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空白の世界の隅で溶ける雪  作者: 深沼バルキ
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2話〜来た場所〜

これは僕がこの学校に初めて来た時の話だ。


「...では、ここにサインを」


「はい」


僕は学校というのを知らない。


というより覚えていないらしい。


僕の記憶はあの白い部屋からの記憶からしか無かった。


なので、隣で書類を書いているこの男性が自分の父親だと知ったのも最近のことだった。


それだけではなく、あの時部屋で僕を見て泣き崩れていたあの女性は母親だったり、我が家だと言われついて行った先には妹が一人で玄関前で立っていたりもした。


家族は皆僕を見て驚いていたが、僕はずっと無言のままだった。


今でもこの人が父親だと半信半疑だった。


僕はひたすらボールペンを握っている指を見ていた。


「...はい、書き終わりました。これでいいんですよね。校長先生」


「はい、では春からよろしくね。雪也君」


「はい、よろしくお願いします」


僕が座礼をし終わると校長先生を含めた三人は立ち上がり、書類を書き始める前に言っていた校内見学の為校長室を退室した。


校長室の前の廊下は様々な部活動の音が響いていた。


「この高校は部活が盛んなんですよ。部活数も多いですしね。どうです?部活なんかどう?」


「僕は入る予定はないです」


「そ、そうか」


日々様々な感情や言葉が飛び交う校内は僕にとっては真っ暗な牢獄のように見えた。


廊下で数人ほど生徒とすれ違ったが、既に僕の転入のことは噂程度に広まっているらしく、僕は驚きの目を向けられたりもした。


しばらく歩いていると彼らはあるところで足を止めた。


「ここが君と君のクラスメイトが一緒に勉強をする教室ですよ」


引き戸式のドアを開け、のぞくと教室独特の匂いがした。


「いい教室じゃないか。昔を思い出すよ」


父の目は本当に懐かしそうだった。


父は元々田舎の高校に通っていたと聞いたが、その高校もこの学校と同じ感じなのだろうかとふと思った。


このクラスは二年四組と書いてあった。


「すいません、僕はこの四組に入るんですか?」


「いやいや、君はねぇ。たしか、二年六組に入る予定だよ」


「えっ、違う教室にでしょうか」


校長は父の言葉で理解したらしく返答する。


「あっ...ああ、違う教室ですが、内装は全く同じですから」


「そうでしたか」


彼はため息をした。

こんにちは深沼バルキです。

今回は一様初登校的な感じでした。

そしてお父さんが登場しました。



ここまで読んでくださりありがとうございます。

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