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黄昏の日常  作者: 灯些季
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78.違和感の塊

居間に行くと親父と母さん、あきら)がいた。


俺達が来るの待ってた?


「兄ちゃんお帰りっ」

「ああ、ただいま。」


うん元気だ。

それよりも浩二紹介しなくちゃ。


頭を少し撫でてから離れる。


「上原浩二君だね?弟の芳正よしまさ)ああ、理事長から君の事は聞いてるよ。」

「はい。はじめまして、よろしくお願いします。」

「私は父親の隆治たかはる)です。柾美がいつも世話になってるね。」

「私は母親の晴美よ。よろしくね。」

「あとこいつは弟の晃。今中1なんだ。」

「こんにちはっ」


うん、イイ挨拶だ。

我が弟ながら良く出来た。


「俺達部屋に荷物置いてくるよ。浩二行こう。」

「じゃあ戻ってきたらお昼ね。今日はカレーよっ」

浩二は客間だな。

そっちから行くか。


居間を出て真っ直ぐ廊下を進む。

そしてあまり使わないけどお客用の部屋の襖を開ける。


いつもはお客をもてなす為にソファーやらテーブルやらがあるけど片付けてくれたんだな。


この部屋は庭がよく見えるんだ。

真ん中辺りに岩があってそれを芝生が囲ってる。

季節によって庭の花が変わるから鑑賞にはいいかもな。


「庭が綺麗だな。」

「だろ?」

「これのドコが普通の家だ?敷居高いように感じるのは気のせいか?」

「いいだろ別にっそれよりもっこの部屋はしばらく自由に使っていいから!

じゃ、俺部屋に荷物置いてくるからっ」

「俺も行く。お前の部屋解ってた方が便利だろ?」

「まぁ、そうだな。」


俺の部屋は客間からそんなに離れてない。


廊下を少し進んでドアを開ける。

うん、懐かしい部屋!


なんて言っても荷物はほとんど寮だから物はほぼない。


机とベットがあるくらいかな。


荷物を置いて居間に戻ると既に昼食の用意がされてある。


「いただきます。」


家族で食べるなんて久しぶりだし、懐かしい味だ。


「柾美、浩二君もおかわりあるわよ。遠慮しないでね。」

「うんっ」

「ありがとうございます。」


浩二がさっきから敬語使ってる!


「浩二がまともだなんておかし〜っ」

「はぁ?」

「だって敬語じゃん」

「あのなぁ人様の家に世話になるんだから言葉くらいただすだろ。」

「でもなぁ〜〜」


叔父さんとか教師にすら敬語じゃないのに違和感の塊にしか見えない!


「上原のせがれ、しばらくいるんだから気ぃ使うな。疲れるぞ。」

「せがれじゃなくて浩二だよ!って爺ちゃんも言ってるからいつも通りにしてくれない?」

「そうだな。そうする」


よかった。それでこそ浩二だよ。


「母さん?なに笑ってるの?」

「柾美が私達以外にそんなにくだけた態度だなんて嬉しいのよ。」


そういえば、今まで家族以外と親しくしてる姿なんて見せた事なかったかもな。



カレーは俺も浩二も遠慮なく食べた。


満腹になったし、浩二をどこか連れて行こうか?


「柾美、浩二君も道場に来なさい。」

「え?う、うん。」

「道場まであるのか?」

「ああ、剣道とかの修行やるからな。」


親父と2人で対戦するのか?

修行ってことで山門学園に入ってるんだから有り得るか。


それにしても、家の廊下ってこんなに長かった?

もちろん、寮とか校舎に比べたら長くないけど、

俺の家って普通なんだよな?


そうだ、俺って同級生の家行った事ないから世間の普通の家の基準わからないじゃん。


「浩二ごめん。俺の家って普通じゃないかも。」

「何だよいきなり」

「俺って友達いなかったから普通の家がどんなのかわからないんだ。」

「別に大した事じゃねぇだろ。」


え、そうきたか。


廊下を突き抜けて庭に造られてある渡り廊下を進むと道場だ。


親父は道場の中に入ると止まった。

俺達もつられて止まる。


「2人共、来て早々で悪いが君たちの今の実力が知りたい。」

「やっぱり。俺達と親父が対戦するんだ。」

「いや、柾美と浩二で戦ってもらう。」

「えっっ」

「別に構わねぇけど」


食後のいい運動になりそうだ。


「もちろん本気で戦ってもらう。札もいくらでも使っていい。」

「札まで!?」


浩二とは何度か手合わせしたことあるけど札使った事はないぞ!


「もし手抜きしたり、結果次第によっては柾美にひ地獄のようなスペシャルメニューの修行を、

浩二君は帰って貰おうか。」

「「絶対本気でやりますっ!」」


俺と浩二は間を置いて向き合う。

浩二はグローブを、俺は刀………って違う!


「ちょっとまった!竹刀にするから!」

「てめっ本気でやるんじゃねぇのか!?」

「本気だけど人に刃物向けられるか!手合わせの時だって竹刀使ってるじゃんっ親父いいよな?」

「まあ、いいだろう。」


道場に置いてある竹刀を取りに行ってから、また浩二と向き合う。


「始めっ!」


親父の声が響いた途端、俺達は互いに床を蹴った。


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