第三十章・クエスト
サヴァス戦から一週間が過ぎた。
あの後、時は戻り、いつも通りの生活が帰ってきた。
俺はいつも通り授業を受け、いつも通り帰る、そんな日々を送っていた。
そんな日々を払拭するために、俺は(ギルドの)自室でラノベを読んでいる。
*
「なんでここで読むんです?」
飛鳥は自室の扉の前でそういうが、俺は無視する。今は買いたてのラノベ「こ○すば」を読むので、忙しいのだ。
「読むんなら、家で読んでくださいよ」
「異世界で読むのがいいんじゃん」
「またそんな屁理屈を…」
俺はこの数日、家に帰っていない。父親には、「友達の家に泊まる」とだけ言って出てきた。
「友達の家」と言ったのだから、涙の家に電話がきてるだろう。涙がうまく説明しているといいが…。
「お父さんも心配してらっしゃいますよ」
「あいつが心配するわけないだろ」
俺はあんなことされたんだ、絶対に許すもんか!
俺は小学生六年生の時から、そう決めている。
飛鳥は困った顔をするが、
「帰る気がないなら、クエストをしてください」
飛鳥はいきなり入ってきて、クエスト内容が書かれた紙を俺に渡す。
俺はびっくりしながらも、飛鳥からクエストの紙を受け取る。
「クエストって、あのクエスト?ド○クエとか、フェ○リーテイルの」
「そういうタイトルは出さなくていいんですよ。そのクエストです」
相変わらずオタクな俺に呆れながらも、話をしようとするのが飛鳥らしい。
「なになに」
俺がクエストの内容を見るとそこには、
『コボルトに襲われて困っています。助けてください。 隣町リブより』
俺の知っているモンスターの名前が書かれていた。
「なんでコボルトがここにいるの?」
「なんでって、昔から棲息してますけど」
ブレイブリーをやったことがない飛鳥には分からないらしい。
俺はクエストの紙をゴミ箱に丸めて捨てて、ラノベを読み直す。
それを飛鳥に横取りされる。
「お前、ヨコドリにとりつかれて――」
「何を言っているのか分かりませんが、手伝わないならあなたの趣味を校内にバラしますよ」
「俺の趣味は読書だ。バラされても問題ない」
「それともう一つ――」
飛鳥は俺が中学のときに貼った少年キャラのポスターをさし、「こういう趣味があることを校内新聞にして、学校中にバラします」と脅迫してくる。
だが、二週間の付き合いがある俺だ。そんな脅迫に負けるわけにはいかない。
「バラしたきゃバラせばいい。そんな趣味をもっているやつが、校内にいないと証明できるのならな!」
と言い返してみたが、
「分かりました。ならあなたがベッドの下に隠しているビーエル――」
「ストーップ!分かった!手伝う、手伝うから!」
俺は最後には負けるのだった。




