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黄昏の日常  作者: 灯些季
37/89

36.やっぱりおかしい

もちろん、男2人が余裕で入るような場所じゃないから

俺たちは互いにくっついてる状態。


何が悲しくて男同士でこんなことしなきゃならないんだ。


なぜか浩二は俺を抱きしめるように背中に腕を回してるけど

そこは深い意味ないよな?


閉めたばかりの教室の引き戸が音を立てて開けられ、電気が付けられる。


すぐ近くに足音!


み、見つかったらマズい!


俺の胸に当てた手に力が入る。

そのとき、背中にまわされてる腕に力が入るのが伝わってきた。


ああ、そうだよ。

浩二も緊張してるんだ。

こいつと一緒ならなんとかなる、大丈夫。


たぶん椅子を動かす音が響きわたる。


ガサガサと音がする辺り忘れ物か?

けど誰なんだ?


再び足音が近づいて来て緊張も高まる。


見つかりませんように!


教室の電気が消されてまた闇に包まれる。


そして、足音は遠のいていく。


「もう大丈夫じゃねぇ?」

「本当に?」

「足音聞こえなくなったぜ。それとも俺にもう少し抱きついてるか?」

「へ?」


うわっなんで浩二の胸に顔うずめてんだよっ。


「てめぇがどんどん来るから理性がどこまで保てるか試してるかと思ってるけど」

「ワケわからない事いうなっ見つかったらマズいから焦っただけっ。」



急いで離れると本当にさっきの人が居ないか廊下を確認する。


よしっいない!


「少しくらい名残惜しそうにしてもいいんじゃねぇ?」


浩二が何か言ってるけど気にしない!


「それにしても誰だったんだよ。」

「生徒会の奴だろ?3年って事は兄貴か副会長だな。」


はて?生徒会?


「あのな、柾美が俺に鍵持ってる奴の事言っただろ?」

「あっそうだっけ。」


そういや風紀委員長は鍵は持ってても夜の校舎には入れない事になってるし、

自由に出入り出来るのは生徒会メンバーか

俺たちぐらいじゃん。


叔父さんは生徒会室にこもってもらうって言ってたけど

さっきみたいに忘れ物を取りに来る事もあるよな。


むしろ、今まで遭遇しなかったのが奇跡かもしれない。

これからは気をつけなきゃな。


そのとき、再び物音が聞こえてきて俺たちの体は強張る。


あ……馬の蹄!?

まさか本当に肖像画狙いか!?


音から考えるとちょうど音楽室の手前にある階段を上ってきたかな?

つまり、さっきの人は反対の階段から降りて行ったらしいから

遭遇はしなかったんだな。


引き戸を開ける音が廊下に響きわたる。


ま、まさか本当に!?


俺たちは忍び足で廊下を進む。


あ、音楽室の前方のドアが開いてる。


後方のドアのガラスから覗く。


げっっ!

中年の肖像画に抱きつくケンタウロスなんて見たくなかったよ!

年齢的に俺くらいがストライクだと思ってたのにっ裏切り者ぉぉっ!


あ、今は罠を生かす事が大事だな。


両手で印を結ぶ。


「縛!」


床に敷かれている式紙たちが浮かび上がってケンタウロスの全ての足をガッチリ掴む。


これけっこう霊力使うんだな。


「なっっなんだ!?」

「油断っ大敵ぃぃぃぃぃぃぃっっ」


勢い良くドアを開けて浩二が強力なパンチをケンタウロスの腹部にのめり込ませるっ!


「ぐほおぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっ!」


あいつ絶対手加減してないな。

窓際まで一気にふっ飛んだ!

結界に当たって跳ね返るとか相当痛そ〜〜


あ、泣いてる。


「我が輩が何をしたぁぁぁぁぁ〜〜」

「ごめんな。ちょっとやり過ぎたかも。でも封印な。」


ケンタウロスに気を込めて鉱石を当てると

その中に吸い込まれていった。


「よし、終わり。と…」


あれ、力が抜ける?


フラついてしまった俺は何かにぶつかった。

違う。

浩二に受け止められたんだ。


「どうした?」

「たぶん力使い過ぎたかも。式紙あんなに一気に使うなんてやったことないから。」

「そうか」


ん?これって受け止められてるっていうより

抱きしめられてる?


「俺が見とれてたせいで余計な力使わせたな。悪りぃ。」


えっと、前半はともかく後半は気を使ってくれてる?


「いいよ。俺早く一人前になりたいってうぎゃっっっ!!」


体持ち上げられた!?

ってすぐ近くに浩二の顔っっ!?


「降ろせよバカッ!」

「フラフラなんだから黙って抱えられろ。」

「これは嫌だ!歩けるから肩だけ貸せよっ!」

「チッ暴れるなっっ」


さんざん抵抗しまくって疲れたけど降りた!

やっぱり浩二の奴おかしいっっ!


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