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黄昏の日常  作者: 灯些季
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80.代役

親父の声が響いた。

俺の勝ちだ。


「で、どうなの?俺はスペシャルメニューなんてやらないし、浩二も帰さないからなっっ」


せっかく来てもらったのに帰すなんて嫌だ!


座り込んだままの浩二を後ろから抱きしめると戸惑った声が聞こえた。


「おっおいっっ」


もし親父が無理に浩二を連れて行こうとするのを防ぐ為だ。

そういうわけだから汗だらけでひっついてても悪く思うなよ。


「柾美、浩二君を連れていく事はしないから安心しなさい。2人とも予想以上で安心したよ。」

「本当に!?やったぁっっ!!」


俺は嬉しくて、一度は離した浩二にまた抱きついてしまった。

だって友達と過ごせるなんて嬉しいじゃんっ!


「まっ柾美っっ暑いだろっっ」


そんなに勢いよく引き剥がさなくてもいいじゃんっっ!

確かに対戦した後だから暑いけどさぁ。


「浩二のケチ~~」

「お前実家に戻ってから性格変わっただろ。」

「どこが?」

「自覚ねぇのかよ。甘えるようになってきてる」


ああ。そうかも。

自分から浩二に抱きつくなんて学園じゃなかったもんな。


「ついでに祭の事だが、柾美は踊りを担当してもらう事になった。」


あれ?


祭の踊りとは、一年の厄除けの儀式みたいなものだから俺たちの一族の代表が舞台で踊るもの。


だけどそれって若い女性が剣を持ってやるいわゆる剣舞なんだけど………

親戚の涼子姉さんが担当のはず。


「涼子ちゃんは一昨日足を怪我してしまって踊れなくなったんだ。柾美は代役として出て貰う。」

「いやいやいやっっ俺男だからっ!!」

「化粧すれば女にしか見えないだろ?」

「だって祭まで5日しかないじゃんっ!」

「お前なら問題ない!」

「あるっっ!」

「記憶力・運動神経良くて当主として太鼓判押せるのはお前しかいないだろっ!!」

「で、でも」

「次期当主の腕の見せどころではないか?」

「それとこれは話し別だろっ!」


だってせっかく浩二と色々遊びに行きたいのに!


ちらっと浩二を見る。


「俺の事は気にするな。踊りに集中してくれ。それに見てぇし。」

「このっ裏切り者!」

「なんでだっっ」

「浩二君にあたるのはやめないかっみっともないっっ」


結局は踊りやる事になってしまった。


「じゃあシャワー浴びてくるっ」

「ああ。踊りの先生が後から来るからな。」

「浩二行こう!」


腕を掴んだら振り払われた。


「俺は後でいい。先に行ってろ。」


そうだ、札使うって慣れないと結構霊力消耗するんだ。

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