」
「ショタコン?ゲイと何が違うのさ?」
「ショタコンは二次元の少年だけを愛する人のことです」
俺がそう言うと、
「アハハハハハハハハハハハ」
とその女性は盛大に笑い出す。
その女性は一通り笑い終えると、
「あたしはテニー。テニー・アーカノルド。この大会には賞金目当てで来たんだけど…。それよりも面白いヤツ見つけちゃった♪」
と名乗り出す。
「お、俺は村木悠です」
なぜか敬語になってしまうが、相手が名乗るのに自分が名乗らないのは失礼なので、俺は自分の名前を名乗る。
「ムラキ、ユウ?よく分からないけど、いい名前じゃん」
自分で付けた名前ではないが、いい名前と言われて嫌な気はしない。
「ユウ。アタシはアンタと当たったら絶対手加減しない。よろしくお願いね!」
「よ、よろしくお願いします!」
「よろしくお願いします!」の部分だけ聞けば、彼女が彼氏に告白したようにしか見えないが、そうではないので悪しからず。




