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黄昏の日常  作者: 灯些季
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73.自販機

「なあ、このごろ成次と前よりはケンカしなくなったじゃん。このまま仲直り出来ないの?」

「えっっ!出来ないよ……」

「出来る!俺も協力するから。」

「本当に?」


そんなときチャイムが鳴り響いた。


誰だ?


俺は正樹から離れて玄関を開ける。


噂をすればなんとやら。

成次じゃん。


「柾美あのさ……」


なぜ止まる?


って成次の視線の先には涙ぐんだ正樹!?

これじゃあ俺が泣かせたみたいじゃないか!


「月村っ?どうした!?」


成次が駆け寄ってくるなんて!


「なっなんでもない!」

「そうだよ何でもないんだっっ」


状況的に俺がいじめたみたいじゃないか!


「柾美に浩二君の事色々聞いて感動したんだっ」


浩二に感動出来る要素って難しくないか?

それに成次の顔が怖いよ――っっ!


「やっぱり上原のこと「そーだ俺自販機でジュース買いに行こうと思ってたじゃん成次ついて来てよっっ」


俺は慌てて成次の腕を引っ張って強引に廊下へと連れ出した。


自販機は一階のロビーにあるわけで、そこに行って戻ってくるまでには成次も正樹も冷静になれるよな?


暫くは俺がどうでもいい雑談をしながら成次の腕を引っ張ってひたすら歩く。

成次は戸惑ったように返事は返してくれる。


「なぁ、月村は上原が好きなのか?けど上原って柾美と付き合ってるんじゃないのか?」


どうしてそんな誤解が生まれるんだ。

階段をおりながらもついため息が出てしまう。


「あのさ、両方とも違うから。正樹の好きな相手は浩二じゃないし、俺と浩二は友達だから」

「そうなのか?」


全くもって誤解だ。


「まて、上原じゃないって事は月村の好きな奴って誰だ?」


そうきたか。


「そんなに正樹の事気になる?嫌いじゃないのか?」

「違う!あ……その…」


バレバレじゃないか。


「とりあえずジュース飲まない?」


ここの自販機、いや買い物は全て学生証を機械にかざすことで出来る。


だから俺はポケットの中 の学生証を…………

あれ?


「忘れた」


そうだ。別にジュース買うつもりなんかなくて、

ただ成次をあの部屋から連れ出したかっただけにここまで来ただけじゃないか。


「月村が部屋にいなかったら戻れないだろ。ほらどれがいい?奢るから」

「成次やっさしぃ〜〜大好きぃ〜〜」

「はいはい。保に影響されてきてるだろ。」


俺は好意に甘えさせてもらってオレンジジュースを買う。

成次はウーロン茶を買うと2人して近くのベンチに座る。


「あのさぁ俺さっき好きって言ったのに普通に流したよな?

本当は俺にアプローチする気なんてないだろ?」


あ、表情堅くなった。


「本当は俺の近くにいる奴に気にして欲しいだけだろ?」

「そんなことな「いやある!態度バレバレなんだよなぁ」

「……そ、そうさ。少し話しを聞いてくれないか?」

「どうぞ」


たぶん、さっき正樹から聞いた事だよな?

まあ、成次からの意見もききたかったしいいか。


成次は話す前にキョロキョロと辺りをみるけど

ここにいるのは俺たちだけだ。


「月村とは中等部の最初の頃は仲良かったんだ」

「保に聞いたよ」

「上級生に絡まれてるところを助けた5がきっかけなんだ。そのとき俺、月村に一目惚れしたんだ。一緒にいる時間が増えるほど気持ちが強くなっていったんだ。」


やっぱりお互い惹かれてるじゃん。


「だけどあいつが俺の事嫌いだと言ってるのきいてすげーショックで、

悔しくて顔を見ればケンカするようになってきたんだ。」


まあ、好きな相手に嫌われるのは確かに辛いもんな。


「しばらく日が経って月村のルームメイトに告られた。

月村の事忘れられると思って付き合いだしたけど、月村と目線合うことが増えてきたんだ。」


その時点で気付きそうな気はするけど……

嫌われてるなら無理か。


「その子とは本気で好きになれなかったから別れて、

また月村の知り合いの子と付き合いだしたら月村と目線合うことあって、

俺は月村の視界に入ってる事が嬉しくて、

でも普通に話すなんて出来なくて、気がついたらケンカするようになってたんだ。

月村と関われるって事が嬉しくて、あいつの近くのコに構うのが止められないんだ。」



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