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黄昏の日常  作者: 灯些季
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75.お見送り

「じゃあ行ってくる。正樹も楽しんでこいよ。」

「うん、お土産買ってくるよ。」


俺は実家へ戻る為にボストンバックを持って部屋を出る。


廊下には浩二がいる。

同級生を連れて帰るなんて初めてだし楽しみだ。


ロビーまで行くと見覚えのある姿が見える。


「園田先輩に武田先輩、おはようございます。」

「おはよう柾美君に浩二君。」

「おはよう柾美。彼も一緒に行くのか?」


武田先輩の彼って、ああ浩二か。


「はい。親父が会いたがってるので。」

「俺達はどこでも一緒だよな?」


浩二よなんで俺の肩を抱く?

暑いから振り払おう。


あ、武田先輩がっかりしてる?

やっぱり不良に近づくのは良くないって思ってるのかな?


「武田先輩、浩二って見た目は怖いし、良くない噂多いけど本当は良い奴です。結構優しいし、頼りになります。だから心配しないで下さい。」

「あ、ああ」


ちょっなんで吹き出すんだよ園田先輩!


「柾美君て天然!僕としてはそれでイイから応援するよ!」

「何をですか?」

「気にしないでっそれよりも会長から伝言預かってるんだ。」

「総一先輩から?」


何だろう?たしか実家に帰ってるんだよな?


「仕事のついでに会いに行くんだって。お祭りの日に行くらしいよ。」

「はぁっ?なんであいつがぁっ!?」

「お得意先への挨拶まわりだって。」


なるほど。

偉いなぁ……


「伝言ありがとうございます。じゃあ行ってきます。」

「いってらっしゃ〜い」

「気を付けてな」


それにしても豪華な見送りだよな。

族の総長に剣道全国第2位の先輩って。


ボストンバックを持って隣を歩いている浩二は不機嫌な顔だ。

たぶん総一先輩は浩二の事も気にして祭の日に来るんだよな。


浩二が祭の日に家の手伝いするって言ったら心配してたし。


「浩二、そんな顔するなよ。」

「悪りぃ、あいつが来るって思うとつい。それより……さっき俺の事ああ言ったのは本気か?」

「当たり前じゃん。浩二がいるから俺は安心して居られるんだ。」

「お、おう」


そういえば浩二と出掛けるなんて初めてじゃん。

良い機会かもな。


俺達は校門から少し離れた所にあるバス停に着くと地面に荷物を置く。


バス来るまで時間あるなぁと思いつつ私服姿の浩二を観察する。


黒いTシャツに黒のジーパン。赤い髪が映えるなぁ。

男のフェロモンか?総一先輩とは違うけどかっこいいって事だよな。


それに引き換え俺は水色と青の重ね着風のTシャツに、茶色のジーパンか。

うん普通だ。

浩二の引き立て役って言われても違和感ないな。


「何ジロジロ見てやがる」

「ごめん。でも浩二ってかっこいいよな。」

「なっっ」


スッゴい赤面した!

照れ屋だな。


「だってタメなのに大人っぽいじゃん。」

「俺が老け顔だと言いたいんだな?」


あ、ガッカリしてる。


「そうじゃなくて頼もしいって思ってる。俺なんかよりも親父の跡継ぎっていえば説得力あるかもな。」


だって親父の手伝いで付いて行くと「こんな子供が?」なんて顔される。


そりゃあたしかに子供だけどそんなあからさまな顔しなくてもいいのに。


もう少し大人っぽい顔で背もあれば少しは違うかなと何度考えた。


「確かに柾美は可愛いからな。実際子供だろ?」

「そりゃあそうだけどさぁ……」


俺の頭なでてくるとか子供扱いしてない?


「柾美は俺よりずっと強えぇ。頼りになるのはこれからじゃねぇか。」

「じゃあそのときも一緒にいて欲しい。」


うわっ俺何言った!?

浩二驚いてるじゃん!


「ごめんっっ!浩二につい頼りたくなるけどいつまでも頼りっぱなしはないよな!?ナシナシッ忘れろっ!忘れて!!」

「はぁ?」


浩二だってきっとやりたい事とかあると思うし、俺の我が儘に付き合わせちゃまずいだろっ


それに浩二は本当は陰陽に深く関わる者じゃないんだ。

今だけ、今だけなんだ。




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