第八十八章・テリーとの会話
俺は涙と別行動をしたわけだが、何をしたらいいか分からない!それなのに一時間もある!
ラノベを読もうと持ってきたら、係員の人に「魔道書の持ち込みは禁止ですよ!」と言われ、没収された。
あれは魔道書じゃないのに!と思ったが、それで返ってくるわけではない。
腕時計を持っていないので――飛鳥と涙は持ってるが――どこかに移動することも出来ない。
*
俺が途方にくれていると、
「あっ、悠じゃん!」
とテリーが寄ってくる。
「何ですか、テリー。今の俺は待ちぼうけをくらった犬ですよ…」
「何そのマイナス発言!?もうすぐ優勝者が決まるんだよ!賞金欲しくないの!?」
「いらねぇって言ってんだろ!いつになったら分かるんだよ!」
「アンタがお金の大切さを知るまで言うよ!」
「うるせぇ!俺のことはほっといてくれ!」
生まれてから何度思ったか分からないことを俺は言う。
「ユウ、アンタやさグレてんだね。私にもそういう時あったから」
「そういう時?」
テリーは過去のことを語りだす。
「アタシの親父さ、母さんに逃げられてから元気なくてさ。町長のくせにいつもお酒飲んでたよ。――」
その話、どっかで聞いたような?
「――アタシが止めなって言っても聞こうとしない。アタシはそんな親父に嫌気がさして自立したんだ。あの時のアタシは何も考えずに――」
「ちょ、ちょっと待って!」
俺は待ったをかける。
「何?」
「テリーの親父さんって名前は?」
「名前?アジール。アジール・アーカノルド」
テリーの親父さんは、俺が会った町長――アジールだった。




