第五十四章・悠VSボス
俺とボスの対決は開始一分で終わった。
あまりにもあっけなくて、俺もボスも状況が飲み込めなかった。
第三者がいない戦いとはつらいものである。それについて話をすると――
*
ボスは自分で「始め」と言って、戦いを開始する。
俺が剣を持つのと同時に、「ゼロ・グラビティ」と言って宙に浮いている。
ゼロ・グラビティは無重力なので、本来なら飛んだままになって天井に頭をぶつけるのだが、そこはコントロールできるらしい。
その間に「グラビテーション!」をやられた俺は重力で動けなくなってそれで負けた。
はい、終わり。
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(つ、強すぎる!)
俺はモードチェンジで『フレイムモード』になって「ファイア」を飛ばしてみるが、数メートル先に重力があるのか「ファイア」が下に落ちて消える。
これについてはボスも予想外だったらしく、「あれ君ってこんなに弱かったかな?」と首を傾げている。
宙に浮きながら考えてんじゃねぇ!とツッこみたかったが、ツッこむ手も動かない。
(何Gだ、これ!)
人間が動けなくなるほどの重力なんてありえない。ド○ゴンボールの世界じゃあるまいし!
「解除」
ボスがそう言うと重力が元に戻っていく。
(やっと動ける…)
俺からすれば、重力で動けなくなるなんて初めてのことだ。
飛鳥から負けた時から一ヶ月が経つわけだが、これまでの戦いで奇策を使って勝っただけで、実際の実力は何も変わっていないらしい。
「こりゃ特訓だね」
ボスによって、夏休みは特訓という名の合宿になってしまった。




