第十五章・過去を振り返って…
放課後。
午後の授業が終わり、(部活は火曜日にないので)俺がそそくさと家に帰ろうとしてると、
「よし、捕まえた!」
同じく部活のない涙に、(正門前で)捕まった。
「何?」
俺が怒りを隠そうともしないので、涙が一瞬びびるが、
「いやー、暇なら一緒にもう一つのマイホームに一緒に行こうと思ってな」
と、持ち前のカリスマ性で切り返してくる。
(食えない奴めッ!)
俺は内心そう思うが、声には出さない。
「じゃあ、行こうか♪」
涙は(なぜか嬉しそうに)そう言うと、俺を半ば強引に、校舎裏まで連れていった。
*
てをつなごう~いっしょにわらおう~ともだちになろう
俺は(町内にある)神社で、何回その歌を歌っただろうか?
ぼくのみぎてと~きみのひだりてを~
俺の横で何回その人は歌ってくれただろうか?
つないでみたら~なんだかうれしくなったよ~
そう、俺はあの時、確かに嬉しかったんだ。
*
「悠!?おい悠!?」
誰かのおうふくビンタがくりだされる。
「痛ってぇ!」
俺にとって、こうかはばつぐんだった。
「……」
俺はおうふくビンタをした張本人――涙を睨む。
「何するんだよ」
「お前が起きないからだ」
売り言葉に買い言葉で返す、それがこの男だ。
「というか、経験してて倒れるってどういうことなんだ?」
(うぐっ!)
それをいわれると痛いが、
「俺だって二回目なんだ」
せめて、そう言い返しておく。
「実際は百回以上、経験してるんだけどな」
涙は含み笑いで、そう言い返してくる。
「ほっとけ」
俺はそう言うしかなかった。




