5.先輩
たしか俺の部屋は257号室だっけ?
2人部屋だよな。
同室者ってどんな人かなぁ。いい人だと嬉しいけどなぁ〜。
1階がロビーと食堂と大浴場だよな。
じゃあ生徒の部屋は2階からか。
学校案内のしおりの寮のページを見る。
1年が2・3階、2年が4・5階、3年が6・7階。
で、生徒会が最上階か。
総一先輩は一番上の部屋なんだ。
え―…8階ってエレベーターついてるよな?
毎日階段だったら辛いな。
あ、目の前にあったよ。
そういえば、寮長さんにまず挨拶だっけ。
その人も8階って叔父さん言ってたな。
じゃあエレベーター使っていいよな?
ていうか、1階てあまり人居ないなぁ。
俺がボタンを押そうとしたとき戸が開いた。
袴姿の人?
「お前見かけない顔だな?転校生か?」
「あ、はい」
上級生?
「1年生は基本的に階段だ。」
「あのっ8階の寮長さんのとこに行きますけど階段じゃなきゃダメですか?」
「悪かった。なら特別に使っていいぞ。それで、部屋はわかるか?」
「へ?あ、でも表札はありますよね?」
「残念ながらプライバシーの保護の為部屋番号しかついてないぞ」
マジか。
叔父さんっ部屋の階だけじゃなくて番号も教えて!
「仕方ない。案内する。ついてこい。」
「えっでもっっ」
「たいした事じゃない。俺のことは気にするな。
」
「すみませんっ」
降りてきたばかりなのに悪いな。用事もあるはずなのに。
「もしかして部活に行く予定だったんじゃないですか?」
「ああ、俺は2年で剣道部の武田祐司だ。自主練にいくところだったから気にするな。」
「すみませんっ」
「いい。お前名前は?」
「田島柾美です。」
「じゃあ柾美でいいな。」
「はい。武田先輩って呼びますね。」
口調は偉そうだけどいい人かも。
耳が少し隠れるくらいの黒髪にキリッとした表情。
剣道強いかな?
もしよかったら手合わせして貰えないかな。
親父以外と手合わせしたことないし。
「柾美は剣道はやらないか?」
「えっとぉ……少しだけしかやった事ないですけど。」「なら今度手合わせしないか?」
「えっいいんですか!?」
スカウト?
でも手合わせして貰えるなんて楽しみだ。
「着いた。秋月先輩、ああ寮長の部屋は805号室だ。明日の放課後教室に迎えにいく。じゃあ。」
「ありがとうございますっ!」
エレベーターから降りて礼を言っているうちに先輩はサッサと行ってしまった。
あれ?迎えにって?
クラス言ってなかったような?
*****
SIDE 祐司
エレベーターを開けたら見たことない子が立っていたから驚いた。
どうやら噂の転校生らしい。
かわいい。
美少女だと思ってしまったが冷静を装って普通に話す。
どうやら剣道が出来るらしい。
手合わせの約束もした。
これを口実に部に入れるのも悪くない。
Aクラスか。
確か、編入試験で今の1年の主席を上回る成績だったとあいつが言ってたな。
きっと注目の的になるはずだ。
これからの学園生活が楽しみだ。