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第三十二章・町長アジール
俺は町長の家にいる。
町長は奥さんに逃げられて、酒で酔いつぶれていたらしい。
こんな大人にはなりたくないなぁと思いながら、話を聞いてみる。
*
「いやはやもうしわけない。女房に逃げられてからは、毎日こんな調子で…」
泥酔していた町長さんは、今は話せるぐらいには回復している。水の飲みすぎは気になったが…。
「それで、コボルトの話なんですが、…町長さん」
「私の名前はアジール・アーカノルドです。アジールと呼んでください、ギルドの皆さん」
「俺の名前は村木悠で、こっちは柊飛鳥です。アジールさん」
「ムラキユウ?ヒイラギアスカ?変わった名前ですね。向こうの世界の住人の方ですか?」
(変わってるかなぁ?)
俺が返答に困っていると、
「はい、そうなんです。こっちの世界では、私もよく言われます」
飛鳥が代わりに返してくれる。
「えぇと…、名前の話は置いておいて、本題に入りましょうか」
俺は即座に話題を替えることにした。
*
アジールさんの話によると、普段きのみの採集に使われている東の森で、コボルトが大量に現れ、町民を襲っているらしい。
俺たち二人はリブを出て、東の森へ向かう。




