7話〜原因〜
僕は最近学校で友達が出来た。
その友達は恥ずかしがっているのか、いつも僕を避けていた。
けど四限がおわり、昼間になると必ず僕を呼ぶ。
まぁ、いつも蹴られたり殴られたりして痛いけど。
毎日同じことをされているから家に帰ると必ずこうなる。
「どうしたの!喧嘩でもしたの?」
母は驚いた顔をしていた。
それに僕は無表情でこう答えた。
「友達と一緒にいただけ...だよ」
困惑気味な顔で母は僕を見なおした。
けど「そう...」とだけ言ってそれ以上、何も言わなかった。
そしてある日のことだった。
毎日のように僕は前田君に話しかけようとしたら、ある女子生徒が声をかけてきた。
「あ、あのぉ...数学のプリントの提出期限、今日までなんですけど...」
「あっ、忘れてました。すぐに取り掛かります」
「あの、他にも現文の課題は明日提出ですよ。忘れないでくだ...さい」
「うん、ありがとう。久保田さん」
ということで僕は休み時間を全て、数学の課題に費やした。
課題が終わる頃、気づけば教室は橙色に染まっていた。
だがそんな教室は数分で終わってしまった。
帰りに職員室によって、課題を提出し家に帰った。
「おかえり。今日は、その...綺麗ね。服が」
「あ、うん。今日は友達と話せなかったから」
母は少し安堵の表情を浮かべた。
そんな会話をしていると、二階へ続く階段から妹が降りてきて、走ってきた。
「お兄ちゃんっ!お、か、え、りー!」
妹は走ってきた勢いで僕に抱きついてきた。
こんな妹はどうなのだろうかといつも思っている。
「ルカちゃんは本当に雪也が好きなのね〜」
「うん!お兄ちゃん、あとで一緒にゲームしよっ!」
実際、世界の中で何割の兄がこんな状況を求めているのだろうかと考えてしまう。
でもこの家はもうこうなってしまったので仕方がない。
「ごめん瑠夏、僕は学校の課題をやらなければならない。だから今はダメなんだ」
「そっか、残念。けどそれが終わったらいい?」
「ああ、いいよ」
妹は大げさなくらい喜んだ。
話が切れると僕はやっと玄関から出た。
するとリビングの方から何かスパイシーな匂いがした。
「勉強の前にご飯食べよっ!」
僕はそれに従ってリビングに向かって歩き出した。
こんな日が数日続いた。
その次の日からだった。
前田君が壊れ始めたのは。
こんにちは深沼バルキです。
今回は前田君が壊れる前の話でした。
ここまで読んでくださりありがとうございます。