第二十九章・『暗黒城ネクロ』
『暗黒城ネクロ』
そこは『ドラグナー』の近くにありながらも、誰もよりつかない魔の森に建てられた城である。
*
ネクロの中では、茶髪の少年が玉座の椅子に足を預けながら、寝ていた。
「ぐー、ぐー」
少年の顔の上には本が置いてあり、顔はよく見えない。
年の項は十二、三歳にしか見えない。
「あの、よろしいですか、大竜丸様」
大竜丸と呼ばれた少年は慌てて起きると、本を玉座の上に置き、礼儀正しく座りなおす。
「どうした、アリー」
アリーと呼ばれた少女は、自分の当主の慌てように、苦笑いを禁じえなかった。
そのアリーの年の項は十四歳。まだ幼い少女だ。
「サヴァスが倒されました」
その発言に、大竜丸はピクッと反応し、
「そうか、サヴァスがやられたか」
と呟く。
「で、誰にやられたんだ」
「『孤独の破壊者』です」
「『孤独の破壊者』――アイツのギルドに所属してるやつか。だが、『孤独の破壊者』としての力は失われたはずだ。なぜ、また――」
「『始まりの試練』が破られ、ペンダントを取り返されたようです」
「『孤高の悪魔王』が力を貸したか」
大竜丸は怪しく微笑む。
「アリー、『孤独の破壊者』を捕まえて来い」
「ですが、相手はサヴァスを倒した――」
「口ごたえは許さん」
大竜丸はピシャリと言い放つ。
「…わかりました」
アリーは捕縛の命を受けるしかなかった。




