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黄昏の日常  作者: 灯些季
42/89

41.サキュバス

俺と浩二は周りに人がいないか、見られていないかを確認してから夜の校舎へと入って行く。


それにしても……

俺って陰陽師としてレベルアップしてるかな?


召喚する式神を取り上げられたおかげで剣や符を使う事増えたよなぁ…


2階を通り過ぎるとき

つい生徒会室を見てしまう。

基本的に生徒会の人たちは放課後は帰るとき以外はあそこに引きこもったままらしい。


強力な結界が張られてるから安全だし、

外でどれだけ騒ごうか聞こえてこない防音(?)設備が施されてるらしいから、見つかる可能性は低いハズ。


……なんてわかってても昨日の事もあるし。


「それにしても4階までってけっこう遠いな。」

「ああ、いつも登ってくときは明るいし、人もいるせいだろ。」


浩二の言う通りかも。


いざ4階について廊下をジッと見つめるけど、

気配ないな。



「行くか」

「ああ」


まだ来てないのか?


「あら、素敵なお兄さんじゃないっタイプだわ」


え?

上から!?

いつの間に!


コウモリの羽根を生やして露出の多い黒い服っていうか

下着って言う方が正しいかもしれない。

髪の長い妖艶な美女が浮かんでる!


「女王様?」

「確かにそれっぽい、ってそうじゃなくてサキュバスか?」


「正解よ。嬉しいわ。」


俺たちはそれぞれ武器を手に身構える。


正直目のやり場に困るけど!

それに女の子を攻撃するのはなぁ…

魔物だとわかってても気が進まないな。


「あいつどんな攻撃して来やがる?」

「攻撃っていうか、眠ってる男に添い寝してイヤらしい夢をみせて精液を吸い取るとか、

精気を全て吸い取って殺すとかだな。」

「つまり寝なきゃいいんだな。」


なんでこんな知識を俺が持ってるかって?

学校の図書室にあるモンスター図鑑のおかげだ。


でもさ、本で読むのと実際に目にするのとは違うわけで……

目の前で色っぽい笑顔向けられると困る。


やりづらいなぁ…


「浩二っ見た目はああでも油断するなよ!」

「………」

「浩二?」


そういえばなんでグローブ消してるの?


ドサッと声もなく倒れた。

えっっ!?


「おいっっ」


何があった?

サキュバスは全然動いてないぞ!


「眠ってる!?なんで!!?」

「私が眠らせたのよ。男にしか効かない眠くなる魔法で。」


ん?それってなんともない俺って……


男として嬉しくないだろっっ!


あっ違う!

俺は魔物系の毒は昔から慣らされてきたから耐性あるじゃん!


「女に用はないわ。大人しくしてなさい。」


くっそ!

なんだ?体の力が抜けてく?


「女の生気はいらないけど邪魔されたくないからちょっと貰うわよ。」


なるほど、二重の魔法はちょっと辛いな。


「だ、だまれ、ブス」

「ふふっ自分の男が犯されてく様を見てなさい」


プチッ

俺の頭の中で何かがキレた。


「いい加減にしろーーーっっ!」


俺は眠気に負けないように腕を振り上げて左の太股に剣を降ろす!


「うそっ痛みで寝ない気!?」


いてぇ…

力強過ぎた?


ズボンが血で染まっていく。

でも目が覚めた!


「こいつっっ!」


サキュバスの鋭い爪が襲いかかってきた!


ああこんなものか?

武田先輩の攻撃に比べたら遅いっ!!


「きゃあぁぁぁぁっ」


羽根を片方斬りつけたらバランス崩して床に転げ落ちる。


痛みをこらえながら近づいていく。


「やっ止めてっ女を傷つける気!?

ねっあなたも女なら傷が残るのがどれだけ惨めか分かるでしょ!?

あなたの傷も治してあげるから見逃してっ」


はあっ

いい加減にしろ。


「ひとついい?俺男だから!!」


「うそっそんな顔で!きゃあぁぁぁぁぁっ!!」


心底頭にきたから遠慮なく切って石に封印。


「浩二っ起きろ!」


封印したのにまだ起きないって大丈夫?


近寄って呼吸を確かめる。

心臓は動いてるみたいだな。良かった。


早く起こさなきゃ。

俺がちょっと体調ヤバいかも。


「ん――…」


うっすらと目を開けて俺と目があった。


もう起きるかな。

え、なんか頭が引き寄せられっっ


て…唇に柔らかい感触?

何が?

うっ口の中に何か入ってきた!


「んんっ…」


息がっっ

あ、解放された…


待てよさっきのはキス?

浩二にされたのか!?


ってまた!


再び唇が塞がれる。


こっこいつサキュバスの影響残ってるのか!?


押して離れると名残惜しそうに見つめてくる。


男の色気出してる場合じゃないだろっ!


「いい加減にしろっ!」


俺の両手が浩二の両頬に音を響かせる。


「いってぇ〜〜」

「お前は何度人の唇奪う気だっ!」

「チッ惜しい」

こいつはっ!

あ、でも起きて良かった

………うん、

そして俺マジでヤバいかも。


気が緩んだから痛みに意識がいったというか、

立ってるのも辛いかも。


そりゃそうだよ。

けっこう血が出てるし。


「おいっその怪我どうした!?」

「俺まで眠ったらマズいから剣で刺したけど、力加減失敗てやつ?」

「笑ってる場合か!」

「うん、あとは頼んだ……」


情けないけどもう限界。

不覚にも俺は意識を手放した。

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