第七十章・『ドラグナル王国』
俺たちは(休日を使って)『ドラグナル王国』に来ていた。
ボスのワープ元にあったので、すぐに来られたのだ。
俺としては(ボスに)とうとう持たせてもらった「光輝剣ユウキソード」と「
暗隕剣バルス」を試すいいチャンスでもある。
涙も先日直った「氷剣レクイエム」を試せるいい機会なので、少し嬉しそうだ。
*
俺たちはコロシアムを歩きながら、何の昼メシを食べるのかを話し合っていた。
久しぶりに父親が作る料理以外を食べてみたかった俺は、弁当を持ってきていない。
アイツは俺が外で食べるのでお金を渡してくれたが、この世界では使えないので、俺は全額、銀行に預けた。
*
俺たちが噴水がある広場まで歩くと、そこには大きな翼をもった生物の像が建っている。
『ん?』
アヴィスが珍しく反応する。
「どうかしたの?アヴィス」
『いや、昔の我に似ていた気がしてな』
「『孤高の悪魔王』の時の?」
『あぁ』
どういうことなのか分からないが、あの像についてここの人たちに聞けば分かるだろう。
俺はそこにいた親子連れに聞こうとして、止めた。
あまりにも楽しそうだったからだ。
今までは知り合いや1対1の場面が多かったので平然と話せたが、普段の(学校での)俺はクラスメイトともまともに喋れていない。
俺は涙に頼もうとして、止めた。
涙のその目は俺を信じてくれている目だ。
人と話すのが苦手な俺に、「(俺たち以外と)話せるようになってほしい」と信じている目だ。
俺はその目に答えるためにさっきの親子連れを探すが、すでにもういない。
なので、俺はベンチに座っているおばあさんに話しかけた。
「あ、あの。おばあさん」
「何かね?」
「あの像について聞きたいんですが――」
俺が像のことを聞くと、おばあさんは優しく話してくれる。
人と話すのが苦手な俺だが、少しずつ成長してるのだろうか…。
*
「それでどうだった」
「あの像のことはあらかた掴めたよ。それであの像だけど、アヴィスらしい。この国は一度悪魔に滅ぼされかけたけど、それを救ったのが同族の悪魔王――アヴィスらしい。
ちなみにアヴィスの歴史は学校での必修科目になっていて、小説の『アヴィスの物語』は累計百万部売れてるらしい」
「最後のは余計だな」
小説が売れている喜びが声に漏れてしまったらしい。
「それであの像が建っている理由は?」
「救世主であるアヴィスを称える像らしい」
『「だからあそこに建っていたのか!」』
「……」
涙とアヴィスがハモるとは夢にも思わなかった…。




