第五十一章・涙VSフレア
俺は悠に言われて、フレアと戦うことになった。
いつもはあまり喋らないくせに、こういうときはよく喋る。
俺としても(悠が取られそうになったので)戦いたい相手ではある。
場所はギルド『トライアングル』にある闘技場だ。
わざわざ部活まで休んだんだ。負けるわけにはいかない!
*
ボスが――欠伸を噛み殺しながら――大きな声で「決闘は1対1。倒れたほうが負け!」と言った後、後ろに下がる。
悠はといえば、クッキーを食べながら俺たちを見ている。
クッキー食べながら見るなよ!
俺がそう言ったとしても、きっとあいつは直さないだろう。だから悠はほおっておく。
「お前と戦うのは初か」
「てか目が怖えぇ!どうしたんだよ…」
俺としてはいつも通りなのだが。そんなに怖いだろうか?
「自分で気づいていないってのも怖いですね…」
飛鳥は悠の横で――クッキーを食べずに――俺たちを見ていた。
飛鳥は何かを分かっているようだが何を分かっているのだろう?
俺がそんなことを考えていると、
「始め!!」
ボスがそう叫んだので、俺はフレアに意識を戻した。
*
久しぶりに剣と剣で戦っている気がする。
転生する前も、転生した後も、俺は剣と剣で戦っていた思い出しかない。悠に最初に剣を教えたのだって俺だ。
けれど高校生になった時、俺と剣で戦うのは飛鳥ぐらいしかいなくなった。
久しぶりだ。たった三ヶ月ちょっとだが、忘れてたことを思い出すようだ。
*
俺とフレアの実力は拮抗している。
右に斬れば左に避けられ、左に斬れば右に避けられる。
だが楽しい戦いもいつかは終わる。
俺たちが戦い始めてから数十分後、「ピギー!」と言った声が聞こえる。
フレアの戦いを見ていた契約獣――ドゴンの声だ。
その声を聞いたフレアは、「分かったよ、ドゴン」と言うと、ある技を発動する。
「フレイムソード!!」
俺の愛剣『レクイエム』はすっぱりと(刀身が)斬られていた。
炎のエキスパートだと忘れていた、俺の負けだ。




