第六十三章・悠がいなくなった後に…
俺は悠が全速力で駆け下りるのを見て、溜め息を吐く。
もし、俺がのっぺらぼうのように顔が無かったらあいつは喜んでいただろう。
だがフレアが俺たちに提案したのは、俺の女装だった。
親友が女装をしているという状況と、女装による厚化粧、二つの相乗効果できっと驚くだろう、と。
俺としては嫌だったのだが、みんなが大盛り上がりだったので、渋々了承することにしたが…。
*
「まさかこんなに驚かれるとはな」
メイクをした飛鳥とリンにメイクを取ってもらい、十二単を脱いで、俺はジャージ姿で段差に座る。
「大成功でしたね、涙さん♪」
「私としては予想外でしたけど…」
そこにメイク道具を直し終えた飛鳥とリンがやってくる。
「俺としては、そうだな…」
アイツが悲鳴をあげて逃げたのには驚いたが、アイツが悲鳴をあげるのは珍しいので、それはそれで良かったと思う。だが、好きな相手に逃げられるのはつらいので、とにかく複雑な気分だ。
それに女装が出来なくなりそうだし…。
「これで悠さんを懲らしめられましたね」
「本当にあれで良かったのでしょうか?」
そう言って階段を下りていく二人を見ながら、
(悠のやつ、明日絶対引きこもるだろうなぁ)
と俺はしみじみ思う。
こうして、俺たちの合宿――二日目は終わる。




