第十六章・ボスとの会話
俺は涙と一緒に異世界にいる――以上だ。
もはやそういうしかない。てか、実際そうだから!
ということで、二回目のギルド訪問。
俺と涙は、ボスの前にいた。
「こんにちは、ボス」
「こんにちは、涙くん」
そう言いながら、ボスはコーヒーを優雅に飲む。午後のティータイムかなんかだろうか。
そんな気軽に挨拶をしている二人を無視して、
「これはどういうことなんですか!」
と机に両手を叩きつける。
その迫力はまるで、犯人を取り逃がすしかない刑事のごとしである。
犯人役は涙、刑事は俺。ボスは課長か何かである。ってか、俺が刑事とか似合わねぇー。
そんなことはさておき、俺は真実が知りたかった。
まさに、「異議あり!」である。俺はそっちは観てないけど…。
「で、何が聞きたいんだい?」
ボスはそんな演技を無かったことにし、コースターにコーヒーカップを置く。
(マジかよ…)
さすがの俺も唖然である。軽く一蹴されたのだから。
「えぇと…」
「言わないんなら、聞かないけど」
言葉を渋っていると、次弾が飛んでくる。
「まぁ、軽く言っちゃえば、なんでボスと会っていたのを、俺が黙っていたんだって、話ですかね」
そんな俺の横から、助け舟(?)がやってくる。
「だってめんどくさかったから」
その返答は至極簡潔なものだった。まるで小学生と話している気分である。
(め、めんどくさかったからって)
俺はそう思わずにはいられない。もしメンドクサイですませられるなら、俺の学校生活はもっと気楽になるだろう。
ボスの答えが理解できない俺にボスは、
「逆に聞くけど、君は「ホウレンソウ」って知ってる?野菜とかいう、ボケはいらないからね」
「それはもちろん」
ホウレンソウは、報告・連絡・相談を略したものである。
避難訓練で言われる――学校で違うところもあるが――「おかし」の押さない・駆けない・喋らないと同じようなものである。
「それなら話は早い。そのまま聞くけど、君は自分の記憶にないことを他人にいわれたらどう思う?」
「嫌ですね。俺が知らないことをなぜお前は知っているんだってなりますね」
「そういうことだよ」
何がそういうことか、全く分からないが、俺はとりあえず納得することにした。




