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青年とハプニング

 貿易国カタリナは、それこそ様々な人がいます。

 商売人はモチロン、温暖かつ風光明媚なためカタリナの半分は港、もう半分はビーチであり、そこには高級住宅が立ち並ぶ貴族の街です。

 ビーチとしても有名で、ラクーナ・ビーチの名前は夏に行きたい観光地として最もよく聞く地名です。

 そんな観光としても有名な場所なので、貴族や観光客も相当な数が居ます。

 そのため、冒険者へのクエスト依頼も多く、そのクエストを受けるため冒険者も集まります。

 なにせ貴族や金持ちが多い街ですから、クエストの報酬はとても高いのです。

 私も、その高額なクエストを求めてやってきました。

 冒険者ギルドについた私は早速扉を開けました。

 そして、すぐ悟りました。

 あのクエストカウンターに我先にと依頼書を奪い合う屈強な冒険者たちから、高額な依頼をとるなんて無理だ、と。

 そんな、悟っている私の名前はなんでしょう?

 …フレイ・カルボーネスです。




 さて、クエストが受けられないのであればどうしようもありません。

 誰かと協力する、という方法もありますがそんな人が都合良く…


「はぁ…」


 居ました。依頼書を見ながら溜息を吐いている皮鎧とショートソード、レザーシールドを装備した男の子が居ました。

 とりあえず、声をかけてみますか。


「どうかしましたか?」

「うん?君は誰だい?」

「申し遅れました、私はフレイ・カルボーネス。炎の魔術師です。」

「フレイちゃんだね、僕はヨシオカ・ケンタ。最近冒険者になったんだ。」


 ほうほう。


「珍しい名前ですね。」

「ハハハ、よく言われるよ。」

「まぁそれはさて置き、どうしたんです?」

「あぁ、そうだったね。実はやっとの思いでこの依頼書を取ったんだけど、実は人数制限があって、二人以上で行かないといけないらしいんだ。」


 おお、これはまるで仕組まれたような都合の良さですね。


「丁度私もクエストへ行きたかったので、一時的にパーティーを組んで行きませんか?」

「いいのかい?ありがとう!」


         ♦


 と、言うわけで私はヨシオカとクエスト[森林調査]へと来ています。

 このクエストは単純で、ただ森林を探索し異常がなければ帰還しギルドへ報告、異常があった場合すぐにその異常を解決、又は撤退しギルドへ報告する。というクエストです。

 なにもないとは思いますが、油断は禁物ですね。


「ねぇフレイちゃん。これはなんなんだい?」


 このヨシオカという青年は警戒するというのを知らないんですかね?


「それは緑花草です。栄養価がとても高い草です。まぁとても苦いですが。見た目もいいので飾る人も居ます。香りも良いですし。」

「ふぅん…どうせだし持っていこうかな。」

「根ごと引き抜いてくださいね。」

「わかったよ。」


 ヨシオカはどうやらこれまで箱入りだったらしく、常識とも言えるものを知らないことが多いです。

 まぁ、貴族の家に緑花草なんてありませんよね。

 …あ、そう言えば


「注意なんですが、その緑花草に擬態したマンドレク、という植物型モンスターがいるんですが、そのマンドレクは抜かれた時大きな声を」

「えっ?」


 私はヨシオカの手元を見て、硬直しました。

 そこには今にも叫びそうなマンドレク。


「それを早く放り投げてください!」

「あっ、お、おう」


 我に返りそのマンドレクを放り投げるように指示します。

 戸惑いつつもヨシオカはそれを遠くに放り投げようとしますが、遅かったようです。


「キィァアアアアアアアアアア!!!!!」


 酷く耳障りな声を上げ、マンドレクがさけびこえをあげてしまいます。

 咄嗟に自分の耳を塞ぎますが、意味はなかったようです。

 鼓膜を破りかねないほどの大絶叫に耐えているうちに、マンドレクは地面に穴を掘ってどこかへ行ってしまいます。

 絶叫が止み、鼓膜が破れていないことに安堵しつつヨシオカに近付きます。


「大丈夫ですか?」

「あ、うん。大丈夫だよ。」


 大丈夫なようです。

 ですが問題はこの後です。

 暫くすると、地面が揺れていると錯覚するほどの地鳴りがします。


「な、なんだ!?」

「モンスターパーティーですよ。戦闘態勢を整えてください。」


 この森ですし、良くてデーモンベアでしょうね。

 デーモンベアは数が少ないですし、まぁジャイアントベアも居るでしょう。


「はぁ…これは面倒ですね…」

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