第三章・ギルド「トライアングル」
ギルド「トライアングル」――そこに着いたことに、俺はひとまず安堵する。
(これがギルドか!)
ギルドはフ○アリーテイルで見たことはあるが、実際に見るのは初めてだ。
(こんなにでかいのか!)
テレビごしで見るのとは違い、やっぱり大きく見える。
俺が住んでいるログハウスよりも少し大きく、木は白い木を使っているようだ。
「最初に悠さんが来た時も、そんな反応をしていた、とボスさんから聞きましたよ」
隣の飛鳥は俺を見ながらそんなことを言う。
そのことについてはやっぱり思い出せない。
高校生になる前の話だから 、中学生のときのことだと思う。
記憶力はあまりないほうだが、飛鳥みたいに分かりやすい少女と会って、覚えていないということはないはずだ。多分。
「どうかしましたか?早く入りましょう」
そんな思考にはしっていると、俺は飛鳥に背中を押されて、中に入れられる。
(広いなぁ~)
ギルドに入って最初に感じたのはそれだ。ギルドの中には四つの部屋があるようで、左に二つ、右に二つある。
「この四つの部屋は何なんだ?」
すると飛鳥は「しょうがないですね」と言った後、軽く説明する。
「左上の部屋から順番に言います。
まず、左上の部屋は私の部屋です。部屋の中は綺麗に整理整頓されているので、下着泥棒とかするとすぐにばれますよ」
「しねーよ」
俺は素早くツッこむが、飛鳥はそれをスルーした。
「次の左下の部屋は悠さんの部屋です。自分がどんな部屋にいたか、気になるでしょうから入ってもらいますが、先に聞きますが、オタクじゃないですよね?」
「…それは違うけど」
「…では入ってもらいましょう」
飛鳥の間が少し気になったが、促されたので、入ってみることにする。
するとそこには誰の趣味か分からない、ポスターやグッズがところせましに置かれている。
「……」
「これでも違うっていえます?」
飛鳥のそんな後ろからの抗議を無視して、俺はしみじみと自分が昔いた場所を眺める。ポスターやグッズには、埃がチラホラと見えるが、その場所以外は問題なく掃除されている。
「これ、飛鳥が掃除したのか?」
「はい、そうですが何か?」
掃除すらうまく出来ない俺からすれば、綺麗に出来てる、と言うしかない。
俺が部屋から出るのを待ってから、飛鳥は歩き出す。
「では、次はボスさんに会ってもらいます」
「あれ?まだ入ってない部屋があるんじゃ?」
「片方の部屋は入れないですし、もう片方の部屋は「まだ入れるな」と言われてますから」
(誰に言われてるのだろうか?)
それについては分からないが、止められている部屋に入ろうとは思わないので、おとなしくそのボスに会うことにした。