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狂ったデーモン 前編

 目の前のモンスターの拳を、『火炎放出』の放出量を増やして急加速し避け、反撃に杖の先をモンスターに向け、『炸裂火球』で攻撃。

 当たった瞬間小さいながら爆発するそれを頭に食らっても、それに効いているとは思えませんでした。

 ですが…


「そう、その調子。そのまま攻撃を続けてくれ。」


と、私の後ろの青年は言います。

 こんな無意味なことを続ける私と、青年の名前はなにか。

 正解は、私はフレイ・カルボーネス、そして後ろの青年はヨシオカ・ケンタです。

 なぜこうなっているか、ですか?

 話は少し前に遡ります。


         ♦


 マンドレクの叫び声に引き寄せられたモンスター──私の憶測通りデーモンベアやジャイアントベア、他にもフォレストファングなどでした──を殲滅し、一息ついている間、私はずっと気になっていることがありました。

 あのモンスター達は森の中心部からこちらへ来たのですが、何故か怯えて、逃げるようにこちらへ来たのです。

 私達が倒し損ねたモンスターも、一目散に走っていったのです。

 何故なのでしょうか?

 もしなくても、この森に異常事態があることはわかります。

 ……面倒ですね。

 ここは彼を説得し帰還した方が


「よし、もう行こうか。まだ探索は終わっていない。あと一踏ん張りだ!」

「あ、はい。」


 ダメなようです。

 あぁ…これは面倒なことになりました…




 そうして、私達は森の奥を目指しました。

 速く帰りたいと思いつつこの新米冒険者一人では心配だと感じて、帰れないもどかしさで私の胃痛はマッハです。

 モンスター達が走った際に荒れたであろう場所以外の道がないため、草に引っかかりながら歩かなければ奥へ行くのは難しいです。

 私の足は既に悲鳴をあげています。


「もう帰りませんか?何も無いでしょう。」

「いいや。森の奥地まで一応見よう。何かある気がするんだ。」


 面倒なタイプですね、この人。


「私、もう足が疲れたんですけれど。」

「そうなのかい?じゃあ休憩に…いや、もっといい方法があるよ。やるかい?」

「なんですか?是非やってください。」




 …で


「なんでおんぶなんですか?」

「なんでって、君が足疲れたと言うからじゃないか。」

「…私は立派な大人です。子供扱いされているようでムカつきます。」

「でも楽だろう?」

「……………まぁ楽ですが。」


 やっぱりムカつきます。楽ですからこのままおぶられますが。

 などと、言い合っていると、それは見えました。

 巨大な、威厳を感じる朽ちた門が森の中に、ポツンとあったのです。

 そして、その先には巨大な大穴が。

 私はこの光景に見覚えがありました。


「?なんだい、これ?」

「知らないのですか?これは『デーモンの大穴』ですよ。遥か昔、勇者に倒された狂ったデーモンがここに封印された、という伝説があるんです。デーモンは信仰される対象となり、デーモン信仰は細々と続けられていましたが、消えたのは最近です。…ですが、おかしいですね。」

「?なにが。」


 私が知る限り、門の奥には神殿があったはずなのです。

 …が、今や影も形もありません。


「…異常の原因がここにあるのでしょうか?」

「なら調査をしないと。」


 ヨシオカは真面目ちゃんですね。

 まぁ、私もデーモンは信仰までいかないにしても個人的に好きな伝説上のモンスターです。

 この世界を構成する一つ、火をこの世界に作り出したのがデーモンの一族という伝説がありまして、狂ったデーモンはその子孫なのです。

 少し調査しますか…と、大穴に近づいて、気が付きました。

 デーモンの大穴の外側、まるで先程焼かれたようにを地面が焦げ、熱を持っていました。

 こんなことはありえません。

 こんな範囲を一気に燃やすなんて、それこそデーモンでなければできません。

 ふと、底を見ました。

 見えるはずもないのになぜ見ようと思っかわかりません。ですがこれだけはいえます。

 私の勘は捨てたものではない、と。


「ブルルルルルルル…!!」


 光が満遍なく降り注ぐその中心に岩石を削り出して無理矢理斧にしたような巨大な、そしてデーモンの特徴である火を宿した斧を持ち、溶岩石のような身体の内に火を宿した、伝承通りのデーモンが居ました。

 狂ったデーモンはまるでこちらを威嚇するように唸り声を発しながらこちらを見てきます。

 私のようなただの魔術師やそこの初心者冒険者では勝てない。

 火を見るより明らかです。

 大人しく逃走しましょう。


「ケンタ!逃げますよ!」

「いいや、大丈夫。僕達なら勝てる。」

「何馬鹿なこと言ってるんですか!?勝てるわけないじゃないですか!」

「大丈夫だよ。僕を信じて。」


 このバカは一体何を言っているんですか!?

 デーモンには私の炎系の魔術は効きにくいうえ、彼のショートソードではあの岩のような外殻ニダメージを与えられません。

 勝率なんてありませんし、無謀です。


「もしフレイちゃんがいかないなら、僕が一人では行くよ。」

「っ………わかりました、わかりましたよ!これで死んだら呪いますからね!」


 こちらが戦闘態勢をとった途端、狂ったデーモンはこちらへ駆け出してきました。

 無謀な戦いの火蓋が切って落とされました、

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