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黄昏の日常  作者: 灯些季
49/89

48.鈍感

「君、田島柾美君だよね?」

「ちょっといい?」


保から学園新聞を受け取った俺は

怪我した足を引きずりながらも寮へと帰ろうと歩いているとき、


2人の知らない生徒に両側から声を掛けられた。


返事をしたとたん両腕を掴まれて引っ張られた!


ひたすら進み続けるから俺は転ばないように急いで歩くしか出来ない。


と、どこかの教室の戸の前に来ると止まった。


「あんたたち誰だよっ何すっわあぁっっ」


戸が開けられたかと思ったら放り込まれた!?


頭も体もいきなりの事に、なによりも怪我のせいでバランスがとれなくて

床に転がる。


な、なんだ?


顔だけ起こして相手を確認するけどやっぱり知らないや。


まあ、例えるなら2人とも美少女みたいに可愛い顔だけどさ、

見下されると怖いな。


えーと、2人とも二年生かな?

先輩か……やっぱり関わった覚えないけど?


「お前調子乗りすぎ」

「はい?」


俺何かしたっけ?


「総一様と浩二様にベタベタするって何様のつもり?」


………様?

思考力が着いてけないぞ?



「ちょっと顔がいいからっていい気になってない?」

「本当は迷惑掛けてるって気付けよ!」


えーと、この人たちの言葉から考えると総一先輩か浩二のファンか?


「あの総一先輩か浩二のファンだと思いますけど俺は2人のこと特別だと思ってませんよ。」


穏便に済ませようよ!


「いっっ」


怪我の所蹴るなんて卑怯だ!

また蹴った!


「嘘つけ!」

「浩二様から主席奪いながら図々しいんだよ!」

「それは濡れ衣!」


そんな事まで責任持てるか!

こっちは絶対に入学しなきゃならなかったんだから必死だったんだぞ!


「痛っっ」


踏むなっ

しかも怪我のとこ蹴ってきたし!


「何をしてる!」


戸が開けられて聞き覚えのある声が響いてきた。


神様!

じゃなくて秋月先輩!!


「ひ、光様っ」

「こっこれはそのっ」


堂々と俺を踏みつけておいて言い訳する気?


慌ててどいても遅いだろ。


「柾美君大丈夫?」

「たぶん」


光先輩に起こされて立ち上がれたけど痛い。

先輩が俺を蹴っていた先輩たちを睨むと顔を強ばらせた。


「君たちは浩二君の関係だったな。このことは生徒会に「わ−−っっいいです!俺大丈夫です!」


こんなこと総一先輩の耳に入れたくない!


「柾美君っっ」

「本当にいいんですっ!総一先輩にこれ以上迷惑掛けられませんっ!」

「君はっっ!」


呆れた顔で見られてため息つかれた。


「柾美君の寛大さに感謝するんだな。二度目はないよ。」

「「はっはいっっ!」」


あ、逃げてった。


総一先輩には迷惑掛けたばかりなのにまたなんて嫌だ。

浩二にだってそうだ。


「まったく総一の事考えてだと思うけど君だって危機だっただろ?」

「すみません。あと、さっきの事浩二にも黙ってて下さい。」


あぁ先輩ため息ついたよ。


「本当に呆れるね。ま、あの2人は君の事になると冷静でいられなくなるだろうから

今回は黙っておくか。他の生徒会のメンバーには伝えておくよ。」

「すみません」

「念のために保健室寄ってから寮に帰ろうか。俺もついて行くから。」

「いいんですか?」

「また何かあったら困るだろ。」


秋月先輩は俺の荷物を持ってくれた。



保健室で見てもらったけど大したことなかったらしい。


「君は怪我治るまで1人で出歩くの禁止だね」

「同感です。」


う〜ん…またさっきみたいな事なったら嫌だもんなぁ。仕方ないか。


「それで浩二君は?」

「俺の変わりに叔父さんとしばらく組む事になったついでにレベルアップの修行するらしいです。」


なんか放課後は陰陽活動あっても無くても

特別室で頑張ってるらしい。


「へぇ…浩二君も変わったな。あの子が誰かの為に動くとはねぇ…」

「それと、このごろ浩二が妙に優しくなる事あるんですよね。

嫌ってわけじゃないけど……その、調子狂うというか、どうしたんでしょうね?」


あれ、秋月先輩も瀬川先生もぽかんとしてる?

もしかして俺が知らないだけで実は優しいのか?


「君って鈍感だね。」

「全くです。浩二君が可哀相になってきた。」


秋月先輩!?

可哀相ってなんで??


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