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黄昏の日常  作者: 灯些季
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86.ため息?

[SIDE浩二]

なんで兄貴が柾美のお茶飲んでやがる!?

カップルみたいな雰囲気になってるんじゃねぇ!


柾美は兄貴に告白されてるだろ!

少しは自覚持て!



苛々しながら屋台の方を見ると

お面をかぶった女が人ごみに入っていくのがヤケに目に付いた。


「浩二っっ」

「ああっ食後の運動だなっっ!」


走ろうとして柾美の格好に気づく。


これは無理だろ。

そーいや戦える状態じゃねぇんだよな。


「柾美は兄貴とここに居ろ!俺が退治してくる!!」

「頼む!」


2人だけにするのはイヤだけど柾美と親父さんに任されてるんだっ裏切れねぇ!


ムカついた分はテメェでウサばらしだ!


ヤツは俺に気付いて走り出したが逃がさねぇっ


ひとけが少なくなってきた所で飛び蹴りを喰らわしてやったら茂みの中に飛んでいった。

俺も茂みに飛び込みながらグローブを出すとヤツは隠れて攻撃しようと身構えてる。


「遅せぇっっ!」


殴りつけたらでかくなりやがった。

だからなんだ!


力を込めて殴り飛ばす。


悲鳴あげながらしぼんでいくって風船みてぇだ。


黄色い石を出してヤツにあてる。


「封印!」


石に吸い込まれていった。



この石は柾美が使ってるのと少し違ってレベルの低い化け物を封印出来る。

つまり霊力がそこそこある奴なら使える物。

柾美の青い石は一族専用のものだからあの石を飲んだ者じゃねぇと使えない。


それにしても……だいぶ離れちまったか。

早く戻らねぇと。



急いで戻ってきたせいか兄貴は柾美に手ぇだしてないようだ。

よかった。


「浩二お疲れ様。ごめんな、本当は俺も行かなきゃならないのに。」

「いい。居るだけで充分って言っただろ。」


兄貴には何が起きたのかわかってなかったみてぇだ。


「お祭り戻ろうか。」


兄貴が少し寂しそうに言った。


俺ともし立場が逆だったら………置いてきぼりくらったみたいなんだろうな。

けど同情はしねぇ。

柾美を渡す気ねぇし。



柾美が射撃に興味あるみてぇだな。

5回ほど打ったけど狙いの物に当てられないか。

剣の腕は凄げぇのに銃はダメなのか。


「俺がやるよ」


兄貴が空気銃を構える。

チャンスだ。


兄貴の後ろで俺は柾美の手を引いて人ごみに紛れこむ。

文句聞こえるけど聞く気はねぇ。


せっかくの祭だし、

柾美と2人になってもいいだろ?

[SIDE柾美]

総一先輩が銃を構えて集中してる。


やっぱり護身として射撃訓練とかしてるのかな?

構え方が素人じゃなさそうだし。


なんて考えてたら俺の手は引っ張られて人ごみに紛れてる?


「だっ誰だっっあれ、浩二?何するんだよ。」

「いいから来い」

「けどっ先輩がっっ」

「ほっとけ」


えっっ何故!?


「酷くないか?止まれってっ」


こいつ力が俺より強いからどんどん引っ張られる!


「なあっっ戻ろうっっ」

シカトかよ!

どこに連れて行く気だ?

「なあっぶっっ」


いきなり止まんなっ

ていうか抱きしめられてる?


「何だよっ離せっっ」

「断る。柾美を補充させろ。あまり一緒に過ごせてねぇだろ。」

何それ。

あ、俺ずっと練習ばかりで浩二の事放ってたんだっけ。

その事言ってるのか?


「ごめん。初めて来る所なのにあまり構わなくて悪かったよ。友達なのに酷いな。」

「責めてるわけじゃねぇ。お前と過ごす時間が欲しいだけだ。」


何故ため息?


それはともかく、総一先輩だって放置は良くないだろ。


えー‥‥‥兄弟と友達は別々がいいのか?

複雑だなぁ。


「あのさ、さすがに総一先輩をいきなり放置は悪いだろ。」


思いっきりしかめっ面すんなよ。


「じゃあ晃に先輩の事任せて後で落ち合おうよ」

「ちっ……わかった」


舌打ちするほどイヤなのか。


晃の携帯に掛けて先輩の事と、落ち合う場所を伝える。


っていうか何故後ろから抱きしめる?

俺の事甘えるようになって来てるって言ったけど自分だってそうじゃん。


「なあ、落ち合う場所って近いのか?」

「少し離れてるかな。後で花火大会が川の方であるけど、俺と晃は毎年離れた丘から見てるんだ。」


俺は携帯で時間を確認。

まだ大丈夫。


「もう少し屋台みてから移動しないか?」

「祭に戻るのか」

「俺まだ遊びたいし、警備ももう少しやった方がいいんじゃない?」

「そうだな」


浩二は警備はイヤじゃないみたいだな。


俺もやらなきゃならないのに悪いと思ってたけど妖怪類とのケンカ(?)は人間よりも手応えあるとか言われた。

少し変な道に引きずり込んでしまった気はするけど……

まぁ……助かってるからいいのか?


祭は相変わらず人が凄い。

俺ははぐれないように手を繋ぐと一瞬驚いた顔された。


やっぱり俺たち注目されてるなぁ。

浩二がイケメンだからか。


親父には悪いけど俺は少し警備の事は忘れて浩二と楽しむ事にしよう。


それにしても総一先輩に全然会わないな。

晃と合流出来たかな?


「あ、そろそろ移動しない?」

「わかった」


浩二が強く手を握ってきた。


このとき

俺は浩二の事ちゃんと考えるべきだったかもしれない。

あいつがどんな気持ちで俺の側にいたのか。


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