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黄昏の日常  作者: 灯些季
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63.計画の打ち合わせ

「なんで霊を秘書にしてやがるんだ。見えない奴だっているだろ?」

「ああ、それなら心配ないさ。私の力で周りに見えるようにしてあるんだ。」


そう、最初に脅かし役として2人の霊を雇って

そのうちの一人は成仏して、もう一人は叔父さんの役に立ちたいって事で今に至るらしい。


「2人とも夏休みの事で来ただろ?食事しながら話し合おうじゃないか。」

「そうだよ。じゃっ遠慮なく」

「いただきます。」


俺たちはまず目の前の食事に手をつける事にした。


うん、お腹すいたんだよ。


「浩二君は園芸部があるだろ?それに実家にも帰る予定もあるだろう。」

「部活は出るけど家には帰らねぇ」

「あと、親父から浩二を家に連れて来いって連絡来たけど?」


叔父さんはおにぎりを手にしながら俺を見る。


「どうせ祭の前後に帰って来いって事だろ。」

「俺たちに手伝わせたいんだよ。毎年の事だけどさぁ」

「祭?」


浩二が唐揚げを頬張りながら興味深そうに俺と叔父さんを見てきた。


お祭好きか?


「実家の近くの大きい神社で行われる祭の事だよ。

俺たち陰陽師は一般人に混じって悪霊とか人に害を成そうとする妖怪を見つけて退治するんだ。」

「人が集まる所には色々なモノが集まり易いからな。

浩二君くらい力があれば充分戦力になるぞ。」

「へぇ~~面白そうじゃねぇか。」

祭じゃなくてそっちか。

浩二らしいな。


「それなら7月末辺りに帰った方が良さそうだな。」


そう、その為に一族がほぼ集まるんだよな。


「君は本当に実家に帰らないのか?」

「ああ。どうせ兄貴か親父に引っ付いてスーツ着てあちこち行くんだ。

家業の手伝いってヤツさ。疲れるだけだぜ。」


そうだ、忘れてたけど浩二って良いとこの坊ちゃんじゃん。


「上原財団の事業は幅広いからな。そのおかげで家と繋がりがあるわけだがな」

「繋がり?」


仕事繋がり?けど家は祓いとかまじない的な専門だし?


「あっもしかして親父のお客様?」

「ああ。大きい企業には色々な怨念がぶつけられる傾向がある。それを守ってるのが柾美の家だからな。」


なるほどっ浩二がここにはいれたのはそういう繋がりがあったからか!

待てよ……じゃあ浩二も総一先輩も大切なお客様?


「しかし家業を手伝うならますます帰らないのは不味くないか?」


叔父さんの言うとおりだ。


「俺にその気は一切ねぇ。だいたい跡継ぎには兄貴がいるんだ。」

「なるほど……じゃあ柾美の婿養子になってそっちの跡を継ぐのはどうだ?」

「むっむこよっげほっげほっっ」


いきなり変な事言うな!むせちゃったじゃんっっ!


そんな俺の背中を浩二がさすってくれる。


「なんでそうなるんだよっっ!」


「なるほど。悪くねぇな」

「お前納得するの!?婿だよっ!肩身狭いよっ!?あーっ違うっそうじゃなくて俺の婿っておかしいじゃんっ!」

「何が?」

「そうだ落ち着け柾美。」


くっそ!なんで2人とも笑顔なんだよっ変!


「俺たち男じゃん!」

「だから何だ?今は男同士が恋愛する時代だっ外国をみろ!結婚だってあるんだっ!それにっ男同士の愛は男女の愛と違った甘美だ!障害があるがそれば美しく深〜〜いっものがあるんだぁぁぁぁぁぁぁっっ!」

「叔父さんスト――プッッ!」


ヤバいッッBLについて語りだして暴走しそうだっ!

浩二なんて顔引きつってるじゃんっ!


「わかったから夏休みの計画っ!」

「あっああ、すまない。」


良かった。現実世界に戻ってきた。


「じゃ、浩二は実家に帰らない方向でいくとすると家の人と総一先輩どう説得するの?」

「それなら私に任せてもらおうか。」


任せるって、

いくら何でも理事長が他人の家庭に首突っ込むのはどうなんだ?


「柾美の家は上原財団にとってとても大切な取り引き相手だ。次男を今後の為に夏休み預かりたいって言えば問題ないだろ。」

「そんなので大丈夫?」

「ああ。浩二君の親父には私から連絡しておこう。総一君にも伝える。」


そういえば総一先輩は大丈夫かな?

生徒たちに押し潰されそうになってたよなぁ。


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