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黄昏の日常  作者: 灯些季
31/89

31.試合

そんなわけで

俺たちは体育館へ向かうことになったんだ。


にしても……

武田先輩、園田先輩て人気あるんだなぁ。

黄色い声スゴいよ!


確かに2人ともかっこいいもんな。



体育館に着くと、、ギャラリー多くない!?


「武田様と転校生が試合いするんだって!?」

「きっと泣くよ!」

「イイ度胸だよな!」


うわぁ…晒し者状態じゃん俺。


「そういや柾美の剣の腕は本物か?」

「は?」


浩二ってばなに今更そんな事言うの?

陰陽活動でずっと剣使ってるじゃん。


「暗いからたいしてみてねぇよ。俺が力押しして弱ったところで留めさしてるじゃねぇか。」


自分から飛び出して行くくせによく言うよ!


「失礼な!確かに人と対戦するのは久々だけど悪くないはずだ!」

「へーへー」


こいつバカにしてる!


「柾美!!」


ギャラリーの中からひときわ目立つ声?


ああ、そうだよ総一先輩だもんな。



「会長!?情報早いですね!」

「宰から連絡聞いたんだよ。」


まさか、このギャラリーは園田先輩の差し金だったりする?


「だってあの祐司が戦うんだよ?人数多い方が楽しいでしょ?」


このひと武田先輩中心ですか!?


「柾美大丈夫かい?武田君は相当強いよ?」

「これだけのギャラリーいるなか逃げられると思ってます?

まあ、初心者じゃないからなんとかなりますよ」

「こいつこう見えて侮れねぇぜ?」


浩二のヤツ!

さっきあんな事言ってたくせに!

ていうかムダに人の肩抱き寄せるな!


総一先輩に変に思われるだろ!

あ、こいつはそれが目的だったな。



浩二にデコピンを食らわせてから袴とか防具とかを身につけるため、

俺は近くにある更衣室で準備をする。


この格好久々だな〜。


体育館に戻ると防具を身につけて竹刀を手に待っている武田先輩と向きあう。


「審判は僕がやるね。先に二本取った方が勝ちだよ。」


俺は一本すら取れるだろうか?


「一つ賭をしないか?」


この人なら誰かみたいに変な事言って来ないだろうな。


「なんですか?」

「柾美が俺から一本も取れなかったら剣道部に入ってもらう。」

「はぃ?」

「つまり一本でも柾美が取れれば入部はなしだ。どうだ?」


ちょいまて全国2位ぃぃぃぃぃぃぃっっ!


「タッタイム!!」



俺は壁に寄りかかって退屈そうな顔の浩二に駆け寄る。


だって相棒だから!


「んだよ?怖じ気づいてんじゃねぇ。」

「そうじゃなくて!先に言っておくけどっ

俺が剣道部に入る事になったら色々迷惑かけると思うからごめん!」


なんでそんな呆れた顔向けるんだよ!


「おい、ヤツのこと今まで戦ってきたバケモノだと思え。人だと思うからダメじゃねぇか?」

「そりゃあ、まぁ…けどさぁ……」

「ゴチャゴチャ言ってねぇで行って来い!」

「おまっ蹴るなっっ」


あいつに謝りに行った俺がバカみたいじゃん!


あ、けど魔物だと思えっていうのは悪くないかもな。


俺は再び先輩と向き合い

互いに竹刀を構える。


人の形をした魔物……

数ヶ月に父さんと一緒に倒した鎧武者!


園田先輩の始まりを告げる声が響く。


と、同時に俺は飛び出す。


倒さないワケにはいかないんだぁぁぁぁっっ!

ヤツの弱点は頭だ!


防具を打ち込む音が響き渡る。


あ―…俺、武田先輩と試合してたんだっけ……


間もなく柾美が一本取った事を告げる声が響き渡る。


「うそっっ武田様!?」

「転校生すげぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっ!」


俺たちはあっという間に熱い歓声に包まれる。


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