45.嘘
「「ごちそうさまでした」」
正樹、もう怒ってないみたいだな。
問題はこれからか……
「早速だけど何があったんだ?」
真剣な顔を総一先輩と正樹に向けられてるんだけど
やっぱり聞きますよね?
「あの、秋月先輩の所に行かなくていいんですか?」
「今の君たちを放っておけるほど寛大じゃないんだ。光の方は急がないから別の日にするよ。」
で、ですよね。
協力してもらうのはありって言われたけど……
やっぱり巻き込めない。
近くであんな事があるなんて知ったらこの人なら来てしまう気がする。
「柾美……」
浩二が心配そうな顔を向けてくる。
どうすればいい?
うまくごまかせる自信なんかない……
隣で浩二がついたため息がやけに大きく聞こえてきた。
へっっ!?
いきなり体が引っぱられたぁ!?
って目の前が白……ワイシャツ!!
なぜ?
ん?斜め上に見えるのって赤い髪!?
犯人はお前か浩二!
イヤイヤッなんでいきなり抱きしめてるのお前!
しかもガッチリ頭押さえつけてくれちゃってるから喋れないだろ!
「何をしてる!」
ほらっ総一先輩だって怒ってるじゃん!
「何ってこいつ俺のだから」
何だよその返事!
それに誰がだ!
くっそぉ頭が動かせたら睨んでやるのにっ
「兄貴の事が好きだっていう奴が柾美に絡んでやがった。
ちょうど俺が現場を発見した。
で、柾美はそいつから怪我を負わされてたから光のとこに行った。」
「その生徒は誰だ?」
「さぁな。誰かさんが昼間柾美にチョッカイ出したから問題が起きたんじゃねぇ?」
おいっ責任を総一先輩に押し付けてないか!?
「俺の言うことが信用出来ねぇなら保にも確認とれよ。あいつも一部始終みてるぜ。」
よくそんなにスラスラと嘘がでるな!
そんなに先輩の事が嫌いかよ?
「お前と柾美は付き合ってるのか?」
「さあ?キスは何度かする仲だぜ。」
したくてしたわけじゃない!
こいつっ動けない事いいことに好き放題言ってるっ!
「……わかった。俺は失礼する。」
ドアが閉まる音がヤケに大きく聞こえた。
総一先輩出て行った?
「正樹、こいつだいぶ疲れてるから寝かせてくる。騒がせて悪りぃ。」
「ううん。柾美の事頼むね。」
うわっっ
体抱えられたぁ!?
条件反射で浩二にしがみついてるけど好きでやってるわけじゃないから!
親切な事に正樹が俺の部屋の戸を開けてくれたから、
浩二にそのまま部屋の中まで運ばれた。
やっと解放されたときはベッドに座らされていた。
睨みつけると真剣な顔を俺をみてくる。
「どういうつもりだ」
「本当の事言える決心つけられねぇクセに見え透いた嘘でごまかすのか?」
た、確かに迷ってたけどさっ……
「あれはないだろ。なんで総一先輩と争う方向に持って行ったんだよ。」
「甘ぇ。兄貴を今引き離しておかなかったら後が厄介だ。
柾美は誰も巻き込みたかねぇだろ?」
「そうだけど…」
「だったら甘い考えは捨てろ。」
確かに浩二の判断は間違ってない。
総一先輩とこれから関わらない方がお互いの為にはいいかも知れない。
「なあ、さっきの流れだと俺と浩二が付き合ってるって宣言したみたいじゃないか?」
「いいんじゃねぇ?」
「良くないっお互いそんなじゃないのにおかしいじゃんっ」
睨みつけたら睨み返されたっ。
浩二の目って鋭いから余計怖いよっ。
しかも……本気で怒ってない?
「てめぇ……ニブすぎ」
なんの事だよ?
ため息をついて
だけど俺の頭を優しく撫でてきた。
浩二さん?最近のあなたの言動が理解出来ないですけどぉ?
「朝迎えに来る。保健室いく、もう寝ろ。」
「ああ、お休み」
部屋を出て行く浩二の背中を見送ったけど
アイツの考えがわからない……
いいや、もう寝よう。
本当に疲れた。




