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空白の世界の隅で溶ける雪  作者: 深沼バルキ
7/9

6話〜助け〜

---数分後


「オラァ!」


〈ボスッ〉


「うがはっ」


あっけなく俺は最後に腹を膝で蹴られ倒れた。


俺以外の二人は完全に気を失っていた。


「俺らを舐めた罰だな。俺が許すまでそこに這いつくばっていろ!」


それが勝者からの命令だった。


「俺らの負けか...」と小声で言った。


周りに男たちが群がり俺達を笑顔で蹴ったり踏み付けたりしていた。


これが俺の体験したことのない痛み、それが敗者だった。


何も出来ない。


何も言えない。


これがあいつの気持ちだと感じた。


ああ、もう死にたい。


そう思った時だった。


〈ドン!〉


「なんだ?」


「すみません。ここに僕の知り合いがいると思うのですが知りませんか?」


「誰だ?お前」


「私立秋ノ宮高等学校二年の桜花雪也です。僕の知り合いも同じ高校の学生なのですが...」


驚きのあまり、俺の中の時間が少し...、いや結構な時間止まった。


だがそうはしてはいられなかった。


「お...い、にげ...ろ......」


「あ、そこにいたんですね」


「なるほどなぁ、お前、こいつらと知り合いだったのかぁ。ならやられても仕方ねぇよなぁ」


「やめ...ろ」


「そいつもやっちまえオメェら!」


一斉にあいつを襲い始めた。


「ああ...」


あいつも俺達の様に...。


そう思ってた。


しかし、常識は常にある時を境に覆る。


族が次々に倒れていったのだった。


それも常識外れのスピードで。


「なっ、なんだこいつ!化け物並じゃねぇか!」


「化け物ですか?そうかもしれませんね。何しろ僕は以前の僕のことを知りませんからね。いつの間にかこんないつ使うかもわからない力を持ってましたし。いうなら隻腕の怪物ってとこでしょうか」


族を倒しながらあいつは喋っていた。


「おい!あれを出せ!」


すると危機を感じたのか川田が館の裏に行った。


「ふぅ、大丈夫ですか?」


「なんで...俺を...助ける......」


「それは...」


〈ドガッ〉


まだのんきに会話をしている場合では無かったらしい。


「どうよ!俺達が命かけて取りに行った品はよぉ!」


「パワードスーツ...だと!」


「やられた人数とこいつ一機じゃあ割に合わないけどな。まぁ今はそんなこったぁどうでもいい。さぁ始めようぜ隻腕野郎!」


パワードスーツと言っても旧式だからコックピットが丸出しで、弱点丸出しみたいなもんだ。


けど、スピードやパワーはやはり強い為生身の人間より強いことに変わりはない。


「逃げろ...今度こそ...死ぬぞ...」


「いいや、逃げないですよ。僕は多分強いですから。でも少しは怖いですが」


「オラァ!よそ見してんじゃねぇ!」


すると川田はパワードスーツで急接近して来た。


こいつと俺はここで一緒に死ぬなと思った。


いくらこいつが強いと言っても機械の強さを手に入れた川田には勝てないそう思っていたからだ。


だが、それすらもここで覆った。


「はぁっ!」


俺がその時見たのは、機械の拳を当てる前に蹴りを腹に入れられた川田だった。


「ぐわはっ」


そのまま川田は後ろに倒れた。


驚きのあまり口が開いたままだった。


「家に帰ろう」


そこには真顔で立っている桜花がいた。


---その後...


今日、分かった事がある。


それはこいつが強いことだ。


「クソっ、痛え」


「ちゃんと歩いて下さい」


家までの帰り道。


俺と桜花は気絶している二人を背負って歩いていた。


「お前、なんで助けになんて来たんだ?」


「なんでって.........」


その言葉に俺は耳を疑った。


何故ならそれは普通じゃありえないことだからだ。


「あ?本気で言ってんのか?」


「はい、僕がそう思ったからですよ」


「あんだけ俺がやったのにか?」


桜花は片腕で辛そうに秀樹を背負い直した。


「あれは照れ隠しという一種の愛情表現ですよね」


「はぁ?」


今更俺は思い出した。


「やっぱお前、頭おかしいんじゃねぇのか?」


久々に本気で笑った。

こんにちは深沼バルキです。

なんとも主人公のありありなものが出てしました。

でも、これも主人公の宿命であると自分は思って書いていました。



ここまで読んでくださりありがとうございます。

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