69/306
第六十八章・デス
「はぁ、大変な仕事だ」
僕は玉座の間から出ると、姉さんと別れて、自分の部屋へと直行する。
戦うのに必要なものを準備するためだ。
僕の部屋にはたくさんの魔法書が置いてある。
あの事件があった後も魔法の勉強をするためだ。
他にやることがない、というのが本音である。
「よし、これもいい。後これも」
僕は愛用のシルクハットを机に置き、肩掛けカバンに本を入れていく。
本をカバンに入れていると、コンコンとノックの音が鳴る。
これは姉さんのノックの音だと僕はすぐに分かった。
「姉さん、何か用?」
僕がドアを開けると、
「用はないのだけれど、少し気になってね」
「今回の任務?」
「そう。大竜丸様は今回の任務に別の思惑を隠してらっしゃるのかも…」
「別の思惑、何それ?」
「それについては分からないわ。私からはなんとも…」
姉さんは僕としか喋れないが、僕にも姉さんが何を考えているのかは分からない。
「だから気を付けて行きましょう。キール」
「え?う、うん」
そう言って、姉さんは自分の部屋に戻っていく。
姉さんがこんなことを言うのは初めてだ。
「気を付けて行きましょう」――そう言った姉さんの言葉を肝に命じて、僕は準備を進める。




